今回、SWITCH2本体の発売は今のところ、ほぼすべて、予約抽選で行われている。なぜそうなのかは、なかなか興味深い問題だ。
任天堂はオンラインのポータルサイトでの販売は、「条件付き」の予約抽選だったわけだが、その条件は、SWITCHのオンラインユーザが「国籍:日本」となっていること、SWITCHを長期間遊んでいること、Nintendo Switch Onlineに加入していることだった。まず、日本国籍は本体の日本語専用となっているのと同じで、主に中国の転売対策だと考えられる。他の条件は、「長くSWITCHを遊んでいる人」なわけで、これも一つの「転売対策」と考えられる。
どういうことかというと、それは、他の家電量販店のSWITCH2の予約抽選の条件を見るとよく分かる。そこにおける条件は、ようするに、自社の「サービス」を積極的に使っている人であり、自社の商品をよく買ってくれている「太客(ふときゃく)」が中心だった。この条件の場合、なにが起きたかというと、
- 自分がこの<条件>を満たしている → 別にSWITCH2が欲しいわけじゃないけど、この<条件>を満たしているし、買っておこうか
っていうことが大量に起きたことが予想される。そして、ここに、そもそもの「転売ヤー」が集中した。
ようするに、家電量販店の条件は
- SWITCHでゲームをするのが好き
な人でない人にも、大量に売れた可能性がある。つまり、この人たちは、家にSWITCH2があるのに、今だに箱から開けすらしないで、家に置いてあるのだw
ここはけっこう難しくて、家電量販店の条件は、
- 自社がやってほしいことをやってほしい(メルマガを受信してほしい、自社のクレカを作ってほしい、自社のオンライン注文をしてほしい、自社の商品を買ってほしい)ことが、見事なまでに並んでいる。つまり、こういう条件で一回でもやれば、「次のSWITCH3のときを考えて、今から、この条件を満たすように行動しよう」というモチベになるかもしれないが、そもそも、この条件が直接には、「SWITCHでゲームをするのが好き」と一致していない
のだw 嗤っちゃうのが、PS忖度系ユーチューバーがこぞって、SWITCH2を買っていることだ。そりゃそうだ。SWITCH2の情報を流せば、動画の再生数が爆上がりするわけで、今後のPS忖度のためにも、相手を知っておかなきゃならない。
考えてみると、ネットでの予約抽選と考えると、基本的にサブスク登録されている人と考えられる。つまり、オンラインのユーザー登録をされていて、その人の
- 個人情報
を、この時点で販売店が把握していると考えることができる。これを知っておくと、任天堂としては、故障修理の場合に、有償にするか無償にするかを、これを「転売ヤー」から買っているかどうかで判断することが可能になる。まず、SWITCH2には保証書がついていない。代わりに、買ったお店のレシートなどを保管しておいてくれと言っている。しかし、メルカリや楽天フリマの転売ヤーから買った場合、まあ、レシートなどを付属しているものは、ほとんどないだろう。そもそも、「レシートを付属します」と条件に書くこと自体が難しいだろう。なぜなら、年末調整などでも、自分が買っていない偽レシートなどを使うことは、当然、法律違反であり、厳しい罰則がある。まず、これには
- 個人情報
がつまっていると考えるのが、普通だ。レシートなどは、販売店と購入者の個人的な関係を記すもので、ここに、大量の個人情報が書かれていることはおおいに考えられる(そもそも、ネット注文している時点で、ネットに登録されている個人情報との「紐付け」は必ずされている)。
発売当日に発売される、いわゆる「初期ロット」は多くの場合、不具合がある。不具合があることが当然と思って買うのが、初期ロットだ。つまり、故障修理が前提なのが、初期ロットだ。だから、初期ロットは基本的に当分は、修理は無料だ。これをもし、有償で払わなければならないとなったとき、果して、どれくらいの修理費を請求されるかは、未知数だ。つまり、
- まったく安くなかった
となると考えられるだろう。
そもそもなぜ、任天堂は転売ヤー行為を「やめてくれ」と言っているのかを理解しなければならない。初期ロットに、不具合があることが「必然」であるなら、なるべくなら、初期ロットの数は少ない方がいいにきまっている。それだけ、無償修理にコストがかかるのだから。しかし、他方において、信じられないくらいに
- 需要
があることも分かっている。そうした場合、大事なことは「ほんとにディープに遊びたい人」にこそ、この本体を届けないと
- 大変なことになる
のだ。なぜなら、まず、
- 周辺商品が売れない
ということになる。まだ、本体が多くの人の手に渡っていない。よって、周辺商品が当分は売れない。売れないとしても、「太客(ふときゃく)」であれば、買ってくれる。まさに、
- サブスクユーザー
だ。サブスクユーザーは、今後の任天堂のサービスに期待して、先行して、お金を払ってくれる人たちだ。こういう人を多く抱えて、こういう人たちに、いち早く本体を届ければ、なにもしなくても、新商品が売れていく。こういう人たちは、ドラクエファンが、ドラクエと名がつく商品であれば、なんでも買ってくれるのと同じように、任天堂の新商品と名前がついているだけで、必ず新商品の発売日に買ってくれるわけで、
- 収益の見積り
が可能なのだ! よって、なんとしても、SWITCHユーザーへ、一日でも早くSWTCH2の本体を届けなければならない。
しかし、このことと家電量販店の販売戦略が、まったく、同期がとれていない。むしろ、家電量販店の販売戦略は
- 大量の「転売ヤー」予備軍を発生させる
方向に動いてしまった。そのため、なにが今起きているか? それが、ヤフオクや楽天フリマに大量にSWITCH2が出品されて、さらに、6万円周辺の、利益度外視の値段になっていながら、見る限り、ほとんど売れているようには見えない、奇妙な現象だろう。
まあ、当たり前だよな。
上記から分かるように、任天堂は「あなた」が
- 転売ヤーから買ったのか、買っていないのか?
を、かなりの確率で判定できる。つまり、故障修理を「あなたが転売ヤーから買った」という理由で有償にする判断材料をもっている。その時点で、あなたは
- 任天堂と余計なトラブルの種をもちたくない
と考えるなら、わざわざ、転売ヤーから買わないだろう。転売ヤーから買ったSWITCH2であなたが、Nintendo Switch Onlineのサービスを使った途端、あなたは
に登録される。それ以降、あなたへの任天堂からの「サービス」の質は、最低レベルに下げられるかもしれない。かといって、Nintendo Switch Onlineを使わないで遊ぶゲームソフトで、どうしても、SWITCH1じゃなくてSWITCH2じゃないと遊べないというのも、まあ、今のところ、ないに近いしな...。