NHK・にっぽんの現場「ことばあふれ出る教室」

生まれたときから、目が見えない人たちの世界とは、どういうものなのであろうか(E・ホッファー、にしても、幼い頃は視力があったわけだし、大人になる直前で、回復している。これはこれで、大変だったでしょうけどね)。
そんな子供たちの風景を、ドキュメンタリータッチで紹介したのが、この番組。
主人公の、女の子は、そういった、視力に障害のある子供たちが通う小学校を、今年で、卒業する。
彼女は、「読書」が好きだ。点字をなぞりながら、どんどん朗読をしていく。ものすごいスピードだ。印象的な、きれいな発音で話す。彼女の本を読んでいるときの、表情は、明らかに、知的な興奮で、生き生きしている。
その姿は、普通の好奇心旺盛で利発な子供と変わらない。
パソコンで、視覚障害者のための、読み上げツール、があることは知っていたが、実際に、目の見えない人が、あのように、早く文字を入力している姿は、なんともいえない、感動を覚える。
さらに、驚くべき、試みが、紹介されていた。
なんと、彼女たちは、漢字の勉強をしているのだ。小学校で習う基本漢字を、学習していた。ようするに、点字で使う、点を、大きめの四角の中に、漢字のつくりになぞって、並べるのだ。彼女たちは、それをなぞることで、漢字が、「しんにょう」などの、いくつかのつくりで、構成されていることを覚える。
点字の世界は、音の世界である。しかし、日本語は、世界でも、極めて、発音記号の少ない言語であるため、同音異義語が、絶望的なまでに、多い。漢字のマスターは、不可欠なのだ。
それだけに、そんな読書好きな彼女が、漢字について理解していく姿は、なんとも言えない、未来への、希望を与えないだろうか。
彼女は、生まれたときから、目が見えない。
彼女は、奇妙なことを言う。
どうして、多くの人は、暗闇を恐がるのだろう。いや、そもそも、私が毎日、「見て」いるものは、明るいのか、暗闇なのか、どちらなのだろう。