小箱とたん『スケッチブック』

まだ、連載中の、基本は、4コママンガ、ですね。
アニメ化されている。
主人公の、女子高生、梶原空、は、特に、初対面の人と、まっすぐ相手を見れないし、話せない(言葉を発せられない)、普段も、あいての質問に、首を縦に振り、頷くだけで、ほとんど、言葉を発しない、極端な、ひとみしり。
しかし、だからといって、彼女は、友達付き合いができないわけではない。それどころか、日々の生活の中の、ちょっとしたことに、感嘆し、感動し、日々を、充実して過している、そんな、ゆっくり、おっとりとした性格が、コミカルに、好意的に、描かれる。
彼女が所属する、美術部のみんなとのやりとりが、作品のほとんどの舞台となっていて、それぞれの部員の、個性的な面々が、ギャクマンガとしての作品の奥行きを与え、そんな彼女を暖かく、受け入れている姿を、際立たせる。
一言で言えば、梶原空、のような主人公は、日本のアニメでも、めずらしいのではないか、ということです(4コママンガだと、それほど、異様な感じに描かれてはいないですけどね)。こういった、内気な、人見知りする、子供というのは、それなりにはいると思うのですが...。もちろん、こういったことも、その人の性格なんだし、別に、いいんじゃないか、と思わなくもないが、この社会は、「社交的社会」です。そういう性格は「不利」なのです。なんでも、ずけずけ、相手の内面に入っていけるような、自分を前に出す性格でないと、つらいものでしょう。会社の面接なんて、そういう所しか見られないだろうし、長くつきあうと、だんだんよさが分かってくるなんて、そんなこと面接で分かるわけねーだと、っと。
しかし、逆に言えば、それが、学校という所なのでしょう。部活は、アクティブに自分で決断しなければ、入部にならないし、日々ボランタリーに参加しなければ、部活動の実体は生まれない。毎日、この部活に「自分から来る」、梶原空、を、彼女がどんな性格だろうと関係なく、先輩も、同級生も、受け入れる。ある意味、奇跡的な空間なんでしょうね。
ただ、アニメ版は、基本的に、終始、同級生で、一緒に入部した、麻生夏海鳥飼葉月、といつも一緒に行動している、という形で、描かれていて、さらに、最終回では、ちょっと、梶原空、がそういう面で、前進(成長)しようとしている感じが(原作にはなく)、表現され、アニメ版の主眼がその辺りにあったのだろう、という印象を強くする(アニメ版は、彼女の「成長」を描こうとしてますね)。
最後は、おまけであるが、これは、ギャクマンガであり、そして、その特徴とは、ナンセンスさ、にある。意味がないからこそ笑える。例えば、「鳥飼さんと涼風コンビ」の回(アニメでは、第8話)、なんて文句なしに、傑作じゃないですかね(ちょっとほめすぎですかね)。
(あとアニメでは、オープニングの歌が、ちょっと、印象的だった、というところでしょうか(「狼と香辛料」「ささめきこと」のオープニングも同じ女性の歌で、ちょっと変わってましたね)。)

スケッチブック 1 (BLADE COMICS)

スケッチブック 1 (BLADE COMICS)