マンガ

中道裕大『放課後さいころ倶楽部』

子どもは「楽しい」から「遊び」をする。かくれんぼ、かんけり、など。 しかしその「遊び」の実体は、驚くべきほど、大人になり社会人になってから行う、会社での「仕事」に似ている。 ゲームは「楽しい」から子どもは、自分からやりたくなり、実際に行う。…

高橋ヒロシ『QP』

今日の、J1サッカーの柏対浦和の試合を見ていて、確かに浦和は3日前の試合で疲労がたまっていたことは確かなのだろうが、それはおいといても、なぜ柏がここのところ連勝をしていて、J1首位を走っているのかの理由を理解させてくれた。 浦和のチャンスが…

『聲の形・公式ファンブック』

アニメ「聲の形」を映画館で見た印象は、私はこの段階で、原作は第1巻をさらっと見ていたくらいだったこともあり、大変におもしろく見させてもらった。京アニの作品であり、よくできていたと思う。映画を見た後にすぐに、原作の漫画を見させてもらったが、…

村田雄介『ワンパンマン9』

少年ジャンプ的な何かを考えたとき、例えば、本宮ひろ志の一連の作品があって、その延長に、車田正美のような「リングにかけろ」のような作品があって、そして、その延長に、今のワンピースや、ワンパンマンのような、より シュール なものがあらわれて、と…

岩原裕二『ディメンジョンW』

ところで、映画「屍者の帝国」は、いわゆるかなりの観客の割合で「腐女子」だった、というわけである。これってなんなのだろうと考えてみると、確かに、映画版と原作はかなり違っていて、特に違っているのが、主人公のワトソンとフライデーの関係が、映画版…

あっと『のんのんびより』

そもそも日本の人口において、どれくらいの人が、子どもの頃を田舎で過ごしていたのかは、過分にして知らない。しかし、そういった場合に、それが何を言おうとしているのかを考えることは、また、別の意味で難しかったりする。 この掲題の作品では、全校生徒…

松本大洋『ピンポン』

ずいぶん昔に読んだ、この漫画が、今さらのように、アニメ化され地上波で放送されているのを見ていて、これを、どのように受けとればいいのか、みたいなことを考えていた。 この漫画のストーリーが、典型的なビルドゥングス・ロマンであることに、だれも否定…

岡本倫『極黒のブリュンヒルデ』

アニメ「極黒のブリュンヒルデ」の第3話は、なかなか、考えさせる、神回となった。 主人公の村上良太(むらかみりょうた)は、高校2年生。彼の目の前に、幼馴染(おさななじみ)に似た転校生の黒羽寧子(くろはねこ)が現れるところから、話は始まる。 寧…

春野友矢『ディーふらぐ!』

ある意味において、私たちの人生における、「あらゆる」ことは「ゲーム」だと言ってもいいのもしれない。それは、例えば、自分が「どう振る舞うのか」であったり、自分と関係することになった人が、自分の働きかけに対して、どう「反応」するのか、というこ…

井上智徳『コッペリオン』

私たちは、「本音」で話そうとするとき、「方言」を使う。つまり、方言を使っていないということが、それが、 本音 でないことを意味していると解釈する。標準語は、いわば、(公理主義的)論理語だということである。そもそも、公理主義は、違った出自の人…

浦沢直樹『20世紀少年』

私は、掲題の漫画は、日本の漫画の歴史の中においても、最高傑作の部類だと思っている。 漫画の特徴は、小説や批評のリテラルな形式と、映像の感覚的な「理解」の中間を表現するスタイルにあると思っているが、掲題の漫画のテーマの一つである「いじめ」のよ…

吉永裕ノ介『ブレイクブレイド』

すでにコミックにして、10巻まできている作品だが、その第10巻は一つの区切りとなっているだろう。 この世界においては(クルゾン大陸)、地中から化石燃料が採れない。そのかわりに、ここにおける人間には、生まれつき「石英」という鉱物を通して魔力が…

藤野もやむ『忘却のクレイドル』

この作品世界を通底している色調を、理解することは、著しく困難であるが、この作品が最終巻において、描いた作品世界の世界観を考察することは、興味深く思えなくもない。 この世界の日本では、15歳以上の子どもに半年間の、義務教育の一環としての「特殊…

鬼頭莫宏「ぼくらの」

この作品は、私には、ほとんど感情移入ができなかった(アニメの方は最初に見た)。 私はこういった、特攻隊マンガを書こうとする大人の気がしれないのだが、もちろん、これが特攻隊マンガでないと言ってみてもしょうがないだろう。むしろ、なんとかして、現…

石森正数『それでも町は廻っている』

掲題のマンガは、その「完成度」とは別に、ある種の、 おもしろくなさ が自分には気になっていた。その感覚ってなんなんだろう、という感じなのだが。 一方において、マンガ「スケッチブック」 スケッチブック 1 (BLADE COMICS)作者: 小箱とたん出版社/メー…

諫山創『進撃の巨人』

今日、第三巻まで読んだ。連載は読んでいない。 ある種の、極限状況を空想することは、さまざまな問題の本質を明らかにする(そもそも、科学とは「極限状況」を説明するための営みであり続けたわけである。ニュートンがリンゴが落ちるのを見て万有引力の着想…

浅野いにお『素晴らしい世界』

以前、ソラニンについて書いたことがあったが、こちらの作品は、より、作者の言いたいことが、直接描かれているように思える。 こういった、むしろ、有識者の人たちの間で、推薦されるこの漫画を、どのように読めばいいのか...。 各ストーリーは、アンソロジ…

ツジトモ『GIANT KILLING』

とうとう今年は、W杯の年だ。もう何ヶ月もない。場所は、日本の反対の南ア。なかなか戦いは厳しそうだ。 ところが、はなっから、もりあがらない。 全然、日本のチームに、期待感がない。大手マスコミは、まるで、なにかのタブーでもあるかのように、「本当…

さだやす圭『ああ播磨灘』

朝青龍の引退は、前代未聞の事態であろう。昔、双羽黒という横綱が引退して、プロレスラーになったケースがあったが、それ以上に衝撃的であろう。 なぜ、彼が引退にまで至ることになったのかは知らないし、興味もない。しかし、そういったことを度外視しても…

河合克敏『とめはねっ!』

私立鈴里高校の書道部は、部員が、たったの、5人。しかも、一人は、柔道部とかけもち。部の存続さえ、あやうい。 彼らは、部の存続をかけて、公開の書道を行う。 名付けて、パフォーマンス書道。 多くは、流行歌の歌詞を、その歌を、バックに流しながら、大…

浅田弘幸『テガミバチ』

ジャンプ系のマンガ。アニメが放送中。 主人公ラグ・シーイングは、その心弾銃を、ものに命中させることで、そのものに込められている「こころ」を映す。ちょっと分かりにくい表現であるが、たとえば、その物を使っていた人が、どんなことを考えて、その物を…

小箱とたん『スケッチブック』

まだ、連載中の、基本は、4コママンガ、ですね。 アニメ化されている。 主人公の、女子高生、梶原空、は、特に、初対面の人と、まっすぐ相手を見れないし、話せない(言葉を発せられない)、普段も、あいての質問に、首を縦に振り、頷くだけで、ほとんど、…

柴田ヨクサル『ハチワンダイバー』

主人公、菅田(すがた)は、子供の頃から、ずっと、将棋だけをしてきた。 将棋だけに、毎日の時間を捧げてきた。奨励会と呼ばれる、プロ棋士育成組織で、三段まで、登りつめるが、プロにはなれなかった。しかし、一般に、そのレベルまで、行ったものたちは、…

平松伸二『ブラック・エンジェルズ』

西洋文明において、善と悪、という対立軸は、自明のものと、受け取られる。 アニメの、ポケモン、がアメリカにおいて、さまざまにストーリーを変えられて放送されたというのも、もっと、善悪が分かりやすいように「しなければならな」かったからと言われてい…

さらちよみ『ヒのカグツチ』

(一つ前に、非常に重要な問題をとりあげただけに、その後、こういった、「どーでもいー」ことを書くのは、少し、気がひける。自分にはまだ、時が熟していないのだろう。自分の非力をわびたい気持ちだ。いつか、その日が来るのを待つしかない、そんな気持ち…

吉田戦車『伝染るんです。』

一時期、はやった、このマンガを、今、文庫で読んでみている。 このマンガは、文庫では、全五巻のようなのだが。 なんだろう。 第三巻の途中くらいから、なんとも言えないような、恐しい、強烈なインパクトをもってくる。 第三巻の前までは、言ってみれば、…

浅野いにお『ソラニン』

サッカーとは、集団のスポーツである。それは、どういうことか。いずれにしろ、ある集団が、目的を達成するために、一つの行動をとることが、このスポーツだからだ。 しかし、集団行動とはなんなのか。その定義は、言ってみれば、「ない」。あるのは、実践、…

美内すずえ『ガラスの仮面』

演じるということ。演技であるのだが、じゃあ、それが、彼女本人で「ない」わけではないんでね。じゃあ、そこでやってることはなんなのか。 嵐ヶ丘。マザー・テレサ。狼少女。八百屋お七。 こうやって、ほんの一部だけとりあげるだけでも、ちょっと尋常じゃ…

コブラ

ある時期から、マンガは、ほんとうに読まなくなった。最近は、本屋に行っても、マンガは、ほんと分からない。 昔、ジャンプでやってた、コブラを読み返してみた。アメコミの影響を受けたこの作品は、西部劇や、ハードボイルドの色彩の強い。 主人公のコブラ…

山文京伝「風紀委員長の渇望」

アダルト・コミック(漫画のエロ本)。短編集の中の一つ。作品自体は、女子高生で風紀委員長の女性が、不良の男子高生と性的関係になっていく、というそれだけのもの。その男子高生は、素行不良により、学校をやめ、彼女の前から姿を消す。10after (ホットミ…