スウェーデン?

やっぱり自分が思っていることを、他人も思っていたりするんじゃないかな、と思うことは、よくあることだ。そうしたとき、便利なのは、ネットで、ググれば、自分なんかよりもっと、スマートに、いい感じに、整理してくれている。
たとえば、「金持ち争奪戦」というのがある。
すると、識者は、怒り始めるのである。もっと金持ち優遇せねばならん。だって、そーしねーと、お金のある人が、日本に来てくれない。すると、日本に魅力的な企業ができなくて、他の国に差をつけられて...。
そうすると、非常に、マトモーなことを言ってくれる人が現れる。

日本に外国人富裕層が来ない理由は、税制云々ではなく、コミュニケーションの困難性や地理的文化的隔絶に求められる気がします。であれば、解決は困難です。逆に考えれば、日本人が容易に海外に出ていけない理由もここに求められます。そもそも、海で隔てられた日本とヨーロッパなどの大陸諸国とを単純に比較する事自体が無理があり、相続税を下げて金持ちを優遇するだけでは外国人に日本を訴求するには弱すぎます。日本では、税制をいくらいじくっても、金持ち争奪戦の「国際競争力」は付かないでしょう。その上、日本で問題なのはお金の量ではなく(金融資産は十分にある)、その使い道がないことです。長らく低金利なのに預貯金は積み上がる一方。膨大な富がリスクを避けながら預貯金となり、果ては国債に向かうといった形でぐるぐると回っているというのは異常です。
相続税についていえば、むしろ控除体系を見直して課税ベースを拡大させ、税率も上げてしまえばいいと思います。これとセットで、贈与税の控除額を大幅に引き上げ、寄附金税制も抜本的に見直しすればいいです。日本の富の大部分を保有する高齢者から若い世代への資産移転を促し、寄付金税制の見直しによってアメリカのように高所得層の慈善寄付金の拡大を制度的に後押しするのです。優遇すべきは、お金を使わない金持ちではなく、リスクの担い手や世代間の資産移転を積極的に行う金持ちです。死蔵する膨大なお金をこれからどう生かしていくかを考える方がはるかに意味があります。
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世界中、相続税引き下げ合戦をやっている。特にヨーロッパがひどくて、結局、どこも地続きだから、簡単に、税金のいい所に逃げられるんだそうですね。ただアメリカは、ブッシュからオバマに変わって、この傾向が見直されてきている、という記事でしたが。
こう考えてくると、ヨーロッパというのは、どーなってるのかな、と。いつみても、なにみても、国際競争力が、のきなみ上、だと。こんなに日本が苦しんでるのに、そんなケーキのいい話が、地球の裏側にあるのか、と。
なぬ? スウェーデン? つまり、例の「スウェーデンパラドックス(逆説)」というやつですねぇ。

  • スウェーデンは一般のイメージと異なり、倒産も解雇も当たり前に生じる厳しい資本主義競争社会である。
  • 企業は社会保険料負担が高い反面、労働者には賃金しか支払わず、仕事がなくなれば即座に解雇する。その賃金には通勤手当も扶養手当も無い。企業の健康保険組合もなく、ブルーカラーの解雇には退職金も支払われない。
  • 賃金体系は、連帯賃金政策と呼ばれる政策の下で企業の生産性格差にかかわらず同じ職種なら賃金が同じという「同一労働・同一賃金」が実現している。こうしたシステムは生産性の低い企業の整理淘汰を促す一方、平均より生産性の高い企業には超過利潤をもたらし高い国際競争力を生み出している。
  • 解雇された労働者には、他の業種・企業へ強力な転職支援を行う「積極的労働市場政策」が採用されており、教育・職業訓練、一時的雇用、就職支援、所得保障給付など次の仕事につくための多様なプログラムが提供されている。生産性の低い企業・業種から高い企業に積極的に労働移動を促すことで、産業構造の高度化と人的資本の質的向上が同時に達成できた。その結果、同国は高い国際競争力の下、高い生産性と持続的な経済成長を記録。税や社会保険料などの高負担と高福祉が可能になった。
  • 高負担の内訳は、法人税負担は26.3%(日本は39.5%)だが、企業は赤字でも支払い賃金の31.4%もの社会保険料を払っている。日本の3倍近いが、年功序列賃金や退職金負担がないため、労働コスト(賃金+福利厚生費+税・社会保険料)は日本と同程度で、国際的にも高くない。個人所得には31.4%の地方所得税と25%の付加価値税がある。これは日本の感覚では低所得者には重いが、スウェーデンでは社会保障給付が所得比例となっているため、労働市場に積極的に参加しなければ最低限の給付しか受け取れない。よって比例的な負担は逆に労働意欲を高めると認識されている。
  • 同国は19世紀の終わりから急速な工業化の過程で急激な出生率の低下に直面した。その時採られた少子化対策が、所得再分配を目的とする貧困対策ではないと位置付けられ、ミーンズテスト(資産調査)の排除を原則としたことが今日の制度の原点となった。
  • この政策は、当初は人々を従来の生活基盤から切り離し転職を強制する非人間的発想の政策だと批判された。しかしその後のスウェーデンの現実が評価を一変させた。それは人々を職歴・学歴の拘束や失業の恐怖から開放する「人間中心」の政策だとみなされるようになったのである。
  • 最大の財源である地方所得税は、地方議会で議論・決定されている。受益の対価である負担を国民の選択の自由と責任に委ねる仕組みこそが政府への信頼を生み、安心と活力の両立を可能にするのである。・・・」

(2009/9/17付 日経新聞より)
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こうやってみると、典型的な、小人口国家の政策なんですよね。スウェーデンというと、税金が高い、ということなんでしょうけど、見ると、さまざまなトレードオフがある。はっきりしているのは、ミーンズテスト(資産調査)、をやっていない、ということですね。結局、個人の資産を把握することは、常に、難しいからなんでしょうが、そう割り切ってしまえば、すっきりして、次々と政策がうてる。逆進性は高給付でトレードオフするという明確な意志ですね。
失業して、ハローワークに仕事を紹介してもらえるんだけど、せっかく紹介してもらったのを断ると、厳しくなっていくみたいな記事もあったと思うけど、とにかく、国民を働かせることに重点を置いた政策になってるんですよね。年寄りだろうと、手に職をつけ「させて」転職させる。国民もほとんど、貯金していない。国が老後の面倒を見ると言っているから、必要ない、という「信頼?」のようなものが成立している。
でも、よく見ていくと、やっぱり小さい国なんだと思います。だから、大企業も数えるくらいで、働くといっても、限られるのでしょう。
今の中国の平均的な仕事の給与が、月2万円くらいだそうで(繊維業界の例をテレ朝でやってましたけど)、どうしてなのか、いつまでなのか、こんな給料でやっていける物価の国と「競争」していかなきゃいけないわけですから、なんにしろ、どこの国だって、大変なんですよね。
最後は、例の、日本の国際競争力ってやつですけど、日本は「27位」だと。バブルの頃は、「1位」だったそうで、ずいぶん下がったねー、と。で、そのネタ元がこれですね。

2010年日本の国際競争力27位というのは、スイス・ローザンヌにある有力ビジネススクール(経営大学院)のIMD:International Institute for Management Development (経営開発国際研究所)が発表した「世界競争力年鑑2010年版」に掲載された順位である。

IMDの国際競争力とは、「経済力」、「国富」等とは別の概念である。競争力に関わる幅広い統計アンケートより客観的指標を作成して、企業活動をサポートする環境整備の度合いを競争力とする。
いわば、企業にとって競争力を発揮できる環境はどの国か?との視点であって、低いIMD国際競争力は中長期的に有力・有望企業が逃避、退出する可能性が高いよって、多面的、バランスの良い企業環境整備が高順位の条件となる。

IMDの診断によると「日本は老化を自覚して気力を失った中年の危機」とされている。

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ところが、この国際競争力ってやつ。もう一つあるんだそうですね。

もうひとつ別の国際競争力ランキングがある、WEF:World Economic Forum 世界経済フォーラムによるものである。
評価の方法は世界125カ国の経済関係者からのアンケート調査や各国のマクロ経済データ、技術開発力などの統計を基にして指数化している。

WEFの北欧型モデルの競争力の源は人間重視の社会を作る教育への投資、創造的な力を生み出す社会の醸成、国民が協力して運営する政府の指導力であり、人間らしさを強調する方法が経済を活性化していることになる。
十分な教育と社会保障などのセーフティ・ネットに支えられていることが働く人々を力づけて技術力を強めていき、結果的に成長力や競争力が高まる。
IMDの米国型モデルの特徴は競争社会を意識したずば抜けた総合的な技術力の高さで、政府の機能とか国民への富の配分などはあまり強調されない。

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こっちだと、8位だってさ。いつも思うけど、そんなにシンガポールがよければ、たのむから、シンガポール人になってもらえませんかね。勝手に、その国の人になってくださいな。さよーならー。
videonews.com で神保さんも何回も言っているけど、民主党の、子ども手当や公立高校無料化は、民主党の理念なんですよね。一貫して、子供への教育をフェアに実現しようとする。まあ、税収の倍、借金してまでやることか、という議論はあるでしょうが(私は国民からの寄付でやったらいいんじゃないかと思いますけどね)。ただ、この理念「そのもの」に反対しているのが、自民党ですよね。自民党は、親や子の過去からの関係に変革をもたらすような臭いのある、この政策そのものが耐えられないのではないか。
最近、東京の街を休日なんか歩いていていて、なにか変わっているんじゃないか、という気がする。おそらく、それは、勘違いなのでしょうけど、でも勘違いというのは逆に根拠があるものでがあって、
私たちの見方が変わってきてるのかもしれません。
子供は毎月、1、2万円を「稼ぐ」存在になりました。ということは、どういうことでしょうか。子供は、何十分の一かは、「父親と同等」になりました。子供は、これからの自分の生き方を自分で「自分の稼ぎをベースに」考えられるようになりました。私は、毎日の電車に乗って、お母さんと歩いているチビたちが、
生き生き
しているように見えるんですけど、どうですかね。でもそれは、逆なのでしょう。親やその回りの人たちの、子供への接し方が変わってきているということなんだと思いますけどね(たんに、控除を給付に変えただけじゃないのかという話もあるみたいですがw)。