一ノ宮美成『黒い都知事 石原慎太郎』

今年の4月で、石原都政の3期が終わる。都知事選である。
当然、これまでの、石原都政
具体的な結果
の総括が、どんどん出てくるのではないだろうかと思うところなのだが、あにはからんや、ほとんど出てこない。
大マスコミ
が完全に石原都政に「懐柔」されているからなのだろうか。

だが、これまでJAPICが行なってきた臨海開発に関わる数々の提言は、築地市場を移転させるなり、廃止しなければ実現できない。それこそ、汚染地については「我関せず」のポーズを取るJAPICだが、すでに築地には朝日新聞、お台場にはフジテレビ、そして汐留には日本テレビ共同通信社が進出。そして築地市場跡地には、石原知事の東京五輪招致時の言によれば、「NHKが来たらいい」という発言も記録されている。

テレビ局が、この地価の高い東京に、あれだけのまとまった土地を確保できた、という意味を考えなければならない。
では、議会はどうなのか?

それにしも、どうしてこんな[石原知事の高級豪邸での贅沢三昧、超豪華海外旅行]デタラメがまかり通るのか。
それは、オリンピック招致のための海外視察と同じように、都政をチェックすべき立場にある都議会の自民、公明、民主党議員などが、自分たちも豪華海外視察に出かけるなど、日頃から癒着しているからだ。

さて。一体、どこに石原都政を総括しようなんていう志に燃えた人がいるんでしょうね。
東京は、フィンランドと同じ財政規模をほこる、小国家並みの地域圏である。そうであるならば、この「フィンランド」の「政治」をウォッチする報道機関が必要なのではないかと思うのであるが、お膝元の東京でも、「日本全国」の話しかしていない。どうも変なのだ。報道機関が報道機関のていをなしていない。
東京に、日本の大企業の、ほとんどの本店が集中しているという事実は、東京が日本の国家運営において、非常に特殊な地域となっていることを理解する必要がある。
これだけの財政を誇っているということは、なにを意味するのだろう。
膨大な税金が、東京都に集中する、ということである。
では、そのお金はどうなるのか?
もちろん、「使われる」。
どうやって?
さあ?
もしあなたが、これだけの「規模」のお金が、毎年、勝手に懐に入ってくる事業家だとするなら(しかも、そのお金を使わなければならない「義務」があるなら)、一体、どういうことが「起こる」か想像がつくだろうか?

都市問題に詳しい法政大学の五十嵐敬喜教授(公共事業論)によれば、東京都の「都市再生」とは、「ゼネコンが都市計画を自分で東京都に持ち込み、都市そのものをビジネスにすること」だという。そして、ゼネコンの最大の利権が道路であり、その象徴が道路であり、その象徴が、建設費1メートル1億円といわれる外環道(東京外郭環状道路)だ。

当然、いろいろな人たちが、あんたにつきまとうようになる。
あれ買え、これ買え。こんなうまい儲け話がある。自分がお金持ちだと分かった途端、急に親戚が増え、友達を名乗る他人が、わんさかと、つきまとい始める。はげたかのように、骨の髄まで、しぼりとられるまで、はなしてはくれないようだ。
どうも、お金こそが、すべての答のようだ。お金から目をそらし続ける限り、真実に向き合うことはできない。
お金こそ、すべての「錬金術」の源泉だとするなら、お金が、どのように使われているのかを追えば、「全て」が分かる。

こうして見ると、東京都は、汚染された土地だと知りながら土地を購入し、なおつ税金を使って土壌汚染を除去しようとしていることになる。こうした場合、汚染原因者負担の原則があるから、これはその原則に反した違法な公金支出になる。豊洲の約37ヘクタールの汚染対策費について、東京都は586億円と試算している。

さらに田中氏は、清水建設の撤退の背景には、ある重大な疑惑があると明かした。
規制緩和の化け物である米国系の外資、それも米国のブッシュ前政権のバックで、早くから日本に食い込んでいたゴールドマン・サックスといった外資が、日本の物流支配を狙って乗り込んできているんです。漁港から魚を直接買い付け、それを仲卸に売る大卸は築地に7社ありますが、そのうちの3社の株をゴールドマン・サックスが買い占めている事実があります。
小泉構造改革は、少数特定の巨大企業、特に外資系に便宜を供与し、国内の中小零細企業を淘汰してきました。それが、いまなお止まらないのです。とくに、これまで官製市場といわれてきた医療、福祉、農・漁業が狙われています。築地は世界の魚市場の動向を支配する位置にあります。ニューヨークの金融市場が世界の金融市場を支配するように、です。築地さえ押さえれば、世界の魚市場を支配できるんです。
ご承知のとおり、アメリカには卸売市場はありません。セリというものがないのです。豊洲の新市場が物流センターになるといわれているのは、そのためです。生産者も消費者もカヤの外で、セリを潰して価格の支配権を握るのは大手流通業者です。すでに築地の取引の8割は、場外取引(仲卸を通さない取引)で、近年支配力を強めちる日本のスーパーは、アメリカの大手流通海谷の子会社です。(後略)」

築地市場移転問題を、そのことそのまま受け取る人はウブである。
都が移転する、とのたまっているだけで、実際にやろうがやらなかろうが、その土地の汚染物除去を、都が税金で勝手にやり始める(つまり、税金が使われる)。
また、結果として、日本の流通市場を支配してきた、セリの仲卸を、
外資
の大資本の「邪魔」だからと、破壊することが目標とされている(大事なことは、「外資のお金の前にひれふす」都が、セリの仲卸を維持したく「ない」ということなのだ)。
新銀行東京にしても、東京五輪招致問題にしても、臨海副都心開発にしても、ものすごいお金が動く。世界有数の都市。伸びざかりの企業がステータスとして、東京に本店を置きたがる限り(実際、国政の主要機関が集中している)、この構造が終わることはないのかもしれない。
しかし、そうやって、さまざまに行われる大プロジェクトが、どこまでの深謀遠慮のもとにあるのか。

藤田 東京都のヒートアイランド化が急速に進んでいるからです。小泉内閣の都市再生法の成立を背景に、石原都政東京湾岸部の新橋、汐留から品川、有明などの臨海部に巨大なビル・マンションを林立させました。かつて、夏は朝8時ごろから22〜24度の涼しい東京湾の海風が、中央区、港区、さらに新宿まで流れ込んでいたのが、超高層ビルの林立で遮られてしまったんです。それで都心部の港区、中央区千代田区、新宿区とかが熱くなった。それに加えて、汐留なんかもそうですが、林立した超高層ビルの壁は、太陽熱で昼間暖められて、夜になるとその熱を放出するのだから明け方も熱い、ヒートアイランド現象が起こるのです。
また、臨海副都心を走る湾岸高速道路は、1日10万台の車、それも貨物車が多いので、沿線は空気が非常に汚い。お台場にある地上115メートル・33階建てのマンションの住民から、「空気が悪い。部屋の換気をやっているが、1ヶ月に1回フィルターを交換する」と訴えがあり、調べてみるとフィルターは真っ黒でした。NO2の濃度をカプセルで簡易測定したところ、1階から33階まで濃度がほとんど同じで、汚れていました。こうして臨海部で発生した汚染ガスが内陸部に運ばれ、東京23区の汚染に影響しているんです。
夏は空気が熱くなるから、軽くなって上へあがっていく。汚染物質も一緒に上がり、上空でドーム状になる。

品川区あたりに、ぼっこぼっこと、超高層ビルが建ってるが、あれ。一体、だれが「許可」したんですかね。あんなの作ったら、東京の夏が「地獄」になることぐらい、専門家なら、当たり前のことして、気付いていたわけでしょう。じゃあ、車の排気ガスを規制すればいい、とか、そういう問題じゃないでしょう。
東京に入ってくる車の量を減らすんでしょう? なぜ、そこまでして、東京なんでしょうかね。
これだけじゃない。地下水問題にしても、洪水問題にしても、ラディカルなまでの、「東京での開発」のこだわりが、無理スジとなり、後に大きな禍根となる可能性も大きいのだろう。
しかし、こういったビックマネーのビジネス申請を、都の役所が、どこまで、自らの意志でコントロールできるのだろうか。大金が動く、こういった事業に、実際のところは、都の役所など、大企業の言うがまま、お金をくれることしかできないのではないだろうか。むしろ、どうやって、都の役所が、大ゼネコンの意向に抵抗して、事業縮小を「強制」できるのだろう(大きな税金を払ってくれる「お得意様」でもあるのに)。
お金は恐いのである。そんな、都の小役人が制御できるほど、お金は甘くない。大ゼネコンがなんとしてでも、作って、都からお金をむしり取ろうと思うなら、なんだって、あらゆることをしかけてくる...。
ここまでは、都のビックマネーが、次々とむしり取られていくという問題であったが、逆の、スモールマネーの蛇口が次々と閉められている方の問題はどうか。

事実、東京都は特別擁護老人ホームに対する施設整備補助を、この11年間で5分の1まで削減させ、歳出総額に占める老人福祉費の割合を全国最下位にまで後退させている。
その一方で石原知事は、就任早々、「福祉に市場原理を活用する」と宣言し、2000年に発表した「福祉改革プラン」では、「地域」「選択」「競争」をキーワードに、「民間でできるものは民間で」と、都が直接、都民に行なう福祉・医療サービスから撤退する方向を打ち出した。
その最大の「果実」が、都立病院の廃止・運営の民営化だ。石原知事は就任直後、経済誌で「病院を含め、民営化できるものはすべて民営化を考える」と発言。『新潮45』(99年12月号)に掲載された、医療法人徳洲会徳田虎雄理事長との対談の中で出た言葉だった。「公約で一つだけなかなか手のつかないのが医療」だとし、「日本の大病院でまともなのは、徳洲会だけ」と天まで持ち上げ、都徳洲会への都立病院の「提供」をほのめかし、徳田氏に東京進出を持ちかけていた。

この問題[託児所問題]を追及してきた共産党の大山とも子議員が語る。
「都は『競い合いを通じた事業者の創意工夫により、より良いサービスが提供されている』と、聞こえのいいことをいっていますが、保育事業は人件費がほとんどなので、実際には、保育料を高くするか、人件費を減らすしか選択の余地がありません。
認可保育所が絶対的に不足し、待機児童が大量に生み出されるなか、認証保育所を補完的に活用するとまでは否定しまんが、民間営利業者は、慈善事業で保育サービスに参入しているわけではなく、利潤の獲得が基本的な行動原理です。(後略)」

石原知事が就任以来、言っていたことは、「福祉削減」である。民営化とは、国の財産をハゲタカに「禅譲」することであり、つまりは、
国民の財産
を、ハゲタカがかっさらうために、国に「鉄砲玉」として送りこまれてきたのが、小泉であり石原のような「国民説得屋」なのだろう。
ですから、民営化という御題目が、ひとたび、国民が今まで「当然の権利」として享受していた福祉という権利の、剥奪の理由として使われる場合に注意が必要である。
日本の託児所不足の、3割が、東京都だという。石原知事の「福祉悪玉論」原理主義者にとって、なんとしてでも、この問題を、自分たちで解決したくないのだ。もし、そんなことをしたら、都が福祉をしたことになってしまう。
しかし、民間営利業者に「自由競争」させても、一向に問題が解決しない。
当然である。
儲からないからである。地価の高い東京で、託児所のようなビジネスは、最初から、高額のサービスが必須の条件になってしまう。それは、東京が地価が高いという、
いびつな構造
が必然的にもたらす結果であり、問題は、あまりにも、なにもかもが東京に集中している、都市構造にあるのであって、ここはむしろ、積極的に、託児所を都が自分たちの余っている施設を開放して、
社会主義
でやればいいのである。まさに、雇用助成金と同じで、「緊急事態」の何物でもないじゃないか!
3割という数字の意味を分かってるのだろうか。日本の「少子化」の原因は、まさに、東京の小福祉が生み出している。東京が日本を少子化させているのであって、これがどれだけ、国益を損ねる、反日的行為であるかに、いい加減、国民は気付くべきなんじゃないだろうか。
なぜ、東京の若者が結婚しないのか。子供を産まないのか。すべて、東京の
反福祉政策
の結果であり、日本を滅ぼす反日政策を東京がやめないからだということを...。

黒い都知事 石原慎太郎

黒い都知事 石原慎太郎