日本政治へのいらだち

今週の videonews.com では、白井聡さんをゲストにして、今回の衆議院選挙についての総括を行っている。しかし、その内容は、むしろ、今回の結果がどうのこうのではなく、今回の選挙が始まる前からの、安倍政権が行ってきて、そして、選挙に勝利したら行うと言っている政策に対して、国民のほとんどは危機感をもっていながら、なぜ、その

  • オールタナティブ

を、国民に対して、「提示」できないのか、その日本政治の

  • 喜劇

を指摘する、どこか「虚しさ」を感じさせる内容であった。

白井:結局、民主党ってなんなのだろうかというと、イデオロギーがないわけですから、選挙互助会に過ぎないわけですよね。選挙互助会のくせに選挙でどんどん得票を減らしているわけですから、なんの取り柄もないと。もちろん、個別的にはですね、優れた見識をもってる議員もいらっしゃるわけですけども、ことによっちゃ、ようは本当は、松下政経塾あたりを出て、自民党の政治家になりたかったけれども、自民党に選んでもらえなかったという連中に過ぎないわけなんですよね。民主党は、では、そういった連中を追い出して党を純化させなければ、安倍自民党というものとの対立軸なんて作れるわけないのに、それを延々やらないまま、今に至ったと。で、今回の選挙のタイミングって、不意打ちだと受け取られましたけど、ロジカルに考えてみれば、確かに今しかやるときないって話だったんですね、来年は支持率が落ちるようなことを、まさにさきほどのアジェンダですけれども、これをどんどんもっと実行していくわけですから、来年選挙などできるはずがないんですよね。そうすると、もう後、任期末迫ってくるとなると、レームダックだということになるわけですから、それで来年になれば、ある種、政界再編の機運というのも本格化して、いわゆる自民党に対する対立軸っていうのを野党の側が作ってきそうだ、と。でも今の所はできてない。よし、今の内にやってしまえ、と。これは、政府与党の方が二枚も三枚も上手ですよ、ね。民主党は本当、自業自得だとおもいますね。
VIDEO NEWS » 与党圧勝が意味するもの

民主党が、第二自民党でしかないことについては、このブログでも、まあ、今ではどこでだって、当たり前のように言われている。特に、野田元総理が行った、密室での、自民党との大政翼賛会による、消費税増税の決定は、民主党の中には、自民党別動部隊がいて、まさに、トロイの木馬のように、中からクーデターを起こされて、いざとなったら、乗っ取られるのだから、

  • 民主党に投票することにはなんの意味もないんじゃないのか

といった意識が今回の選挙にも如実に現れていたことは否定できないであろう。つまり、民主党は、この党内体質を変えない限り、絶対に前回のような政権交代を起こせないことが、国民に見抜かれているわけである。
しかし、である。
そもそも、民主党なる政党に、そのような「自浄作用」が働くのであろうか。実際に、野田元総理は今回の選挙で、まるで、自民党が野田元総理を「自民党の功労者」として、彼だけは特別に、勝たせようとしているかのように、強力なライバルをぶつけてこなかったわけで、こんな人間を今だに党内に抱えている時点で、そもそも、なにかできるんですかね。はなはだ、うたがわしいわけである。

宮台:そういう意味では、ヨーロッパの場合には、なぜエネルギーの共同体自治や、食の共同体自治を巡る政策が論点になりうるかというと、やはりこれ、共同体自治は社会保守なんですね。食がテーマであろうが、エナルギーがテーマであろうが。それに対して日本では、沖縄という特定の地域を除いて、社会を保守するという立場の党がないんです。
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宮台:実は民主党には巨大な矛盾点がある。小泉自民党以降、とりわけそうなんだけれども、都市無党派層をどれだけ取りに行けるのかってことが、勝負になるんだけれども、民主党はそこは弱くて、今回も終盤盛り返したのは、労組が動いたからなんです。結局、民主党に地方組織があるっていったって、結局労組のことですから、いかに都市無党派層を取ろうか、みたいな所で、一所懸命、知恵を絞っているにもかかわらず、労組政党。労組政党なんかであったらですね、なんで今回労組が動かなかったのかって言ったらですね。労組が、原発再稼動、アベノミクス賛成だからですよ。だからそういう意味では、労組っていうのは、きわめて、エゴセントリックで、アメリカでもそうなんだけれども、経済団体の上席に座っているような、経営幹部連中と利害を同じくするような連中たちがですね、(神保:利害を一緒にする)、そういうことなんですね。そのような、矛盾する民主党、イメージの部分では、都市無党派層を取りに行こうとして、中間層を膨らませましょうみたいな、社会保守的なメッセージを出しているんだけれど、実際、股裂き状態で、まったくそれが民主党という政党のアイデンティティを構成していないし、実際メンバーをみてみても、社会保守だと思えるようなメンバーがごくわずかしかいないという現実。
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白井:まあ、連合なんかが労働組合を名乗っていること自体がおかしいんですよ。労働組合っていうのは、これは世界史的に見ても、やはり、輝かしいさまざまな業績があるものであって、まあ、いわばその名前を汚すために、名乗ってるんじゃないですかと。労働貴族団に過ぎないんです。
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宮台さんの論点は分かりやすいと言える。世界的な政治の対立構造を見てくると、ヨーロッパが特に、そういった色彩を強めていると言っているわけだが、ようするに、

  • 経済保守
  • 社会保守

の対立になっている、と言っているわけである。経済保守というのは、ホリエモンが地方に巨大スーパーを作って地元の商店街を根刮ぎ破壊すれば儲かるよね、みたいなことをブログで書いていたし、彼の持論として、所得税法人税をゼロにして、その代わり、すべてを消費税にすることによって

  • あらゆる福祉は「貧乏人たち」たけの自身のお金を、それぞれかき集めて実現すればいい

といったような「理想社会」に言及していたわけであるが、つまりは、それでも生き残れないような、経済発展になんの寄与もしないような若者は子供が産めなくて「当然」、(お金持ちは、モノを買ってくれるのでウェルカムだけどそれ以外の)ジジババといった、税金を喰いつぶすだけで、なんの経済的貢献もしない、年金と医療を喰いつぶすだけの連中は死んで「当然」とか、こういった、経済「サバイバル」を理想社会とするような連中を

  • 経済保守

と彼は言っている。こういった連中は、地方なんてない方がいいと思っている。地方は「無駄」だと言いたいわけである。東京という都市があればいい。地方に人がいる必要なんかない。そして、人がいなくなった土地で、原発を動かして、東京に電気を引いてくれば、それが田舎の存在意義くらいにしか考えていない。
なにもかもが、「経済合理性」という彼らの頭の中でも、脳内「経済合理性」によって、人々のライフスタイルも決定しているのであって、その「経済原理主義」によって、いわば、人々は「経済奴隷」としてあるのが「当然」というわけである。
他方それに対立するのが、彼が「沖縄」を例にして語る、「社会保守」というわけである。たとえば、なぜ日本共産党は長年、京都で強かったのか。それは、共産党だけが、地元の商店街といったような、

  • 町並み

の保守を主張したから、であるわけである。自民党とは、上記のホリエモンのような連中の塊なわけであり、民主党もそれに五十歩百歩。つまり、もしも自民党独裁政権によって、京都が支配されていたなら、一瞬にして、京都の町並みは、巨大ショッピングセンターによって、すべての小売業の町並みは、一網打尽にされていたであろう(私は、今でも、ショッピングモールなる「グロテスク」な、都会のコピペ建築群を礼賛している連中を見るたびに、上記のホリエモンに対して覚えた「恐怖」に、おそわれるわけである)。
このように考えてくると、今回の選挙でも、はっきり言って「一人勝ち」と言ってもいいような様相を示した、日本共産党について、考えないわけにはいかない、ということになるであろう。
しかし、この政党、この番組でも言われているように、徹底した「唯我独尊」なわけで、一貫した主張である「政党助成金の廃止」なんてやったら、共産党以外の野党は一つとして、存在しえないわけで、こんな主張をして、本気で野党連合を目指そうというつもりがあるんですかね。

神保:やあだって、今だに個人より党だってことが書いてあってね、なんか、自分が議員になりたい人は我々は推薦しないとか書いてあるわけですよ。党がやれって言った人が出てるだけだと、あれは。それは、ちょっと。
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神保さんのこの日本共産党の体質についてのつぶやきが全てを物語っているわけでしょう。日本共産党にしたって、歴史的産物にすぎないわけで、じゃあ、どうやって、自民党の暴走を止めるんですか? ねえ? なんとか言ってみてくれませんかね、日本の与党以外の政治家さんよお。一人でもいいから、答えてくれませんかね。一体、あなたたち、なにをしているんですかね。これで、自民党に、完全に戦後の平和国家の日本を破壊されて、どう責任をとってくれるんですかね。国民の政治への自民党を止めてほしいという声を、反映

  • できない

ような野党体制を、お前らが勝手に今のような体たらくにしくさって。本気で分かってるんですかね orz。