上村雄彦『世界の富を再分配する30の方法』

例えば、日本の安倍政権の政治が、前回は「保守ではない」という主張について検討した。しかし、だとするなら、安倍政権は一体なにをしているのか、ということになるが、不思議なことに、その本の著者はどうもそのことに興味がないようである。

  • ボクノサイキョウノ保守

なるものがあるようで、どうもそれに合わないものは全部、ダメ出しのようである(まさに、原発推進派が、反原発派の本を読みもしないで、ダメ出ししている光景と同じわけである)。
安倍政権は私は「お金持ち」優遇政権だと思っている。というか、露骨にお金持ちをどうやって優遇できるかを、内輪で話し合っている。そういう意味では、維新政府における、元老院に似ている。

安倍政権は基本的にこの二つを、タテマエとして、両方ともを「大事にしている」ように世間から見えるようにしようとしている。確かにこう書くと、一見するとこの二つは「矛盾」しているように見えるが、それは大したことではないわけである。なぜなら、両方のクラスタからは、それは「ボクタチノ安倍ちゃん」補正がかかって見えているからだ。きっと、ボクたちのために動いてくれている。一見、反対に見えるけど、きっと陰ではボクたちの意見を優先して行動してくれているはず。
しかし、安倍政権の最も重要視している政策は、それらではない。

露骨ではあるが、自民党がやりたい政策というのは、ようするに「身分」社会の復活なのだ。ようするに、お金持ちを優遇する社会である。
企業でも個人でも、お金を持っている人を優遇する。
しかしこれは、自民党政権が、さまざまな「献金」に依存して権力闘争をする政党であることから、必然的に導かれる状態だと言うこともできるであろう。
自民党政治の特徴は、バーター政治である、国民の中のお金持ちたちが自民党に「請願」をする。しかし、ただでは行わない。自民党への献金と引き換えに行う。そうして、自民党は、こういった自党にお金を貢いだ人たちを優遇して政策を実行していく。ところが、それらは、なんら

  • 正義の順番

とは関係のない政策優先度になっているため、日本は次第に倫理を失った非正義社会になっていく。
自民党がこういった非正義のバーター取引をお金持ちたちと行うためのバーターは、

  • 消費税

である。つまり、逆進税制である。
例えば、日本のGDPの半分は、個人消費であることが分かっている、この国で、なぜ庶民はお金を使わないのか、みたいなことをリフレ派は言うわけだが、彼らは本当に庶民の「税金」の計算をしているのだろうか? 確かに、消費税の増税の延期は、消費の落ち込みを抑える効果があるとしても、その裏では、年金や保険料は、当たり前のように上がっている。
それで、どうして個人の財布が緩むと考えるのだろう?
私はそういう意味で、経済学者というのは頭が悪いんじゃないか、と疑っている。そうでなければ、わざと、お金持ち優遇に誘導するために知らないふりをしているのであろう。
私は、いわゆる「左翼批判」の文脈で行われてきた、新自由主義グローバリズム、フラット社会、ゼロ年代セカイ系。こういった、もろもろの

  • 自由

を強調するイデオロギーは結局は、全て

  • 脱税

に収斂していった、と思っている。つまり、自由とは「脱税」のことであったのだ。結局のところ、あらゆる「自由」は、

  • お金持ちの「合法的脱税」、「半合法的脱税」

と、ほぼ同値の意味に結果してきた。そういう意味では、一切の「自由」は、まず最初に「脱税」を結果する。そういう意味では、自由の必要十分条件は、脱税なのである。
ここに一つの真理がある。
お金持ちは、その持っているお金のある一部を「脱税のためのコスト」に回すことで、さまざまな脱税のメソッドを使う。大事なポイントは、お金持ちはそれだけの「脱税のためのコスト」を使っても、十分に採算に合う、ということである。
ところが、貧乏人は、「脱税のためのコスト」に回すお金を、そもそも、調達できない。そのための余裕がないのだから、必然的に、一切の税金を徴収されることから逃げられない。
自由とは、まず、「脱税の自由」を結果する。つまり、これこそが、自由の一丁目一番地なのだ。
つまり、あらゆる権力闘争は、最初にこの

  • 脱税の自由

を巡って争われる。「法律に反していなければ、何をやってもいい」と言っている連中は、人類の悪魔だ。なぜなら、法律は、「脱税の自由」を巡って、権力争いを行われるから。お金持ちたちが、脱税の自由を巡って最初に行うのは、国家権力を、献金で買うことである。つまり、こっそり、袖の下を包んでやることで、税金逃れを合法的に行えるように、法律を変えさせる。こうすれば、「法律に反していなければ、何をやってもいい」ということは、「何をやってもいい」ことと同値になる。
恐しい。
だとするなら、私たちは、どのようにして戦って行けばいいだろう。

2秘密保持:タックス・ヘイブンの重要な要件です。大企業が実際に事業をおこなっている国、またお金持ちが住んでいる国の税務署は、法律で決められた税金をとるために、お金がどのように動いているか調査する必要があります。ところが、タックス・ヘイブンでは、大企業やお金持ちの利益を守るため、そこに置かれている銀行口座の情報について外国の税務署から提供を求められたとしても、それに応じません。

そもそも、株式会社は、一切の企業情報を公開しなければ、その会社が有望なのかそうでないかの価値を、株主が判断できないのだから、株主の利益に反する、ということになるはずである。だとするなら、一切のタックス・ヘイブンを使っている企業の

  • 個人情報

は公開されなければならない。それが「正義」なのだ。こういった悪魔的方法を採用してお金儲けをする会社は、自ら「タックス・ヘイブンを使って、脱税しってまーす」と、国民に堂々とバラさなければ、倫理的に辻褄が合わない。
今回のパナマパーパーにしても、こうやって脱税をした大企業やお金持ちのために、日本は消費税増税を迫られるような不況になっていることを考えるなら、私たちは、こういったタックス・ヘイブンを行っている企業を、一つ一つ、つるしあげていって、彼らの非倫理性を糾弾していかなければならない。脱税非国民企業は、日本で儲ける資格はない。脱税、お金持ちは日本の治安のいい社会で、安穏と生きる資格はない。こういった悪魔連中には、徹底した非売運動をしかけて、彼らが日本で儲けられないようにし、この日本から追い出すことが求められる。というか、そうしなければ、消費税が上げられ、私たち庶民の生活がより苦しくなる。私たちは、この資本主義社会における

  • フリーライダという悪魔

と、本気で戦わなければ、私たちの生活基盤を失ってしまうわけである。

EUでは、可決した強化された協力の手続きに基づき、金融取引税を実施するための具体的な内容が協議されてきました。2015念の年末、約3年の間なかなか決まらなかった課税対象の金融商品について、ようやく合意がなされたところです。この間、EU内に金融取引税の実施になお反対する国ぐにもいて、議論はなかなか進みませんでした。
せっかく一部の賛成国が集まってEU金融取引税の実施を決めたのに、なぜ反対国が関係するのでしょうか。その理由は、金融取引税の根本的な特徴である、国境を越える税であることに関係します。あらゆる金融商品は国境を越えて取引されています。EU金融取引税は、国境をまたいだ売り手と買い手の双方に大して税をかけます。つまり、たとえばつぎのようなことが起こります。EU取引税を実施しないイギリスや日本の金融機関が、税を実施するドイツやフランスの金融機関と取引をする場合、フランスやドイツだけでなく、イギリスや日本の金融機関も税を支払うことになるのです、この点に関しては、賛否両論の議論がいまも続いています。
このような論争があるなかでも、EU金融取引税を進めていこう、という各国の意思は保持されています。フランスやイタリアでは、EUの法律に先がけて、国内で金融取引税を実施する法律を可決し、すでにそのとりくみが進んでいます。
2015年12月の合意が「部分」合意とされているように、何%の税率とするかといった内容については、2016年6月までに妥結することが目指されています。当初、EU金融取引税は2014年からの導入が予定されていましたから、スケジュールは大幅に送れています。しかし、これまで何度か実施開始時期を延期しながら、各国は実施に向けて協議を続けてきました。EU金融取引税の朝鮮は、いまも続いています。

例えば、私たちが株式会社の株主になるのは、その株式会社の仕事の内容が「正義」にかなっているから

  • 応援

したい、ということが第一義にあったはずである。その事業内容が、社会にとって意味のあることだから、私たちは、わざわざ私財を抛って、この会社の事業の成功に賭けるわけであろう。
ところが、金融商品デリバティブは、株を勝った一瞬後には売っているw というか、一秒ももっちゃいないw 一秒一秒で、売り買いを繰り返す

  • 気が狂った

システムである。ようするに、コンピュータがやっているわけである。さて、こんなものが正義のわけがないであろうw
しかし、なんでこんなことが続けられているのか? それは、デリバティブが、現代の「錬金術」だからであろう。こういった、本当に企業のことを考えて株主になっているなら、絶対にやるはずのない行為を行うと、お金が儲かるのは、ようするに

  • 取引に税金がかかっていない

からと言うしかない。ようするに、これも一種の「脱税」なのである。
上記のように、その足取りはずいぶんと遅いが、いずれにしろ、EUは金融取引税に進んでいる。ところが、日本では、この税金が大企業やお金持ち増税になるから、まったく、検討すらされていない。
しかし、ね。
上記にあるように、もしもEUが金融取引税を行えば、日本は一方的にEUに税を取られるだけになるので、税のバランスから、日本も金融取引税を検討せずにはいられなくなるだろう。
こうやって、日本の自民党が陰で画策する、「身分社会」の企みを私たちが、主体的に破壊していかなければ、とんでもない悪夢の社会に、いつの間にか変わってしまうわけである...。

世界の富を再分配する30の方法

世界の富を再分配する30の方法