ベルギー戦敗退

昨日の日本代表の試合は、概ね、世界中で好評で、というか世界中の人が日本を「知らない」という関係から、こういったテクニックに富んだ選手が、一定の割合存在する国であることを見直させる、という意味で「驚き」を与えた、ということなのであろう(多くの人は忘れているが、日本のサッカー人口を考えれば、もっと多くの才能が開花していて不思議はないわけで、一定のレベルは以前から日本にはあったわけである)。
しかし、私には根本的なところで、そういった評価に違和感を覚える。それは、前回も引用させてもらった記事にあったが、今回の日本代表は、ほとんど一言で言えると考えているからである。つまり、今回の西野監督が「見出した」オプションは、パラグアイとの直前の親善試合での、香川と乾の「元セレッソ大阪コンビ」が攻撃的オプションとして使えるめどがついた、といった点にしがみついて、最後まで貫徹した試合だったと思っている。
それは、全体としてこの大会を俯瞰して、大局的に考察した、というより、大会直前に「偶然」見えた可能性に最後まで賭けるしかなかった、といった性質のものだったと思っている。
前回のW杯のザッケローニのときから、こういった「自分たちのサッカー」が一定のレベルにあることは認められていた。しかし、それで予選を突破できなかったことを理由として、日本は次のステージにステップアップすることが求められ、その過程で、いろいろあってハリルホジッチが監督となって、アジア予選は彼で勝っている。
西野監督はようするに、アジア予選の「苦労」をハリルに押し付けて、ロシア大会という「本戦」のうわずみ、「旨み」だけを、おいしくいただいたというわけで、卑怯な日本人はこれからも、予選の苦労を外国人監督に押しつけて、本戦で「目立つ」ためだけ、日本人監督で

  • 楽しみまくる

といった、非道徳的な行動を続けるのだろう。
昨日の試合はよく考えてみると「異様」な試合である。それは、後半そうそうに2点リードしたわけであるし、その前の試合のポーランド戦の残り10分を考えれば、本気でベスト8に行きたかったら、守備的な布陣でねばり強くこらえるしかなかったわけであろう。なぜポーランド戦の残り10分を攻めなかったのか? それは、疲れきった攻撃陣には無理だ、と考えたからであろう。そうであるのに、なぜベルギー戦はそう考えなかったのか?
つまり、どういうことか? ベルギー戦はそもそも勝つ気がなかったのだ(ベルギーの2点目を思い出してもらいたい。ベルギーは選手交代で前線に身長の高いフィジカルに秀でた選手を投入してきたが、なぜか西野監督はその「パッチ」を行おうとしなかった。このセットプレーでは明らかに、「ミスマッチ」が起きていた。しかし、そもそも勝利することに興味のない監督は、そんなことなど「どうでもよかった」わけであるw)。この試合は前回大会のコロンビア戦と非常によく似ている。後半にフルボッコにされ、負けたわけだが、なぜそうなるかというと、西野は

  • 自分たちのサッカー

をすることにしか最初から興味のなかった人間だから、その前回大会の「問題」を解決しなければならない、といった問題意識をもっていなかったのだ。
ようするに、日本は前回大会からなにも進歩をしなかったのだ!
ベルギーのほとんどの選手は、ヨーロッパのトップリーグのトップ選手ばかりであり、選手の年収は10倍は違う、などという報道があった。日本の選手がやりたかったことは、自分の「宣伝」なわけで、日本が勝つことなどどうでもよかった。何点とられようが、自分が点をとって目立てばよかったのだ。特に3点目をとられた、本田のフリーキックは最低だった。どう考えても、攻撃的な自力が残っていなかったにも関わらず、不用意なボールをカウンターされた姿は、彼らは前回大会からなにも変わっていなかったんだな、と残念な気持ちにさせられる。
そもそも、今回の日本代表はベテランだらけで、かつ、怪我人が多かった。そのことは、西野監督の目標が予選突破であり、決勝トーナメントを勝ち進むことを考えていなかったことを意味する。多くの怪我人を抱えて、これ以上、勝ち進むことは、ベテラン選手たちの選手生命を縮めることになることを分かっていただけに、そもそも、ベルギー戦を西野は勝つつもりがなかった。彼はわざと負けたのだ。
西野監督がやったことは、日本は「こういうゲームなら前回の大会のときにすでにやれた」ということを、あらためて再確認しただけであり、それ以上に進むものではなかった。
しかし、おそらくはこれは「広告代理店」的には正しいのだ。つまり、こういった「派手」な見た目は国内の宣伝という意味では成功する。サッカーをよく知らない、潜在的購買層に届く訴求力をもっている。
例えば、ロシアがスペインに勝った試合を見ていて、昔、日韓W杯のとき、トルシエ監督が、たしかスペインとの練習試合で、5バックのどん引きの練習試合をして、ボロクソに叩かれたのを思い出した。しかし、こうやってロシアが勝利したということに、なんとも言えない感覚を私などは感じさせられる。試合に勝つこと、勝ち進むことは、選手の「疲労」をコントロールすることでもある。派手に花火のように咲いて散るのは

  • 自爆

と言うのだろうが、その振舞いが派手であれば派手であるほど、彼らの余生を保証するのだから、いつまでも止むことはないわけである...。