日本版CDCを!

新型コロナについては、緊急事態宣言から今に至るまで、状況はどうなっていると考えられるのか?

新型コロナウイルスの感染の広がりをどう把握していくかについて、「8割おじさん」で知られる北海道大の西浦博教授が12日夜、オンラインで推定方法の詳細を解説した。感染の広がりを示す重要な指標の一つ「実効再生産数」が国内で4月中旬以降、0・7前後の横ばいで推移し、感染拡大は免れていることを明らかにした。
最新の実効再生産数、ほぼ横ばい 今後は県別も算出へ (朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース

まあ、「8割」は完全には行っていないから、減少の速度は遅いけど、R_t は1以下をずっとキープしている、と。
ただ、以下の方も指摘しているが:

この作業をへた「発症日」ベースで集計された流行曲線が、今回初めて示されたのですが、その結果は極めて驚くべきものでした。発症日ベースでは、新型コロナウィルス感染症の流行は全国では4月1日に、東京では3月30日に既にピークを迎えていたのです(平均潜伏期間は「5日」程度と言われており、「感染日」のピークはこの更に5日前の3月27日、3月25日であるであると考えられます)。
これを裏付けるように、時刻tにおける再生産数であるRtは、全国、東京都ともに4月1日に、感染が収束に向かう境界値である1.0を下回っており、4月10日現在で全国0.7、東京都0.5となっているとのことです。
専門家会議のコロナ報告書が示す驚きのデータと「5月7日以降」の合理的対策 - 米山隆一|論座 - 朝日新聞社の言論サイト

緊急事態宣言が、感染者の「指数関数的増加」が問題で発令されたと解釈するなら、それを

  • 発症日ベース

で整理すると、宣言発令時点ですでにピークアウトしていた、ということになるのだから、緊急事態宣言とはなんだったのか、ということになるんじゃないのか、といった疑問がある(つまり、緊急事態宣言以前から、企業はリモートワークを始めていたし、各自は自粛や、マスクや手を洗うなどの自衛策をしていたわけで、緊急事態宣言以前に「ピークアウト」していたとすると、この「ピーク」の「原因」はなんだったのか、ということになるだろう。つまり、この「ピーク」が下がっていった要因としては、例えば、海外渡航者の入国禁止を行ったことが原因なんじゃないのか、とか。つまり、そもそもどこまで「緊急事態宣言」そのものが実効性があったのかは、ちゃんと分析すべきなんじゃないんですかね)。
ただ、そもそもこの宣言が

  • (東京医師会などから要請された)医療インフラの危機

が問題と考えるなら、今でも以下のような状況だというのだから、なんなのかな、といった印象になる。

厚生労働省は10日、新型コロナウイルス感染者用の病床について、ピーク時に3万1077床を見込んでいるのに対し、実際に確保できているのは1万4486床で半分に満たないことを明らかにした。
東京都や石川県では8割を超える病床が埋まっているとみられ、患者の受け入れが逼迫(ひっぱく)している実態も判明。安倍晋三首相は4月、5万床を確保する考えを示していたが、目標とはほど遠い現状が浮き彫りとなった。
コロナ病床、想定の半分以下 確保済み12県、東京、石川逼迫―厚労省:時事ドットコム

各国の状況を見てみると、ロックダウンを解除できるかできないかは、ほとんど、

に比例して実施されているように思われる。つまり、もとからこの問題は、人、物を含めて、さまざまな医療資源を日本が「人員削減」などを行ってきた関係で、日常的に「かつかつ」の状況だった、といったことの方が本質的なんじゃないのか、といった印象は受ける。
ネットを見ていると、日本は欧米に比べて「死者数」も少なくて、つまりは、

  • 日本の「対策」は、欧米に比べて「優れて」いた

といった、「ホルホル」発言が多く見られるわけだが、私たち一人一人がさまざまな対策を行っていたことによって改善したことが、政府の「不作為」を覆い隠した、といった側面を見逃す側面は否定できないわけであろう。
ダイアモンド・プリンセス号での対応から、今に至るまで、何回

  • 日本政府の対応(官僚や政治家の対応)

がいかに「ひどかった」かを、「(欧米との)結果」の比較で

  • 日本は(比較的に)被害が少ないんだから、政治家さん、ありがとう

と語っている人たちは、では、そもそもなぜ、これだけ欧米との死者数が現在において違っているのかを、別に説明できるわけでもないわけだ。
国家の「不作為」が甚大な被害を結果するかどうかは、その「不作為」がいかにひどいのかと完全に比例するわけではない、当たり前だが。そう考えるなら、できるだけ「問題」を解決しておくことが、今後の「危機」に備える、という意味で重要なことは

  • 3・11の福島第一

で学んだんじゃないのか?
日本の問題は、一点に集約しているわけで、

  • なぜ、日本版CDCがないのか?

に尽きている。

──日本の今回の対応をどのように見ていますか。
米国とは対照的に専門家の機関がない。感染症対策なのに政治家が判断してしまっている。厚生労働省の中で専門家などを集めてはいるが、恒久的な専門家機関を持っていない限り、対応が後手に回ってしまう。
政治家はいくら責任者とはいえ、感染症対策については素人。そうすると、政治的な思惑を持った思いつきの対策になってしまう。学校の全校閉鎖も単なる思いつきだった。もしかしたら効果は大きかったかもしれないが、教育面や経済面の被害も大きかった。
──日本版CDCはなぜ存在しないのでしょうか。
中国や台湾、EUにもCDCはある。ただ日本の厚労省の官僚は、自分たちで対策ができていると思っている。確かに、少ない人数で必死に対応に当たっており、優秀でもある。しかし、そこに感染症の専門家はいない。
加えて、官庁の人事システムにも問題がある。彼らは2年で担当が変わる。03年のSARSや09年の新型インフルエンザの対応を経験した人も、今は担当部署に残っていない。今回の新型コロナウイルスを経験した人も、次に感染症が流行した際にはもう残っていないだろう。そのことを幹部の方に確認すると、「交代の際は引き継ぎを正確にしていますから、決して経験が途切れることはありません」と言うのだが。
「感染症対策は素人には無理、 “日本版CDC”が必要だ」 | 激震!コロナ危機 | 緊急特集 | 週刊東洋経済プラス

なぜ、専門家会議ではなく、日本版CDCが必要なのかといえば、その専門家組織の

  • 独立性

が疑わしいからである。

Buzzfeedのインタビューで西浦博教授(北海道大学)が述べているが、専門家会議と行政は、何をどう発表するかで揉めることが多々あったようである。
新型コロナ、安倍政権と専門家会議の「いびつな関係」(現代ビジネス) - Yahoo!ニュース

よく考えてみてほしい。もしも西浦教授が「言うべき」と思っていることを、国家に止められる、または、「忖度」することで語らなかったら、何が起きていたのか?
というか、つい最近まで、

  • オリンピック

をギリギリまでやると言っていたわけである。「だから」上記の

  • どう発表するかで揉めることが多々あった

っていうのは、もっと早くに

  • 先手の対策

を行えたのに「オリンピック」を理由に行わなかったがゆえに、

  • 本来は救えたはずの多くの命がなくなった

可能性も、十分にあるわけである。
大事なことは、こういった「科学」の機関が、政治と

  • 独立

していない、ということがいかに「危険」であるのか、を私たち一人一人が理解することなのだ。ここで一つ間違えれば、

  • 国家が滅びる

のだ...。