ガルクラ第7話

アニメ「ガールズバンドクライ」だけど、1クールと考えると、12話くらいだから、あと5話はあるということになるのか。第7話は、より仁菜と桃香の過去が明かされる形になっていて、話の複雑さが増してきている。
まず、仁菜がなぜ不登校になって東京に来たのかの問題で、これはたんに学校での「いじめ」というだけではなく、彼女と彼女の父親との「対立」が重要だったことが分かる。姉が仁菜を心配して訪れてきたわけだけど、そこで語られた内容は、

  • 父親問題

だった。つまり、父親は「カリスマ教師」となっていて、独自の教育論を本にしているような人だったことが分かる(回想シーンで、仁菜が父親に向けて彼の書いた教育本を投げつける場面が登場する。そのときの本のタイトルは、「熊本県教育連盟顧問・井芹宗男『子育てに必要な百の知恵』。オビは「現職教員が紡ぐ、親と子の未来への指南書」)。その父親が娘への「いじめ」に直面したとき、彼が行ったことが

  • 隠蔽

だった。つまり、父親は自分のカリスマ教育者としての対面を考えて、その事実を表沙汰にするのを嫌い、代わりに、その娘の「いじめ」をなかったことにすることで、学校に「恩を売る」ことをたくらんだ。そして、それを父親は娘に向かっては、「娘のため」と強弁する。この一連の出来事がどうしても自らの正義感から受け入れられなかった仁菜は、不登校になる。そして、上京して今の予備校通いとなる。つまり、仁菜の考えはこうだ。父親によって大学に入れた、という考えは、「こういう」父親に対しては、仁菜は正義感から許せなかった。それはたんにズルだから。よって、上京して、自分だけの力で予備校に通って、大学に入ることを目指した。
こう考えると、仁菜の「予備校をやめる」、つまり、大学進学をあきらめるという発言は、必然的に

  • 父親問題

の延長で行われていることが見えてくる。
まあ、ありがちなストーリーではある。大学教授の子どもや、学校の先生の子どもが、おうおうにして、成績があまりよくないのは、親が教育熱心じゃないからではなく、その逆で、「あまりにも子どもに期待をかけすぎている」から、そのプレッシャーが子どもを苦しめるわけだ。その事情は、すばるが、おばあちゃんの親の七光を嫌って、女優の道に進むことを嫌がっているのと同じだ。
子どもは一人の人間である前に、父親であり母親の「ペット」である。つまり、子どもの人権を奪うのは常に親だ。よって、子どもが未来に進むためには、どうしても親との「対立」を経ることによってしか実現しない。そのために、仁菜はどうしても予備校をやめることが必要だった、と考えれば今の上京での状態はそれほど不思議はない。
いずれにしろ、仁菜はまだ「現在進行形」だ。あまり今の状態に対して、どうこう言うのは重要ではない。対して、桃香の事情は別だろう。
桃香は仁菜が「プロを目指す」と彼女に向かって言ったことに対して、受け入れられない。それは、まずなによりも、彼女自身が自分の才能を信じきれないから。というより、ダイダスでの自分の脱退の経緯から、彼女は根底から自分の才能があると思えなくなっていた。そりゃそうだ。自分が今までやってきたことを否定されて、路線変更を迫らせれ、そうまでしてプロになることは、それまでの彼女の音楽活動を

  • 否定

されたことと変わらないからだ。つまり、彼女は一度、失敗している。自分の音楽、自分の才能を一度否定された人間は、そう簡単に、もう一度チャレンジしたいとはならない。いや。怖いんだ。もしも、もしも、もう一度、自分が否定されたら、それこそ本当にあきらめなければいけなくなる。その「答え」がでることが怖くて、前に進めないんだ。
桃香がどうしてもお酒を頼りにしなければならなくなっているのも、このプレッシャーにおしつぶされそうになっているからだ。
こうやって考えてきたとき、この話は、少なくとも、このままでは終わらない、ということなのだろう。桃香が前に進むためには、なによりもダイダスの以前のメンバーとの「再対決」が絶対的に必要だ。そして、仁菜もそうだ。ダイダスの新しいボーカルとの対決もそうだし、父親との対決も、どちらも必ず行わないといけない。そして、なんらかの決着をつけないといけない。そうしないと、絶対に話は前に進まない...。