『荘子』

まだ、読んでいる途中だけど、以下に引用したところなどから、まず、プライバシーということを考えた。

君は、あのカマキリというものを知っているかね。車が通りかかると、そのヒジを怒らせて、その車輪めがけて立ち向かおうとする。(中略)君はまた、あの虎を飼っている人間を知っているだろう。かれは虎に生きた物を与えることを避けるが、それは虎がこれを殺すはずみに、怒りを発っすることを恐れためである。また虎に、姿そのままの物を与えることがないのは、虎がこれを引き裂くときに、怒りを発っすることを恐れるためである。(中略)また馬をかわいがるのは、小箱のなかに糞を入れ、大ハマグリの器に小便をとるというように、たいせつにする。ところが、たまたま蚊やアブが馬のからだにとまるのを見て、不意にこれをたたくようなことをすると、馬は驚いてくつわをひきちぎり、首を折り、胸をうちくだく、といった始末になる。(「内篇 第四 人間世篇」)
「私が斧を手にして師匠のおともをしてから、このようなりっぱな木を見たことはありません。それなのに師匠は振り向きもなさらず、さっさと行きすぎて足をとめようとなされないのは、どうしたわけでしょうか」すると、匠石は答えた。「くだらないことをいうな。あれはまったく役にたたない木だ。あれで舟をつくれば沈むし、棺桶をつくればすぐ腐り、道具をつくればすぐこわれてしまう。門や戸にすればヤニが流れ出るし、柱にすれば虫が食うという始末で、まったくとりえのない木だ。使い道がないからこそ、あのように長寿が保てたのだよ」(「内篇 第四 人間世篇」)

テレビの芸能人や政治家は、さんざん、プライバシーをテレビや週刊誌にさらされて、はたして、そんな生き方をしたいと思うものだろうか。ということで、このブログでも、極力、プライバシーに関わることは書かないかもしれない。

荘子〈1〉 (中公クラシックス)

荘子〈1〉 (中公クラシックス)

荘子〈2〉 (中公クラシックス)

荘子〈2〉 (中公クラシックス)