なぜJリーグの年俸が今のようになってしまったのか?

この前の新潟と神戸の試合についていろいろ書いたが、そもそも、選手年俸で比較するなら、新潟は神戸に勝ってはいけないレベルの金額差だよなw
つまり、さ。Jリーグの選手年俸は明らかに

  • いびつ

な構造になっている。そして、最悪なのは、いわゆる「C契約」と呼ばれている、主に、新人の選手が最初に結ばされる契約だ。
これによると、全てのJリーガーは必ず、新人は初年度の契約はC契約と呼ばれる契約形態で行わなければならない。つまり、固定給と呼ばれる年俸の上限が450万円。これは、通常のサラリーマンで考えれば、違和感はないと思うかもしれないが、問題はこれが

  • すべての選手

に適用されていることだ。ひとしく、全員がこの契約を受け入れなければならない。
そもそも、プロ選手というのは、通常のアマチュアで活動している人たちでは達成できないようなレベルのプレーを行って、見ている観客からお金をもらって稼ぐ主体だ。その彼らが、通常のサラリーマンレベルのお金しかもらえないとしたら、どうやって、自己投資をするのか、という疑問がわくであろう。
こういった状況が日本の若手選手の海外流出を起こしているんじゃないか、といった指摘もある。
考えてみてほしい。プロスポーツとは常人では考えられないような、スーパーなプレーをする人たちと考えられている。そういった新人が、あまりにも安い給料で最初の何年かを働かされて、もしもその間に選手生命が終わったら? プロスポーツのハードな世界では少しもめずらしいことじゃない。
私が普通に考えて、一番合理的な方法は、日本のプロ野球の方法なんじゃないかと思う。つまり、

  • ドラフト制

だ。これによって、ドラフト優先権を下位チームを優先させれば、各チームのバランスが保たれる。また、海外移籍の条件に、国内で何年在籍したのかといった、各チームへの貢献によっての許可制にすれば、各チームがその選手への投資が無駄になった、といった文句もなくなる。
(Jリーグの場合は、、J2やJ3のような下位リーグがあるため、こういった下位チーム優先のドラフト制度の導入が難しかったのだろうが、それをやらないがゆえに、極端な富豪チームだけに将来有望な選手が集中する問題が、まったく解決されていない。)
そもそも、なぜJリーグがC契約などという馬鹿な制度を導入したのかというと、その最初は草創期の「バブル」がはじけた後の、各球団の経営危機を逃れるために、協会が主導して行った

だったと言われている。しかし、今や当時のバブル崩壊も終わり、各球団の経営は安定しているわけで、なぜ、そうなった今もこの制度が維持されているのかには、合理性がない。
しかし、こういったことを言うと、若い選手の海外へのチャレンジの機会がなくなるなわけで、そっちの方の「選手の自由」をなくさせる政策が本当にいいのか、といった疑問をもつ人もいるかもしれない。
しかし、である。
そんなことを言っているから、Jリーグそのものの「魅力」が失われたんじゃないのか? プロスポーツとして、最高のレベルの、最高の品質のリーグを維持するためには、若手選手の「ひきとめ」は必須なんじゃないか? しかも、そういった海外志向の強い選手も、一定のJリーグへの貢献が認められた後は、自由に海外に移籍できる。こっちの方がよくないかな?

追記:
この提案は、おそらく近年になって、日本人選手がイギリスのプレミアリーグで何人かがレギュラーになっている状況を考えても、整合性がないと考えるだろう。プレミアリーグの選手は、ものすごい金額を稼いでいる。しかも、ほとんどが「若い」選手だ。そのことは、サッカー選手の選手生命の短かさを意味している。
しかし、他方において、プレミアリーグ偏重の今のサッカー界に違和感がないわけではない。Jリーグの黎明期において、読売グループがヴェルディの三浦に払った2億円は、当時の世界のサッカー選手の最高年俸だったと言われている。当時の日本はまだ、バブルの最後くらいで、それくらいは払えたわけだ。
長期的に考えたとき、そもそもプロサッカー選手の選手生命の短かさを考慮した契約形態を目指すというよりも、

  • より多くの選手の選手生命を長くできるような「ルール」作りを模索する

方が合理的に思えるわけだが、そういった方向に向かわず、選手の「アスリート化(選手生命を短くする)」が進んでいることは、基本的にはサッカーの「今のルールの中での最適化」ばかりが目指されていて、もともとの本来の

  • サッカーの原始的な魅力

が保持されるルールの進化が止まっている、ということなのだろう...。
(このことは、近年の、たてポンサッカーの隆盛、「繋ぐサッカー」の否定の流行とも関係しているのだろう...。)