甲斐よしひろ「トランスレディ」

甲斐バンドについては、前に少しだけ、書いた。
昔の私の印象としては、この人は、ラジオで音楽番組の司会をやってた人という印象が強い。中学生くらいの頃だろうか。NHK FM で、よく彼の番組を聞いていた記憶がある。
ちょうど、甲斐バンドを解散するとかいう時期で、その辺りから、ほとんど、この人がその後なにをやっているのか、興味が、ほぼ最近までない。
けっこう、そういうことって多いものだ。子供の頃、興味をもっていたことと、大学くらいからの、興味がまったく変わってしまったこともあって、どうも、人格的にも、なかなかつながらないのだ。
もちろん、甲斐さんも多くのアルバムをその後もだしていたようで、大人になって、(最近ですけど、)ちょっと聞いたりする。
基本的に、エンターテイメントなのだ。こういう商業音楽は。
おそらく、彼がこうやって、最近まで、旺盛な制作活動が続けられてきたのも、そういうことなのだろう。

ストリート40 あの悲鳴
スリルの嵐に 踊りでた彼女
とっておきのナゾめいたキス 闇夜の君の鋼鉄(はがね)の微笑(ほほえみ)
ため息を盗み 秘密をたべる
狂ったようにまわり 夜通し燃えあがる

なんと言うか。妙に、翻訳調、なんですかね。洋楽の歌詞カードの日本語訳から、いろいろ拾って、つなげたら、こんな感じになった、といった感じの歌詞かな。
なにか、商業音楽活動を、錬金術のように、神聖化することは、あまり、実り多いことではないんじゃないだろうか。もっといえば、これを「音楽活動」と考えることもないのではないだろうか。
そのラジオの番組では、よく洋楽がかかっていた。
恐らく、こういう創作活動そのものが、そういった試聴に対する、アンサー・ソングの意味が大きいんだろう。どういう曲を書くかが、そういう番組でかかる洋楽をどう聴いたのか、の批評的な意味が大きいのだろう。
私たちは、こういった創作活動を、一つの批評活動の一連の中のものとして、消費していると考えれば、それはそれで、楽しめる、そんな所なんじゃないかな。

エゴイスト

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