あなたとは違うんです

福田さんが、辞退したことで、流行語大賞は、まったくピント外れ、のものばかりになった。
明らかに、今年は、掲題の、それだった。
それは、どういうことか。総理大臣というのは、日本のリーダーなわけだ。まがりなりにも、日本のリーダー、総理大臣という職にある限り、トップとしてふるまえる。
その総理が、その職を辞めるときに、前から、いろいろと陰では言われてきた、評価について、正面から、答えた言葉がこれだった、ということだ。
「総理の発言は人ごとのように感じる」
に対して、
「自分自身を客観的に見ることはできるんです。あなたとは違うんです
ですよね。
そして、この言葉は、ずいぶん長い間、いろいろな所で話題にされた。
あの反応は、なんだったんでしょうかね。
言ってみれば、福田さんは、キレた、わけだ。最後の最後に、こういう態度だったので、国民は、いろめきたった。びっくりしたのだ。
あまりに、庶民的な反応だった、ということだ。
福田さんが、どこか他人事のように、受け答えをすることは、どこかで、彼自身が選んできた、スタイルですよね。
そこに、大きな意味がないことは、明らかであったが、どこか、庶民感情を、さかなでする面があったことは、確かなのだろう。多くの庶民は、多くの自分の生活圏において、いろいろな人に、こびへつらって生きている。そういう、おたかくとまった態度で生きている連中を、どこか許せない、というわけだ。
しかし、それに対して、正面から答えたものが、逆ギレだったというのも、国民にとっては、意外であった。
よく考えれば、自分だって、「あんたとは違うんだ」って、毎日、いろんな人に対して、思ってるじゃないか。「自分には自分の感じ方がある。勝手に、そっちの考えをだれにでもあてはまると思っておしつけるんじゃねーよ」。
実に、最近の子供の感受性にフィットするような、認識でしょう。
いわば、やっと、最後になって、国民は福田さんを、理解した、彼の感受性に、近づいた、ということですね。これが、弁証法なんですかね。
そもそも、彼自身、もう、70歳を越えている、老人なわけだ。もう、老境なんですね。そういう相手に、庶民的な嫉妬とか、あまりに子供っぽいんですね。
花深く咲く処 行跡なし
だそうだけど、ようするに、老境を言いたいわけでしょう。年寄りに、多くを求めることの、はしたなさを知るべきでしょう。
今の麻生総理にしても、基本的なリテラシーのなさを感じますよね(いちいちの発言が、子供っぽくて、危なっかしくてしょうがない)。だから、あまり、多くを求めることは、ないものねだりなんですね(自分にだってないわけだし)。最低の、ポリティカル・コレクトネスを、もってふるまってもらえることこそ、国のトップに求められることなわけで、高望みしないことでしょ。
これは、アメリカの今回の選挙では、マケインが経済問題でドタバタを繰り返していた中で、オバマが常に冷静な発言を通した、これが決定的だった、ということだそうですが、同じような話ですね。