西尾維新『不気味で素朴な囲われたきみとぼくの壊れた世界』

「きみとぼく」シリーズも、第4作、ですか。毎回、読むたびに思うんですけど、前回までの、内容を覚えていないんですよね。
以前の、ストーリーも、登場人物も思い出せない。
逆にそれだから、新鮮な気持ちで読める、とも言えるが、ということは、それほど、強烈な印象がない(ストーリーが支離滅裂)とも言えるわけだ。
そういう場合に、ブログは便利だな、と思って、昔の記事をみてみたら、なんにも書いてない。
「きみとぼく」シリーズは、どう考えても、あんまり、書きたくなるような、内容じゃないことは確かなんだよな(それなりに、このシリーズは、リスペクトをもって、トレースしてきたんですけど)。
今回も、(準主役の)病院坂が、話の途中で、死ぬ。
もっと言えば、読みごたえのある場面は、ここだけ、とも言える。前半の、軽口のところとの、ギャップという意味で。
病院坂の死は、串中によって、直接、行われたものではないが、間接的には、予測できた。というより、串中は、早い段階で、犯人をすでに特定していたのだから、この犯罪のすべてを、未然に防げた。しかし、彼は、それをしない。
しかし、そのような構造は、以前の「きみとぼく」シリーズの本の事件ですでにあったんじゃなかったかな。しかも、以前はもっと直截に、串中の間接的な犯罪、と言っていいようなものだった。
今回はどうかというと、どうも何を考えてるのか、さらにわかんない。「これからも生きていこう」と思いながらも、でも、「僕はもう駄目だけれど」。
ちょっと、ついていけないかな(若い人の感覚なんでしょうか)。何が言いたいんですかね。
不気味というチープな表現は使いたくないけど。
これは、人間の物語なんですかね。