STAP細胞と若山先生の反省

STAP細胞の問題について、この前の第三者委員会の報告に対して思ったことは、これは「刑事事件」の取り調べではない、ということであった。
つまり、今回の事件が、本気で問題だと思うなら、例えば、だれかが税金の無駄使いをしたから、その賠償を、だれかがやらなければならないんだ、といったように考える人がいるなら、まず、まっさきに、小保方さんのパソコンを、令状をとって、差し押さえる必要があったであろう。しかし、今に至るまで、だれもそれをやらない、ということは、基本的にそういった扱いは、こういった科学の世界には、ふさわしくない、と考えたからであろう。
それが、今回の事件の大事なポイントなのではないか、と思っている。もしも、小保方さんが、この第三者委員会の決定に反対なら、以前から匂わしていたように、訴訟沙汰にすればいい。しかし、一つだけはっきりしていることは、若山さんは非常に深く責任を感じている、ということではないだろうか。

思い切って聞いた。「CDBの複数の先生が、若山先生の実験結果があったからこそ信じたと話しています。そのことはどうとらえていますか」。
「僕がノートを見るとかして、おかしいということを突き止めておけば、他の先生達が信じてしまうのは防げたと思う。ただその時点では、僕自身が信じていたから、すごいんだ、というのを(小保方氏と)一緒になって話してしまった。僕がキメラのデータを出して、笹井先生を含め皆が信じてしまったというのは、申し訳なかったと思います」

捏造の科学者 STAP細胞事件

捏造の科学者 STAP細胞事件

「STAPに関してはもうすべて終わりにして、今後はまともな、皆の役に立つ研究をして成果を出していくことに専念したい。税金の無駄遣いのようなことになってしまったわけなので、新しい、ちゃんと役に立つ成果で償っていきたいです」
捏造の科学者 STAP細胞事件

若山先生による「太鼓判」があっただけに、多くの関係者は、言わば後には引けないところまで、STAP細胞の存在を擁護する論陣から退けなかった。彼らのプライドが、こういった擁護を否が応でも行わざるをえなくさせていた。プライドの高い科学者だからこそ、やめられなかったわけであろう。
もちろん、今後、どういった展開が待っているのかは私には分からないが、さまざまな意味において、悪かったと言っている人がここにいるわけで、そのことの事実の大きさは、別に、この事件の「真実」がなんなのかに関係なく、存在するわけであろう。