ブラック企業

昨日のSMAPの会見は、驚くというより異常な印象を受けるものであった。
まず、ここで「謝る」というなら、何を謝るのかをはっきりさせなければならない。
なぜ、謝るのか。だれに謝っているのか。なぜ謝っているのが自分なのか。なぜ、謝ることで許しを請う必要があるのか。
ところが、である。
なぜSMAPは謝ったのか。報道によれば、彼らはジャニーズを退社して独立しようとしていたという。別に、入社して二、三年の新入社員ではないわけである。何十年も働いてきて、すでに、40台の立派な社会人が、会社を辞めようと思うことは、あまりにも当然の行為ではないのか。
ではなぜ、今回、会社からの独立を彼らは「あきらめた」のか?
つまり、である。
謝るべきは、ジャニーズという会社がSMAPに対してではないのか。彼らSMAPのメンバーが会社を辞めないということは、なんらかの理由で、ジャニーズが彼らの独立を認められない理由があったからであろう。だから、さまざまな理由で彼らを「ひきとめた」のではないのか。そして、しぶしぶ、彼らに「我慢」をしてもらったのであろう。
というか、である。
もしも、そうでなかったとするなら、非常に「恐しい」事態になっている、と解釈せざるをえなくなるわけであろう。
つまり、SMAPのメンバーが会社を辞めることを「あきらめた」のは、なんらかの意味での、ジャニーズという会社によって、彼らの独立が「妨害された」、邪魔をされた、ということを論理的に意味してしまう。
芸能界の世界は、テレビの電波が「有限」であることが象徴的なように、「フロンティア」ではない。つまり、仕事がどんどん無限に開けて存在している場所ではない。各芸能人はその限られたコンテンツの中で、それぞれ決まった量の「パイ」を奪い合う。だとするなら、ジャニーズの稼ぎ頭のSMAPが会社を辞めることは、その分の利益が、ジャニーズから離れることを意味する。この損失を彼らが嫌った、というわけである。
しかしね。
これって、典型的な「ブラック企業」ですよねw

SMAPほど有名なタレントでも、所属事務所に隷属的な印象を受けました。いつもは中居さんが中心になって話すことが多いと思うのですが、今回は事務所を離れると報じられていた4人が脇にいて、当初から事務所に残ることを表明していた木村さんが中心に話していました。
40歳を過ぎた大人がテレビの前にずらっと並ばされて謝っている姿は、さらし首のような、見せしめ的なものに感じました。そもそも、なぜ謝るのか、誰に謝っているのかがわかりません。
今回の謝罪生放送は、芸能人の人権や労働者性を考える上で、とても勉強になりました。
一般の労働者が会社を辞めたいと申し出た際、「辞めるなら損害賠償を請求するぞ」などと会社から圧力をかけられて、退職を妨害されることは、ブラック企業と呼ばれる企業において、非常に多くあります。
今回の解散騒動は、その「退職妨害」と通じるところがあると感じました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160119-00004185-bengocom-soci

社員が辞めようとすると、「お前をこの業界で生きられないようにしてやる」と凄むって、典型的なブラック経営者ですよね。
そのように考えてみると、ジャニーズを辞めたアイドルで、その後も、この業界で長く続けている人って、ほとんどいないんじゃないですかね。さまざまな「嫌がらせ」を受けて、ほとんどが、この業界から離れさせられている(まあ、残っているということは「円満退社だった」ということなのだろうが、それにしても、円満に辞められないと、干されるって、こういった「顕名」で、顔をさらすことをビジネスとしている、芸能界の恐しさを意味しているんでしょうね)。
あのさ。
芸能人って、奴隷なんですかねw 長く、会社に貢献してきた人が、独立して、自分の会社を作りたいという

を許さない、ということはさ。芸能界全体が

  • ブラック業界

ということになりますよね。こんな世界にどうして、子供たちが「夢」をもてるのかな。
これさ。
かなり「ヤバい」ことになってきていませんかね。私はこのままジャニーズの上層部が、雲隠れを続けて、マスコミの前で謝罪会見を行わないでいると、ジャニーズ自体が今の日本マクドナルドのように

  • 国民からハブられる

ということになりかねない、と思うんですけどね。
そう思ってネットを見ていたら、同じようなことが台湾でもおいていたそうでw

去年11月、自分が台湾から来たことをアピールするために韓国人アイドルの中で「中華民国」の国旗である小さな青天白日旗を韓国の国旗とともに振って見せた。番組制作者の指示によるものだろう。
この画面は中国大陸のネット空間にも数多く転載された。
それを観た台湾の男性タレントで中国大陸を主な舞台として活躍している北京在住の黄安さんが中国のツイッター「微博(ウェイボー)」で「周子瑜は台湾独立派だ」という悪口を書いた。そこで中国大陸のネットが燃え上がり、周子瑜さんへの罵倒が始まったのである。
実は周子瑜さんは、中国の旧正月である春節の夕べの大型地方番組(安徽省主催)に出演することになっていた。彼女のファンは中国大陸にも大勢いる。しかし、この罵倒が始まると、1月13日に、予定されていた安徽省BSの春節番組担当者から降板の知らせを受けた。降板の知らせもネットで公開されている。このサイトの下の方にいる男性が黄安だ。彼は「我是反台独(私は台湾独立に反対です)」というプラカードを持ち、大陸におけるビジネス活動を確保しているのである。中国におもねる表情が見て取れる。
一方、中国から睨まれたらビジネスが立ち行かなくなると考えたのだろう、TWICEが所属する韓国のタレント会社JYPエンターテインメントは、周子瑜さんに公開謝罪を強要。
その場面はネットを通して全世界に広がっていった。
中国大陸における公開謝罪場面には「環球時報が、これは台湾独立に反対する大陸のネットユーザーの完勝だと評した」というタイトルが付いている。
こちらには英語もハングルも中国語もあり、各国の反応の声もある。広告をスキップすれば、見やすいかもしれない。
自信を失ってうろたえているような顔で、周子瑜さんは「中国は一つです。海峡両岸は一体化しています。私は中国人であることを誇りに思っています。両岸のネットユーザーたちの心を傷つけたことを、心からお詫びします。私はしばらく中国におけるいっさいの活動を中止して反省しようと思います。皆さん、本当に申し訳ありませんでした」などと、紙を見ながら読み上げて謝罪した。
“人民元”に謝罪させられた台湾アイドル――16歳の少女・周子瑜(遠藤誉) - 個人 - Yahoo!ニュース

あのさ。確かに、アイドルは事務所の「社員」だよ。だからといって、なんで、「社員」が、会社を代表して謝らさせられるんだよ。おかしいだろ。謝りたいなら、会社が、会社の責任で、その会社を「代表」する立場の人間が謝れよ。
おかしいだろ。
だって、一人の社員でしかない人間に、どうして会社を代表して謝るほどの「権力」があるんだよ。そういう意味では、社員なんて、会社となんの関係もないだろ。
SMAPにしても、この台湾のアイドルにしても、どこも悪くないじゃないか。自分として当然の、言論の自由であり、職業選択の自由であり、人として一つも間違ったことをしていない。
むしろ、全ておかしくなっているのが、

  • 会社が社員に「行動を命令している」

ことにあるわけであろう。よく考えてみろよ。その命令は本当に労働契約の中の「権利」なのか? 社員の「権利」を侵害しているんじゃないのか?
今のネットの時代に、ジャニーズのような会社が「許される」のか? こんな会社は、今回の事態を契機にして、国民によって「滅ぼされ」なければならないのではないのか? あれだけワタミの社長を糾弾した国民が、こんなブラック企業を、いつまでものさばらせていいのか?