プログラミング社会

例えば、仕事でマイクロソフトのワードやエクセルやパワポを使っている人は多いだろうが、それには、「マクロを記録する」機能があるし、フリーのテキストエディターでも普通についている。
ようするに、自分が行った操作をマクロというプログラムにしてくれるので、後からその操作を何度も実行する必要がない。そこに記録されているプログラム通りに実行するように、ボタン一つで要求すればいい、というわけである。
そう聞くと、「いや、そんな難しそうな機能を使わないよ」と言うかもしれないが、よく考えてみてほしい。私はある仕事場で、毎日同じ操作を行う。

  • 毎日

である。しかし「同じ」なら、パソコンにその「操作」を記録させておいて、自動実行させておけばいいのではないか。
勘違いしている人がいるが、そもそもコンピュータとは「そういう」ように使うように作られているのであって、だから、便利なわけである。
私が言いたかったのは、別にここで、プログラミング言語を「習得」するのかしないのか、という瑣末な差異を問題にしているのではない。そんなことを知らなくたって、近年では、さまざまなアプリをドラッグ&ドロップで作成することを可能にするツールも多くできている。
ロジックと言うと、数学基礎論とか、ゲーデル不完全性定理とか、なにやら難しく考える傾向があるんじゃないかと思うわけだが、ようするに「命令」というに過ぎない。ある行為を相手にやらせたかったら、「それ」を相手に伝わるように「命令」できなければならない。それを記述するのがプログラミング言語であるだけで、ようするに大事なことは、その「命令」の内容なわけである。
しかし、である。
このように考えているのは、当たり前であるが、自分だけではない。
世界中の人がそう考えている。
というか、世界中の人の中には、さらにもっと、その「先」を考えている人がいる。つまり、

  • なんで、私が「命令」するパソコンやスマホが、「自分の所有物」だけに限られなければいけないのか

と。
ここのところ、ランサムウェアと呼ばれるコンピュータ・ウィルスが活発になっていると言われている。といっても、このウィルスは、まあ、古典的な、昔からあった手法なわけで、これといって目新しさがあるわけではない。
何気なく、ネットを通して、自分のパソコンやスマホに入ってきたマクロやエグゼを叩いたら、次々のOS内にある、特に画像ファイルを、

  • パスワード付きの暗号化

をしてしまう。もちろん、その暗号は、そのウィルスをばらまいた人しか知らないのだから、必然的に暗号を解除してほしければ、ウィルスをばらまいた人に、なにかとひきかえに(多くの場合はお金だが)、暗号を解除してもらう、というわけである。
近年、ウィンドウズ・アップデートも、定期的に自動で行って、自動で再起動まで行うようになってきているし、アドブ・フラッシュまで、ウィンドウズ・アップデートで行うようになってきているし、スマホはさらにしつこく、毎月のように、ほとんどのアプリが勝手にヴァージョンアップしている状況で、なかなか、セキュリティ・ホール

  • そのままになっている

OSが少なくなってきていることが原因として、より、「被害者」を狙い撃ちした攻撃が、増えてきている、ということらしい。
これはある意味での、「オレオレ詐欺」のようなもので、てっとりばやく、ユーザーにお金を振り込ませることを目的としている、というわけであるが、しかし、そういったことがどういうことを意味しているのかの以前に、

  • 他人が私の所有物であるパスコンスマホを、なんらかの意味で「壊す」「支配する」ことができる

という事実をどのように考えたらいいのか、ということなのであろう。この場合、本質的には、その他人は私に一つ一つの行為を「承認」してもらう形で、それらの手続きを完遂したわけであるが、その場合の私が「許した」範囲が事実上、こういった行為を行わせることを可能にするものだったというわけであり、まさにトロイの木馬になっているわけであろう。
次のような事態を考えてみよう。世界中には、多くのパソコンやスマホがあるが、それらの多くが、そういった形で、だれか他の人によって、実質上「支配」されていた、としよう。そして、夜中の誰も使っていない時間になると、それらは勝手に動きだし、ある「計算」を始める。もちろん、それだけであれば、多少電気代が重んでいるというレベルで、だれも気付かないが、こういった状況は、

  • 世界中のパソコンとスマホを使って、なんらかの「並列処理」を行っている

という状況すら考えることができる。
さて。このパソコンやスマホは「私のもの」でなかったのか? 私がお金を出して買ったのではなかったのか。ところが、世界中の誰かが、実際に、私に使用中の電気代を払わせて、なにかの用途に使っている、としたら、これは何が起きているのだろうか?