不況時の経済政策

財務省のホームページを見ていると、なぜ消費税なのかの説明に、「不況時も消費税収入は安定しているから」みたいなことが書いてある。そこで、あれっと思ったわけである。

また、ここ10年くらいで見ると、所得税法人税の税収は不景気のときに減少していますが、消費税は毎年10兆円程度(注)の税収が続いており、税収が経済動向に左右されにくく安定した税と言えます。(注)地方消費税を除く4%分
消費税引き上げの理由 : 財務省

というのは、なぜ不況時も消費税収入が安定しているかといえば、たとえ不況だろうが、国民は生活必需品については、どうしても消費を止められないものがあるから、ということになるのではないか。また、法人税は赤字の中小企業は払わなくてもいいが、どんなに赤字の中小企業も、消費税は払わなければならないわけで、そのためにプールしておかなければならないということになるわけで、現実的ではない運用になっているように思われる。
不況であるのに、収入が安定する消費税は、それだけ国内経済を疲弊させている、ということを意味するのではないか? つまり、より「逆進性」が強く、不況時に働く、ということを言っているだけのように思われる。
そもそも。経済とは、ある種の循環を内包した、好景気を繰り返すシステムだとするなら、不況時の財政政策とはどうあるべきなのか?
不況時は、民間であれば、社員を解雇して、給料を減らすのだから、それに合わせるなら、公務員の給料も減らさざるをえないように思われる。そういう意味で、「安定」した税源として、所得税法人税から、消費税に変更しようとしている財務官僚たちの動機は分かるのかもしれない。
しかし、そういった「循環」的な不況ではなく、デフレのような、なんらかの「構造」的な、慢性的な不況だと考えるなら、逆に、借金をして、公共事業をやって、公務員の給料も上げて、国内のマインドを変える(将来について、多少楽観的になれるように)ことが場合によっては、必要なのかもしれない。
しかし、いずれにしろ、日本のGDPの半分が個人消費が占めていることを知っていながら、急激に、所得税法人税から、逆進性の強力な消費税に税の財源を移していこうという今の政策は、ほとんど日本の「滅び」と同値のことを言っているようにも思われる(国内の産業を、ほとんど根絶やしにする、グローバル企業しか、国内に残さない、といった感じだろうか)。
例えば、経済学者たちが、前回の消費税の増税の延期を行いながら、なぜ、個人消費が増えないのか、と言っていたのは、なにかの冗談のように思えたわけだがw、ようするに、年金などの社会補償費は、年々、馬鹿みたいに上がっている。それで、景気を良くしたいって、なにを言っているんだ、ということであろう。
庶民が個人消費を増やすための、唯一の条件は「固定の支出が減る」ということにしかない(それによって、手元に、いつもよりお金が残るのだから)。国民年金や国民保険を馬鹿みたいに上げておいて、消費税の増税を延期したんだから、景気がよくなるはず、って頭が悪すぎるであろう。
どうして、消費税の増税を延期するなら、一緒に年金や保険の増額を止めるという、国民全体の財布を直接コントロールするような国家としての統一した行動をできないのだろうか?