日本人とは「誰」だ?

アニメ「プラネタリアン」は、とてもよくできている。あるデパートは、プラネタリウムを催し会場で行うことで、客引きをしていたわけだが、その添乗員として、ロボット「ほしのゆめみ」が採用される。ところが、である。人間は今まさに滅びようとしていた。じゃあ、そのロボットの添乗員はどうなるか? まあ、「業務」をするよねw
つまり、たとえ人間が一人もいなくなっても、お客が一人も来なくなっても、ロボットはプラネタリウムの開催をし続ける、というわけである。
さて。日本人であるw 日本人とは「誰」なんだろう? 最近では、天皇制の「証拠」にさえ、Y染色体がどうのこうのとか言い始める連中が出てきているそうであるw 私はこういう連中を「科学バカ」と呼んでいるが。
こういう態度がなぜ「異常」なのかは、こんな思考実験をしてみれば分かるのではないか。さて。ここでは、ある人間が「日本人」であるのかどうかを判定する「科学」的な、分類法が「ある」と判定された世界だとしよう。ある科学理論によって、だれが「日本人」で、だれがそうでないのかが、その科学判定方法を使うと「分かる」というわけである。まあ、今、天皇制を「Y染色体」がどうのこうのと言っている連中のことだと思ってもらってもいい。
ところが、である。
ある日。歴史的な重大「発見」が起きた、とする。
それはなんと、今までこれが「日本人」だと思っていた判定方法が全部「間違っていた」ということが、科学的に証明されてしまった、というのである。
困った。
私たちは、つい最近まで、この生物学的な科学的判定方法を使えば、だれが「日本人」であるのかが分かると思っていた。ところが、その理論が根底的に嘘であった。ほとんど、その判定をランダムに覆す理論が発表された。しかし、今さらそんなことを言われても、困るわけである。一つ前の世代を確認しようにも、もう彼らは死んでしまい、遺品もなにも残っていない。
自分は「日本人」なのか?
また別の思考実験をしてみよう。ある日、世界中で、ある「奇病」が流行した。それは、人間の脳が「退化」する、というわけである。みんな、理性的な能力を失い、サルやチンパンジーがそうであるような生活を人間が送るようになっていた。
そこにある日、宇宙人が現れる。この宇宙人は今の人間並みの知性をもっていて、彼らは、このような姿になっている人間たちが、少し前までは「日本人」なる、人間同士の「分類法」をもっていたことを知る。さて、この宇宙人は、その分類法によって、退化した人間を分類することに、なんの意味を見出すだろうか?
ロボット「ほしのゆめみ」は、いつまでもいつまでも「日本人(=お客様)」を待つ。しかし、もうすでに「日本人」は滅びていた(彼女の判定法による「日本人」は)。「外国人」しかいなくなってしまった。ロボット「ほしのゆめみ」は、「外国人」は「お客さまでない(=日本人でない)」と思っているので、「外国人」にプラネタリウムは見せない。よって、必然的に、プラネタリウムはいつも「空席」であるが、ロボット「ほしのゆめみ」は、いつまでもいつまでも「上演」を止めない...。