インテリの「偽善」

上野千鶴子さんの新聞に掲載した記事が、一部で批判を受けていたが、私はむしろ批判をしている人たちの「論点そらし」の方が恐しいな、と思った。それは、トランプの移民政策を批判するアメリカの「インテリ」たちを向うにして、世論調査をすると、半分くらいがトランプの政策を支持してしまうという現実を考えさせられる。
もしも、地球の裏側のだれかが飢えて死にそうになっていることが問題なら、そういった人たちを

  • 平等

に、つまり「全員」を日本に「移民」させて受け入れて、全員に日本の「生活保護」を受けさせればいいんじゃないか。こんなことを提案する人が一人くらいはいてもいいんじゃないのか、と思うのだが、なぜいないんだろう? もちろん、飢えて死にそうな赤ん坊だけを「移民」させるなんてできない。家族から親族全員を受け入れなければ、人間関係を切り離すという「残酷」な仕打ちとなるのだから、実質的には、その国の「全員」に来てもらうというのと変わらないだろうが。
つまりは、一種の「占領」状態を実現する、ということを意味する。もちろん、彼らは「国民」にはならないだろう。たんに、損得だけで日本に住むか地元に帰るかを選択する。しかし、だれだってそうなんじゃないのか。最初から日本の骨をうずめて死ぬと言っていても、さんざん嫌な仕打ちを日本人に受け続ければ、他の国で生きたいと思うわけであろう。
(そういえば、橋爪大三郎がそれを「逆植民地」と呼んで提案してたっけw)
リベラルを自称している人はきっと、「リベラル」なことを言うのだろうと思って、実際にそう言わなかったら、鬼の首でもとったように、「お前リベラルのくせに、なに言ってるんだ」って、

  • はしたない

と思わないのだろうか? だって、実際にお前はそう思っていないんだろ? これ、完全にトランプ問題でアメリカの大学のインテリたちがやった、「ポリコレ叩き」と同じわけで、そんな「正しいことしか言わないゲーム」ばかりやってるから、アメリカの大学は国民からの支持を失って、お金持ちの道楽扱いされるんだよ。
もっと真剣に答えろよ。
たとえ自分が職を失っても、地球の裏側の飢えて死にそうな人を助けたいんじゃないのか? たとえ、自分が代わりに「飢えて死ぬ」結果になったとしても、彼らを救いたいんじゃないのか?
まず、国家は今の何倍もの福祉を行わなければならないだろう。そして、国民は今の半分に福祉のレベルが落ちるかもしれないことを覚悟しなければならないだろう。お金持ちはほとんど平民並みに生活水準が下がるくらいに税金でとられることを覚悟しなけばならない。
そして、おそらく彼らを受け入れても、彼らはそう簡単には「日本人」としてのアイデンティティをもってくれないだろう。私たちは何度も彼らの「裏切り」を覚悟しなければならないだろう。彼らは簡単に、利害損得だけで日本を裏切るだろうし、得になるときだけ日本を利用しようとするだろう。
しかし、やらなきゃいけないんじゃないのか? 地球の裏側で飢えて死にそうな人を助けるためなら...。