大量移民の問題

アメリカでトランプ政権が誕生してここまでを見ると、多くの役職でまだ、関係者を埋めることができずにいるわけで、まあ、レームダック状態だということなのだと思う。
間違いなく、トランプは政権運営を行えていない。就任直後の大統領令の連発も多くの混乱をもたらした。
結局今起きているのは、議会を従えていないことが決定的なのだろう。野党だけでなく、与党議員の多くもトランプに反対の姿勢を示しているため、ほとんどの立法行為が成功しなくなっている。
もしも今回の選挙でトランプを勝たせた「リアリティ」があったとするなら、それは「白人優越主義」が脅かされているというアメリカの白人たちがもち始めている感覚だということになる。
アメリカはある時期から、法改正によって、移民の白人の割合の規制を撤廃した。それによって、毎年の白人の割合は1割となり、他はそれ以外ということになった。もちろん、今でも国単位では6割は白人なわけだが、だとするなら、地域によっては白人が5割をわっている地域は当然、うまれているであろう。
また、前回の大統領はオバマという、アフリカ系黒人だったわけでオバマ政権下において、その脅威がもしもこれから、何代もの大統領が白人でなかった場合を考えれば、雰囲気としてはより白人以外の移民が多くなるという恐れもあったのだろう。
こういった考えを決定的にした現象が、EUへのイスラム教徒の「移民」であり「難民」が、大挙して訪れている現象で、それはある意味での

  • 民族大移動

を思わせたわけで、彼ら白人の拒否反応を大きくした。こうして集団単位で他民族が移民してくる場合の特徴は彼らが移民した土地の習俗や慣習に溶け込まず、かたくなに自らの生活スタイルを守ろうとするところにある。おそらく、イスラム教徒はそういった特性が強いのではないか。
アメリカに移住する日本人は多くの場合、アメリカの「生活スタイル」に順応する。それは、その方がアメリカで「出世」できるというふうに彼らが判断するから、と考えられる。ところは他の民族は、多くの場合そうならない。
おそらく、こういった白人優越主義者も、表面的に彼らが言っていることがこういった、肌の色などの話だとしても、本質的なところは、こういった「生活習慣」に彼らが、そう簡単に順応していこうとしないかたくなな部分にストレスと不安を感じているようにも見える。
確かに、民族大移動はある意味における「侵略」と考えられなくもない。これを脅威に思うことは現代社会があまりまだ、この問題に答えを与えていない事象と言えるのかもしれない。しかし、イスラム教徒を除くと、世界中の民族でそこまでして産まれた土地を離れたいと思っている人もいないのではないか。なぜなら、知らない土地に行くことは未知のリスクが多いから。
そう考えると、イスラム教徒は少し特殊なのかもしれない。
つまり、少人数での「旅行」、「観光客」や、「移住」であるなら、多くの地域共同体はその存在を受け入れる。なぜならそれは共同体の「活性化」になるから。少しは違った血を入れないと近親相姦になって長期的には滅びるのだから。よって問題はその規模が大きくなったときなのであろう。
人類はまだ、この問題の解決策を見出していない。
しかし、逆に言うとこの表現は、どこか皮肉を感じなくはない。
というのは、南アメリカ大陸は、スペインやポルトガルの植民地であったわけで、実際に彼らの人種構成を見ると多くは

  • 混血

である。白人と現地のアジア系インディアンの血が混じり合っているわけで、それはある意味での「白人」なんじゃないのかと、皮肉を言いたくなる。
つまり、アメリカがより「混血」が進めば、今の問題はより違った方向に進むのだろうか。
やはり、ここに一つの「混乱」をもたらしているのが、日本人がアメリカに移住した場合に、基本的に彼らは「アメリカ人になろうとする」ことのどこか極端な「順応」にあるのかもしれない。もちろん、そうした方が進学も有利だし、出世もできる、という卑近な理由があるのだろうが、むしろそのことに

  • 違和感

をもたないことに、どこか精神的な問題があるようにも思われる。つまり、それが「普通」と思うから、そういった「フラット革命」的なライフスタイルが当たり前と思うから、むしろ、そうなれないし、なろうともしない人たちを倫理的に非難してしまう。だから、トランプのような奴を倫理的に唾棄していれば、なにかをやったような気になって、スカッとするが何も事態は変わってない、というわけである...。