ISと武器

3・11の福島原発の低線量被曝について、当時言われたことは、その「放射性物質」についての「特徴」であった。確かに事件は「悲惨」ではあるが、一つだけ救われることは、放射性物質が放つ「放射線」は、測定器があれば測定できるというところであって、つまり、そこがどれくらい「危険」かどうかは、まずは測定して「定量的」に評価すればいい、という認識があったことである。
同じことはISが戦闘に使った武器についても言える。ISはなぜあれほどの戦域を拡大できたのか? そこに、ネットを使った独自の若者への「リクルート」戦略を言う人がいる。しかし、問題はそうでなく、

  • 武器

なわけである。なぜ彼らは武器の調達に成功するのか? それは、お金があればなんとかなるというものではない。というのは、武器は市場での交換においては、極端に「規制」されている分野であるからだが、このことは逆に言うこともできる。つまり、

  • 彼らが使った武器

については、戦場にその「証拠」が残っている。つまり事情は、福島の放射性物質とまったく同じなのだ!

武器・弾薬のほとんどは、中国・ロシア/ソ連・東欧諸国などで生産されたものだった。それらの納品先は、アフガニスタンアメリカの軍・国防省・企業、サウジ、カタル、南アフリカ、旧ユーゴスラビア諸国、モーリタニアなど様々で、「イスラーム国」が様々な武器流通経路に浸透していることが示されている。興味深い点は、「イスラーム国」は常に新たに生産された弾薬の供給を受け続けていたという点である。「イスラーム国」が占拠地を拡大した当初、同派はイラクとシリアの政府軍・治安部隊から大量に武器・弾薬を奪取し、それを戦闘に使用していたと考えられていた。最近でも「イスラーム国」の広報作品には戦利品として武器・弾薬や車両の動画・画像を誇示する作品が度々発表される。しかし、現地調査の結果、「イスラーム国」が使用している武器・弾薬類は、同派が戦場で奪取するだけでは調達不能なものが含まれていることが判明した。対戦車兵器がその一例である。また、最近「イスラーム国」が使用した弾薬の多くは、イラク、シリアの軍事施設に備蓄されていた類のものではなく、過去数年のうちに生産されたものだった。
それでは、そうした武器・弾薬はどこからもたらされたのだろうか?製造番号などから追跡した結果、問題の武器・弾薬類はアメリカやサウジがEUに加盟する東欧諸国から購入した模様である。そして、それらは購入後シリアの「反体制派」武装勢力諸派に提供された。不可解なことに、そうしてシリアに持ち込まれた武器・弾薬は、極めて短期間のうちに「イスラーム国」の手に渡っている。一部の弾薬は、生産されてから2カ月足らずのうちに「イスラーム国」によって使用されている。この事実は、シリアの「反体制派」に提供された武器・弾薬が、戦場で「イスラーム国」に奪取されたり、武器を提供する過程でなにがしかの汚職や不正で横流しされたりした結果「イスラーム国」に渡るのではないことを示している。
イスラーム国」と闘っていたはずの諸国は、自ら購入した武器で「イスラーム国」によって撃たれる羽目になった。
「イスラーム国」との闘いとは何だったのか(髙岡豊) - 個人 - Yahoo!ニュース

ここにはある謎がある。なぜアメリカの武器(アメリカが買った武器)が、ISに流れたのか? 一般的に考えるなら、そういったシリアの反体制勢力に、ISとの内通者がいて、事実上のダダ漏れだった、ということになるだろう。
しかし、である。
もっと「陰謀論」的に考えるなら、アメリカ自身が武器の「永遠の供給源」として、ISの「存続」に手を貸していたんじゃないのか、という疑いをもちたくなる。アメリカはこの国家間の「戦争」がなくなった現代において、なんとかして「武器」の

  • 消費

を継続させなければならない動機があった。少なくとも、武器製造会社は、アメリカ軍が武器を消費してくれない限り、国家に自社製品の武器を買わせることができない。
しかし、これが「陰謀論」であるかないかはそれほど大きな問題ではない、とも考えられる。そもそも、シリアの反体制組織に武器を横流しをしていること自体が、アメリカの一部の武器産業の「需要」と関係して行われている、とも考えられるからだ...。