なぜ今回の日本代表監督の解任が悪手なのか?

今回の、日本代表監督の解任劇のなにが一番、あってはならない、許されないことか? それは、会長の田嶋が会見で

  • 言っていたこと

が、

  • まったく意味をなしていなかった

ことにあると考えている。ようするに、まったく論理的でないのだ。サッカーというのは、

  • 子どもたち

に向かって、メッセージを届ける組織である。よって、彼らのメッセージは「子ども」にも分かるような説明でなければならない。永田町文学のような、まさに

  • 政治的

な、内輪の記者たちとだけ通じるような、意味不明の暗号で「分かるだろ」「悟れよ」といった、ジャーゴンで会話してはならないのだ。
そういう意味で、田嶋の会見は最低だった。まず、監督の解任の理由として唯一の具体例として挙げた、

  • 選手とのコミュニケーション

については、そもそも何を言っているのかが分からない。どこの世界に、選手が監督の文句を言ってきたら、監督を辞めさせるチームがあるだろうか? これほど教育上、害悪の大きい行為はないであろう。今日から、日本中の少年サッカーチームで、自分をレギュラーに使ってくれない監督を辞めさせてくれと、保護者を通して、学校に

  • クレーム

がバンバン行くようになるだろう。そういう意味でも、この事態を招いた、ハリルが辞めざるをえなくなるまで、内部で

  • テロ行為

を繰り返した選手の名前を徹底的にあぶりだし、二度と日本のサッカー界でデカい顔ができないように、除籍処分を徹底するしかないであろう。

--田嶋会長は、選手からの信頼を失ったことが「最終的なきっかけ」と話していました。
特定の選手と何か問題があったということはない。些細なことも含めてだ。もちろん経験のある選手の中に、ワールドカップに臨む上で自分の場所があるのかどうかを気にしている者はいた。そのうち2、3人は最近あまりプレーしていなかったし、悩んでいたのだろう。それには確信を持っている。しかし、すべてのクラブや代表チームで自分の状況に満足している選手などいないはずだよ。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180412-00000006-goal-socc

まあ、そうだよな。当たり前だわ。田嶋が「選手」の「信頼」を理由にして、監督の解任したことを絶対に許してはならない。ようするに、田嶋は

  • <一部>の選手

を「神聖」視したわけだw このことを、徹底的に吐かせなければならない。そうしなければ、今後の日本代表の正当性は二度と戻らないと言ってもいいだろう。
そして、多くの有識者が指摘している問題に、現在の技術委員長がスライドして新監督になるという人事移動がある。こちらについては、少し専門的になり、あまり日本代表に詳しくない方たちがスルーしてしまいがちなポイントだが、非常に重要である。

一つの方針を立てれば、その他の考え方は排除される。サッカーに正解はない。もしかしたら協会の立てる方針は不正解かもしれない。いや、W杯に優勝するまで正解と言えそうなものは出ない。
逆に、だからこそ方針を立てる必要がある。例えばボールを持っても持たなくても、速攻でも遅攻でも、ハイプレスでもゴール前にバスを置いても "強い" のが理想とするなら、そこへ至る順序を決めなければならない。全部いっぺんにできるぐらいなら今すぐでも優勝を狙える。順番に積んでいく必要がある。
とにもかくにも、誰かが見識を持ってそれを決めなければならないわけだ。それが決まって、初めてまともな検証ができる。ベースアップができるようになる。
結局、それを決めるのは一人だから責任は重い。それができるのはサッカーのエキスパートであり、エリート中のエリートだけだ。そしてそれこそが、「技術委員長」というポストである。1年や2年ではなく十年の計なのだ。
その日本サッカーにおける最重要とも言える技術委員長を、わずか3カ月後には監督として解任し、つまりは技術委員長としても解任する可能性の高い仕事をさせてしまうのは、いくら次期監督の人材に窮したといっても理解に苦しむ。技術委員長というポストを犠牲にしても目先のワールドカップを何とかしたいという発想そのものが、今回の窮地を招いたことに気づいていないのだろうか。 西野新監督が、技術委員長としてこうあるべきだと考えていたサッカーを実行できるならまだしも、メンバーの選定さえあまり自由のない状態で指揮を執ることに、ほとんど意味はない。監督解任という技術委員長としての失敗を、自分の責任において穴埋めする行為にすぎないのではないか。
ハリルホジッチ監督を解任するなら、西野技術委員長の本来の仕事は次期監督を選定することだった。その時間さえなく、自らを人質のように差し出すことになったのは下策と言わざるをえない。
西野技術委員長は監督解任を阻止すべきだった。急に低下した求心力なら、急に上げることも可能だったのではないか。まだ選手選考という切り札もあるのだから、監督を信頼していない選手を切り捨ててしまえば成立したのではないか。
もう監督交代しかない--そういう判断だったとしても、技術委員長を監督にするのだけは避けるべきだった。例えば、大会後に総括と分析をし、なんらかの結論を出すのは誰なのか。次の進化への検証を本気で行うつもりはあるのか。次の監督が来れば、また方針はその人に任せるだけなのか。たとえ西野監督でW杯ベスト16入りを果たしたとしても、残念ながらもっと大きなものを失いかねない。
「技術委員長」を「日本代表監督」に据える失策 “消極的”勝利至上主義が招いた窮地(Football ZONE web) - Yahoo!ニュース

国家百年の計ではないが、W杯は4年に一回で、その中でコンスタントに成績を残していくには、

  • 戦略

が非常に重要になる。ある年の成績が思わしくなければ、何が問題だったのかを総括して、次に向けて、この間違いを二度繰り返さないように、慎重に次への戦略を立てる必要がある。そういう意味で、技術委員長の地位は、非常に重要視されている。このポストの特徴は、決して、チームそのものと

  • 近すぎず遠すぎず

の距離で、客観的に見続けることが求められる。そうすることで、始めて、目指そうとしていた「チャレンジ」と、その「結果」を冷静に分析できるからだ。
今回の人事は二重の意味で最悪だ。まず、技術委員長が4年を待たずに、そのポストを「放棄」したことだ。これによって、この4年間の継続した「総括」は、できなくなったことを意味する。次に、技術委員長が交代で監督に就任すること自体だ。これは、絶対に行ってはならない「悪手」である。つまり、利益相反関係に関わってくるわけで、ようするに、今回の技術委員長の監督の評価の

  • ミス

を、自らが現場に降りることで「尻拭い」をやろうとしている、ということであって、自分のミスを現場で取り返そうという組織上の完全な、チェックアンドバランスの崩壊を意味している。
そのように考えてきたとき、そもそも田嶋は「なぜ」今、会長の座にいるのか、が非常に、その「正当性」において疑わしい人物なのではないか、ということが見えてくる。

この日の会見でそんな田嶋会長を「いかに技術委員会が機能していないかが分かった。日本は(W杯本大会で)ベスト16がノルマになると思うが、それが達成できなかった場合、会長は責任をどう取るつもりか?」とただした、元サッカーダイジェスト編集長の六川亨氏がこう言う。
「この期に及んで、というのが正直な感想です。大ナタを振るうならもっと前にそのタイミングがあったのではないか。今からW杯を託される新体制に、わずかな期間でなにができるのか。そもそもこの混乱を招いた最大の原因は田嶋会長にあります。2016年の日本サッカー協会会長選に当時の田嶋副会長と原博実専務理事の2人が出馬、史上初の選挙が行われました。勝った田嶋副会長が会長になると、協会ナンバー3だった原専務をヒラの理事に降格。結果的に原理事は協会を追われ、技術委員として原理事とタッグを組んでいた霜田正浩元技術委員長もその後、協会を去ることになった。これが今回の非常事態を招いたきっかけだと思います」
原、霜田両氏はザッケローニ監督で臨んだ14年のブラジルW杯で1分け2敗の惨敗を喫したことで、パスを回してボール支配率を上げるポゼッションサッカーの限界を痛感し、アギーレ監督を招聘。日本人と体格が似ているメキシコ代表監督として結果を出した指揮官のもと、メキシコ流のサッカーを目指した。そのアギーレ監督が就任半年で八百長関与疑惑によって解任されると、間近に迫っていたロシアW杯アジア予選、そして本大会でのジャイアントキリングを狙って、ハリルホジッチ監督に白羽の矢を立てた。
「少なくとも原、霜田両氏には、日本代表が目指すべきサッカーは何か、W杯で結果を出すために何が必要か、彼らなりの確固たるビジョンがありました。両氏は欧州をはじめとした各国に独自の人脈を持ち、歴代監督としっかりコミュニケーションを取っていた。田嶋会長体制からはそのビジョンが感じられないし、外国人監督選びに対してパイプもあるとは思えません。協会に2人が残っていれば、ハリルホジッチ監督をうまく操縦できたはずだし、選手との関係もここまでひどいものにならなかったと思う。その意味でも田嶋会長の責任は大きいと思うのです」(前出の六川氏)
田嶋会長は、"政敵" になった原、霜田両氏を駆逐し、彼らが招聘したハリルホジッチ監督と当初から良好な関係を築こうとはしなかったともっぱらだった。
田嶋体制以前には、当時の川淵三郎会長が独断でジーコオシム両監督の招聘を決定。それはまさに鶴の一声という様相だった。06年ドイツW杯で1次リーグ敗退の惨敗を喫し、ジーコ日本に対する批判が噴出した直後に、川淵会長はドイツからの帰国会見の席で後任監督として交渉中だったオシムの名前を口にし、批判を瞬く間に新監督への期待に変えた。国民的関心事になった代表監督の人選は、時に政治的に利用され、時に権力者が力を誇示するための道具にされ、時に今回のように私怨に使われる。
ビジョンは二の次という根本的な問題が、日本代表とサッカー協会にはあった。それが今回、最悪の形で火を噴いたわけだが、実は西野技術委員長の監督就任を巡っても水面下ではドタバタが繰り広げられていた。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180411-00000011-nkgendai-socc

彼は、なぜか、前回のW杯の後の協会会長選に現職の原の対抗馬として、始めての選挙を行い、勝利していて、それによって、原の息のかかった役員を次々とパージしていく。これによって、ハリルホジッチを選んだ、つまり、なんらかの

  • 理由

をもって選んだ人たちが、一人もいなくなった協会にしておいてから、今ごろ、こんな人事を行っている。

----ロシアW杯本番を約2か月後に控える中でのハリルホジッチ監督の解任劇。浅野さんは率直にどう思われましたか?
なぜ、準備期間がほとんどない今なのか。サッカーの常識ではあり得ない判断なので、それ以外の論理が働いたのかなと思いました。
親善試合はあくまでテスト 日本サッカー協会に感じた世界との距離

1年前ならば、プランを修正(監督を解任)して、選手に合わせる判断も理解できなくはない。再びプランを構築する時間があるからだ。それは個人的な意見とは違うが、納得はできる。しかし、W杯の2カ月前まで来たら、もはやプランを守って不満を言う選手を切るしかない。おそらく、ハリルホジッチはメンバー発表でそれをやろうとしたはず。あの選手は23人から外れるだろうなと、個人的には予測もしていた。今となっては虚しいが。
「なぜ今なんだ!」とハリルホジッチは怒ったそうだ。本当に、なぜ今なんだろう。なぜ、サッカー協会で選挙が行われ、田嶋会長の再任が3月に決まった、その翌月なんだろう。もっと早くに解任していたら、新チームがうまくいかないとき、大批判が起きたとき、その決断の責任を田嶋会長が問われただろうか。それは選挙のリスクになっただろうか? 逆に今の解任ならば、ロシア大会が惨敗に終わっても、新監督を迎えて、1年半は任期の猶予がある。タイミングが良すぎるのは気がかりだ。
【コラム】ハリルホジッチの解任は“戦略なき戦術”。広がり続ける、日本と世界の差-LEGENDS STADIUM 最新サッカーニュース・公式動画配信中

今回の解任劇こそ、ハリルを始めとした関係者は、レスリングのパワハラや、大相撲の貴ノ花のように、国に「告発」をするべきだし、その不可解さから言って、今すぐにでも

を発足させて、調査をしないと、とんでもない未来に禍根を残す結果になりかねない。

生まれて初めて、日本代表を応援できない気持ちになっている。この10年で日本と世界の差はずいぶん広がったが、まだ序章に過ぎないのかもしれない。
【コラム】ハリルホジッチの解任は“戦略なき戦術”。広がり続ける、日本と世界の差-LEGENDS STADIUM 最新サッカーニュース・公式動画配信中

まあ、これが一番、多くの人が思っていることなのではないだろうか。選手も、もう少し深く考えて発言してほしい。この現状を「肯定」するかのような選手の発言は、この「テロ」行為を、小さな子どもたちがみんな見ている、ということを。もはや、W杯の成績さえなんとかなればいい、といったような状況として、世間は見ていない、ということを。サッカー関係者の、心の中の

  • 汚なさ

が世間から評価されているということを...。