ゾーニングについての幾つか

さっそく、映画「万引き家族」を見てきたが、あまり予備知識もなく見たこともあり、前半はなんとなくでぼーっと見ていたら、途中から、すっかり引き込まれて最後は見入ってしまっていた。なるほど、海外の賞をとるだけはあるなあ、とは思わされた。
ところで、この映画を見ていて、この映画は、このところネットで話題の漫画『幸色のワンルーム』と似ていると思ったわけだが、あまりそのことについてネットで言及している人がいないのはなんなのかな、とは思ったのだが(まあ、映画の方は公開されたばかりですしね)。
けっきょく、この二つはなにが違うのだろう? 私は漫画の方は今発売されている単行本で読んだだけで、そもそも、この作品が完結しているのかどうかさえ知らない。確かに前者に比べ後者は、「内面」の描写(つまり、モノローグ)が多いために、説明的な作品となっているところが「エンターテイメント作品」として、つまりサブカルとして、強いられた位置だとしてあるわけで、そこが大きいとは思うが、その他としては、まあ、一番大きな違いは前者は

  • R指定

をされていることなのであろう。
ここのところ話題になっている、ラノベ二度目の人生を異世界で』のアニメ化の中止にまで至っているわけであるが、こちらについては正直、この問題の流れからして(業界の危機管理としれは大きな問題だったのかもしれないが)あまり論争的なところがあるようには思えないわけだが:

物語は、94歳で大往生を遂げた主人公が、創造主によって異世界に飛ばされ、二度目の人生を送るというもの。作中、主人公が生前に行っていたこととして

「15歳より、武者修行と称し中国大陸へ渡り黒社会で活動。刀一本で大人数へ切り込み、生還する様から『剣鬼』の異名で呼ばれる。黒社会活動中の殺害人数は5年間で912人に及ぶ。その後、世界大戦に従軍。4年間の従軍期間中の殺害数は3712人、全て斬殺」

と書かれ、この「世界大戦」が日中戦争を指すのではないかと指摘されていた。
ラノベ「二度目の人生を異世界で」作者がヘイト発言認め謝罪 「小説家になろう」では一部が非表示に | ニコニコニュース

作者は6月5日、ツイッターで「私の過去のいくつかのツイートにつきまして、多くの方に非常に不快な思いをさせてしまう、不適切な表現がありましたことを深くお詫び申し上げます」と謝罪。

「事実関係を正確に把握せず、深い考えもなく行った発言ではありますが、行きすぎた内容であったことを深く反省しており、不快に思われた皆さまのお許しを頂けるとは思っておりませんが、心より謝罪させて頂きたいと思います」

と述べた。
小説中の表現についても

「『小説家になろう』上の該当する箇所の公開を停止し、二度と皆様に不快な思いをさせることの無いよう改めて内容を精査いたします。また、書籍版に関しても、該当書籍の修正を行えないか、出版社と相談いたします」

と説明している。
ラノベ「二度目の人生を異世界で」作者がヘイト発言認め謝罪 「小説家になろう」では一部が非表示に | ニコニコニュース

ようするに、ネット上の投稿サイト「小説家になろう」をラノベとして商業販売したり、そのアニメ化と、作者のツイッターでの過去の発言の三つが一度に問題にされたわけであるが、上記にあるように、基本的には

  • 作者自身

が自らになんらかの「問題」を感じられて、その対応を行いたいと言っているわけであるから、そこにおいて回りがどうのこうのと言うことなのか、といった印象を受ける。そもそもネット投稿サイトの作品がどこまで、いわゆる映画で言うところの

  • R指定

にあたるような「業界の自主規制」が効いている場所なのかを考えてみれば、まったくのアナーキーなわけで、そういった所で「人気があった」ということと、それをどこまで

  • 市場化

させることが妥当なのかは、まったく別なわけであろう。ようするに、私たちは少しナイーヴすぎないか、ということなのだと思うわけである。なにかが「売れる」から売るというなら、そもそもポルノというカテゴリーによって、青年誌なとと呼ばれ、アダルト漫画という形で

されてきた、この分野の作品を作っている人たちは、どこか馬鹿馬鹿しい話に聞こえるのではないか。じゃあ、なんで彼らの作品はずっとゾーニングをされてきたのか。なにが違うのか?
また、つい最近、ツイッターでの過去の発言によってモデル事務所を解雇された、といった事件があったが:

夏目は過去に「ぶすに人権はない」「妊婦さんに膝カックンして絶望させる遊び」などとツイートし、炎上していると一部で報道され、問題視されていたモデルで俳優の夏目雄大(21)が18日、所属事務所から契約を解除された。事務所の公式サイトで発表された。
問題ツイートモデル・夏目雄大、解雇で「当然の結果 」の声多数 | 独女 [DOKUJO]

この件がどうのこうのという前に、よくツイッターで不謹慎発言をした後に、一瞬で、そのツイートを削除する人っているけど、別にその人が行った不謹慎発言がそれによってなかったことになったわけじゃないからね。その発言を

  • 見ている

人はどこかにいるのであって、なんでそういった人からの非難を逃れられると思うんだろう? こんなことは子どもの頃の「いじめ」についても同じで、何度でも過去にやったあなたの「犯罪」はむし返されて、問われ続けるんじゃないの? そんなことは普通に生きていても、周囲の人はそういった反応をするよね。逆に聞きたいのは、じゃあなんで、そんな「誰でも見れる場所」に書いたのに、だれも見ないでいてくれると思えるんだろう? 私が言いたいのは、(未成年が自らのプライバシーをネットに公開することの危険性はいったんおいたとして)後から自分で自分を「説明」できないような軽率なことはやらないでおくにこしたことはない、という常識の話でしょう。最初の話に戻るなら、なにかその人なりに、この社会の矛盾のようなものを問いたいと考え、そうした場合に普通の「表現」ではそれはできないと考えるなら、一般的には

  • R指定

なりの、

を普通に使えばいいんじゃないのかね、としか思わないのだが、あまりそういった「工夫」がこの業界でどこまであるのかは過分にしてよくは知らないわけだが...。