なぜ民間レベルの交流が重要視されないのか?

今回の済州海軍基地での「2018大韓民国海軍国際観艦式」に日本が不参加を決めた経緯については、韓国側の旭日旗の自粛要請を日本が飲めなかったから、として報道されている。

10日から14日まで済州海軍基地で行われる「2018大韓民国海軍国際観艦式」で、日本の海上自衛隊の艦艇に対して、自衛艦旗である『旭日旗』(きょくじつき)を掲揚しないよう求めた韓国の要請を日本が拒否し、参加しないことを正式に発表した。
旭日旗自粛要請を拒否、日本が済州島観艦式参加中止 - ライブドアニュース

日本は11日に行われる海上査閲式の本行事には艦艇を派遣しないが、12日に観艦式の一環として行われる西太平洋海軍シンポジウムには自衛隊の代表団を派遣するとのことだ。
旭日旗自粛要請を拒否、日本が済州島観艦式参加中止 - ライブドアニュース

こういった議論の経緯は、私のような人間には異様に思われる。というのは、そもそも

  • 民間レベルの交流

はどうなったのか、といった違和感があるからだ。なぜ、こういったことが「民間レベル」の交流において「解決」を目指されずに、国家レベルの「対立」という形で、常に劇場化されるのか? 日本と韓国は、そもそも、民間人レベルで「交流」があるわけであろう。お互いで、お互いが受け入れられる、歴史の共同作成作業に取り組んでいるのではないのか?

声明は「1人の市長が、2都市の市民の関係を一方的に解消することはできない。サンフランシスコと大阪の姉妹都市関係は人々のつながりを通じてなお続いている」とした。
サンフランシスコ市が慰安婦像などの寄贈を受け入れて公共物化したことをめぐり、大阪市との姉妹都市関係に亀裂が入ったことに関して、「サンフランシスコは両都市の絆が強まることを願っている」と表明した。
慰安婦像めぐり大阪市長が姉妹都市提携を解消 サンフランシスコ市長が声明 - ライブドアニュース

これは、大阪市が一方的にサンフランシスコとの姉妹都市提携の解消を宣言した件について、サンフランシスコ市長が語った談話であるが、そもそも、二都市の間の「姉妹」関係に、政治機構は関係ないのだ。これは「民間」の友好を意味しているのであって、市長が何を言おうと関係ないのだ!
同じことが、今回の韓国での「旭日旗」の議論にも言える。

韓国ではもともと旭日旗は問題にはなっていなかったが、それが問題視されるようになったきっかけの一つは、2011年のサッカーアジア杯日韓戦だ。試合中に猿まねをした韓国選手が、その理由として観客席に旭日旗があったことを挙げ、韓国メディアは「怒りを抑えられなかった」などと報じ、旭日旗が広く知られるようになった。
2つ目は、日本の極右団体のデモなどで旭日旗が掲げられている様子が韓国でも盛んに報じられるようになったことだ。これらがきっかけとなり、韓国人の間で徐々に旭日旗が日本軍国主義の象徴と認識されるようになったとみている。
「旭日旗」問題の契機はサッカー・アジア杯 奥薗静岡県立大准教授(産経新聞) - Yahoo!ニュース

日本のネトウヨ関係の議論で多いのが上記の引用の前者に関連してのものであろう。つまり、まずは韓国側が「以前は言ってなかった」が、「急に問題にし始めた」ということを認める、という経緯をはっきりさせないと、この議論は何度も何度もむし返される。
例えば、なぜ日本の海軍が「旭日旗」を使っているのかについては、本当かどうかは分からないが、以下のように語られてきた経緯があるという。

たまたまコンビニで「零戦と大和」という雑誌が目につき、これについても「名前は有名だけれど、正確なことは知らないなぁ」と思い買ってきた。
その中に「旭日旗」について書かれていた。
旧日本軍がなぜ「旭日旗」を用いたのか?
これは「日の丸」だと風に棚引いていない時に、降参を意味する「白旗」と間違えるため(実際にあったことらしい)、「旭日旗」を使用していたと、その雑誌には書いてあった。
旭日の意匠には、古来よりいくつもの種類があり、民間での祝い事などの際にめでたさを強調するために用いられてきた。旧日本軍の軍旗がよく知られているが、軍旗として用いられた旭日旗そのものが、古来一貫した意匠だったわけではない。
旭日旗のこと: nobulog

ここには二つのことが書かれている。前半は、実際に海軍が「旭日旗」を使用するようになった経緯の話で、このように書けば、韓国の人も、一定の

  • 合理性

は理解されるわけであろう。しかし、それと「旭日旗」の海上自衛隊の使用が認められるかどうかは別である。しかし、もしもそう言うなら、なぜ彼らは

  • 日本の日の丸国旗や、君が代の国歌

に、それと同じくらいの情熱を注いで、反対を唱えないのか? そもそもそれなら、日本国内においてさえ、昔から執拗に反対を唱えてきた左翼運動の歴史があるわけであろう。海上自衛隊の「旭日旗」への関係が、そもそも「日の丸」との関係において考えられているなら、日の丸の使用の終焉と共に、自然と旭日旗の使用の終焉の道筋が見えてくる。
ようするにどういうことか? 私には、韓国が「マジ=本気」で、この問題を語っているのかがよく分からないわけである。ぶっちゃけて言えば、

と深く関連した主張の臭いにも感じるわけで、ようするに、その辺りを

  • 民間レベルの交流

ではっきりさせてもらわないと、議論の基盤ができないんじゃないのか、と聞いているわけである。
おそらく、韓国の人から言わせると、こういった

  • 歴史的背景

などどうでもいいのだろう。大事なことは、上記の引用にもあるように、日本の嫌韓デモなどで、さかんに使われる「旭日旗」が、全てを物語っているわけで、「実際にそうじゃないか」というのが彼らの主張で、そして、この日本国内で、

  • 国家によって保護されて

行われる「嫌韓デモ」に、恐怖している韓国の方々の「視点」を、あまりにも日本の大手マスコミが報道しない「異常」さが、お互いの認識の相違を生み出している、と考えるなら、サンフランシスコ市長が言うように

  • 民間レベルの友好的な交流

の継続によって、なんらかのお互いの「合意」の地平の努力なしに、政府レベルのパブリック・ディプロマシーにがんじがらめにされた、劇場型政治に「おまかせ」をやっている限り、この問題は未来永劫解決しない、ということになるだろう...。