学校は「安定した職場」なのか?

以下のニュースであるが、私の興味を引いたのは、むしろ、「私立学校」の特殊性だった。

教育学者の大内裕和・中京大学教授はこう指摘する。
「人事異動のない私立校の悪い面が出てしまった印象です。私立の場合はずっと同じ職場にいるので、本来は学校をよくしたいという教員のモチベーションは高いはずです。しかし、校長や理事長など管理者に問題があると自浄作用が働きにくくなるリスクがあります。ハラスメント行為が起きたり、教員間の人間関係が悪くなったりした場合、問題が滞留して解決が困難になります。人事異動などで処遇する手立てがないので、教員が失職しざるを得なくなるなどの弊害がある」
東大合格50人の名門「駒場東邦」で教諭の“セクハラ&パワハラ”〈週刊朝日〉(AERA dot.) - Yahoo!ニュース

東大合格数ランキングで、ベスト10の常連の駒東で、教員のパワハラ・セクハラで、校長が学校を辞める事態にまでなっている、ということなのだが、考えさせられるのは、

  • 私立の教員は「続けるか辞めるか」の選択肢しかない

という、驚くべき事実であった(ちなみに、私は地方出身ということもあるが、親もお金持ちじゃなかったので、小中高大と、およそ、私立とは関わりのない世界だったわけだが)。そう考えてみると、思い当たるふしがある。私立高校の卒業生が、10年、20年後。母校を「みんな」で訪問すると、なんと、当時の先生たちが、こぞって出迎えてくれるんだよね。なるほど、こんな事情があったんだ。
もう、子どもたちの「いじめ」がどうこう言ってられる場所じゃないんでしょうね(おそらく、こういった進学校では、そういった「醜聞」は、いずれかの子どもを辞めさせるなどして、闇にほうむられているのだろう)。むしろ、大人たち同士の「いじめ」こそが、この「職場環境」を維持していくための、必要なバランスなのであって、意外と、学校という「職場」の不安定さが考えさせられるわけである...。