ウクライナ戦争に対するロシアの考え

こちらの小泉悠先生の発言ですが。けっこう長いので聞くのが大変ですが。

小泉:じゃあ、その、ウクライナ東部で、ロシア系住民が虐殺されているというんだったら、なんでそれを今まで、国際社会に訴えなかったんですかって話ですよね。これは、この前、テレビで、ロシアのガルージン大使と小野寺いつのり元防衛大臣が出たれたときも、まさにその話になってましたけど。そんなことが行われているんだったら、ナチスユダヤ人虐殺に匹敵するようなことが行われているんだったら、なぜロシアは国連常任理事国として公式に国連の場とかにもっていって、解決しようとしなかったんですか、というのは当然、疑問がうかびますし、じゃあ、核兵器作っているって言うんだったら、これも同様ですよね。なんで黙っていたんですか。開戦三日前の21日になって始めてそんなことを言い出したんですか、ということは聞いてみたい。
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まあ、これが概ねの西側の反応ですよね。
優等生的と言ってもいいけど、戦争をしかける側なんていうのはそんなもので、しかも、常任理事国ですからね。普段から、自分たちの行動には、脛に傷をもつ人たちなんで、あんまり他の国のことは言えないわけで、国連に訴えるなら、それならお前の国はどうなんだと言われてしまうわけだよね。そして、そう言われるということは、

  • 自分たち側のルールの改正も求められる

ということに結果してしまうわけで、将来的に自分たちの手足を縛ることはやりたくない、と考えるわけだよね。
だから、大国は、いわば、そういった「慣習的ルール」を気にしない、わけだ。つねに、無手勝流で、やりたいようにやるだけ。しかも、そうだったとしても、拒否権があるから、なにをやっても誰も何も言えない、と。

小泉:特に、今、ロシアが無差別爆撃をやってるハリコフなんかは、そもそも、ロシア系住民の町ですからね。だから、国籍こそウクライナ人だけど、同じロシア語を話している人々、それから、実際にロシアの中には、ウクライナに親戚がいるよ、っていう人が数えきれないほどいるわけでっすよね。そういうところに、無差別ロケット弾攻撃をしているプーチンというのに対しては、相当、反発が今回、ロシアの中で大きいように見えます。すでに日本でも報じられてますけど、ロシアのサンクトとか大都市で、週末に反戦デモが行われたんですよね。これは先週も行われましたし、先々週も行われた。私が知る限り、これだけ大規模に、なおかつ、同時多発的にロシアで戦争反対を理由とするデモをやる、というのは、あんまりないと思うんですよね。これまでもあったんでしょうけど、そんなに目立ったものであったようには見えない。でも、今回は大規模に目立つ形で行われている。
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まあ、今回については、これが決定的なように思われる。
なぜ、ロシアの進軍が長びいているのか。それは、結局はキエフの前で足踏みをしているからだけど、もっと言えば、全然、空軍がキエフを爆撃していない。なぜやっていないのかということでは、人道回廊とあるように、民間人の避難をやろうとしているのかもしれないけれど、いずれにしろ、そこは不可解なわけだ。
ずっと、ロシア軍が首都キエフの前で、立ち往生している。
いや。地上部隊ということでは、おそらく、ロシア軍とウクライナの地上軍は、そこまでの戦力差はないのかもしれない。というのは、ウクライナはそれなりに人口の多い国なので、とにかく、人数比べでは、そこまで負けていないだろう、とは想像できる。だとすると、なぜロシアは空軍をそこまで使っていないのか、ということになる。
上記の動画では、プーチンウクライナによる、ここまでの「抵抗」を想定していなかったんじゃないか、と言っているが、うーん。あんまり、説得力があるようには思えない。
いずれにしろ、なぜハリコフで空爆をやったのか? これをやれば、ロシア国内から批判が吹き上がるのは避けられないわけで、やはり、その辺りの整合性がどうも専門家の中でも整理されていない、というのが今の現状なのだろう...。