プーチンの敗北

今回のウクライナ戦争において、アメリカが提供したジャベリンや殺人ドローンがかなり効果を発揮しており、イスラエルの報道機関が発表した内容では、ロシア軍の死者が、一万五千人と、アフガニスタンでの死者と同数になっている、と報道している。
孫崎享さんは、これが、ロシアの国内の政治情勢をかなり左右する、と主張する。
しかも、今日の報道で、ロシアの国防省が「戦略目的の変更」を、つまり、方針転換をした、とされている。

ロシア国防省は25日、ウクライナにおける「軍事作戦」の第一段階はほぼ完了したとし、ウクライナ東部ドンバス地域の完全「解放」に焦点を当てると表明した。
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ロシア国防省は25日、ウクライナへの軍事侵攻後初めて、外国メディアの参加を認めた記者会見を開きました。会見では親ロシア派が支配する東部の地域での軍事的な成果を強調し、「第一段階の主な目標は達成された」としました。その上で、東部のドンバス地域の解放に集中すると述べました。
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今まで、キエフを包囲していたわけだが、それは、東部へのキエフからの援軍がよこされると問題だからやっていた。しかし、キエフの軍事施設などを破壊したことにより、その心配がなくなったから、これからは、東部の制圧に注力する、と。
まあ、これは、明確なプーチンの「方針転換」であり、言うまでもなく、プーチンの「敗北宣言」となっている。
プーチンは言うまでもなく、キエフを攻めた。その理由は、NATO加盟が原因だっただろう。それをさせないために、キエフにいる、ゼレンスキー政権を拘束し、強制的に退陣させることを目指していた。しかし、あまりにもの大きな抵抗にあい、プーチンはこの最初の目的をあきらめることになった。
このことの意味は、実質的なプーチンの敗北と同じだ、と言っていい。まず、今回の件で、

  • 実質的

ウクライナは、NATOに加盟しているのと変わらない状態になった。次に、ウクライナの東部であるが、ここにプーチンがロシアの軍隊を駐留させるかもしれないが、それは、本質的な問題ではなくなる。なぜなら、今回の件で、ウクライナのロシア系の住民は、ウクライナ国内から避難したわけで、避難先で生活手段を見つけられたなら、もはや、ウクライナには帰らない、と考えられるからだ。
対して、アメリカはどう思っているだろう? おそらく、アメリカが考えていることは、「もう少しロシアがやってくれたら、もっと武器を売りつけられたのにな、ちぇっ」だろう、と。アメリカは戦争を長びかせたかった。なぜなら、それによって、軍需産業を潤せたから。よって、今後はアメリカは、さまざまな屁理屈を使って、戦争があたかも長びいているかのパフォーマンスをやってくるだろう、と。
どうだろう? この辺りが、今日の孫崎享先生のニコニコでの分析だったわけだが、いずれにしろ、これで、戦争は集結に向かっていく、と考えられるだろう。もちろん、まだまだ、小ぜりあいのような紛争は多く続くだろうが。
しかし、それ以上に世界経済は今回の件で、ズタズタにされた、という印象が強い。そもそも、日本円が122円になっていることも驚きだが、ロシアへの経済制裁は、そもそもロシア国内への制裁というより、

  • それ以外の国々

の、さまざまな所に甚大な被害が、これから広がっていくことが分かっている。ロシアの国債がデフォルトになることは、

  • それを買っている、日本の年金運用などが、莫大な損失を受ける

ことを意味しているわけで、年金が支払えなくなるなど、さまざまな部門に被害が広がる。
しかし、たとえそうなるとしても、今さら、アメリカは振り上げたこぶしを降ろせないわけだ。結果、どれくらいの期間、日本を含めた、アメリカとEUによる経済制裁がロシアに対して続けられるのかは分からない。しかし、それによって、日本経済はボロボロになっていくことが予想される。
おそらく、今年の日本経済は、徹底的な不況になるだろう。それは、考えるだけでも恐しくなるような不況となり、大量の失業者が出るだろう。
しかし、もしもそうなったとき、多くの日本の国民は、それでも「アメリカは正義で、ロシアが悪」のレトリックを捨てないでいられるのだろうか...。