円安による日本国債

今、世界で何が起きているのかを考えると、まず、最初に注目する必要があるのが、アメリカの

  • インフレ

だ。これは、新型コロナの流行の時から始まっている。
しかし、言うまでもないが、ヨーロッパのインフレもそれと並ぶほど、いや、それ以上にひどい惨状を示している。それは、ウクライナ戦争による、ドイツのエネルギー問題が最大の要因だろう。例年なら、当然のように想定できた、ロシアからの天然ガスの供給がまったく見込めない中、そのまま、冬を迎えるのではないかといった予測がされていて、もはや、ドイツ政府はまったく機能しておらず、レームダック状態なんじゃないか、といった疑いがある。
アメリカ政府は、今、最大の政治的イシューは、インフレ対策だと宣言している。つまり、

だ。これが、インフレが収まるまで続くと予想されている。しかし、このことは、アメリカの景気は、インフレが収まるまで不景気が続く、ということを意味する。
(しかし、そんなことを民主党政権が続けられるのかは疑問だ。選挙も近づき、不景気なまま、選挙に突入できるのかは疑われている...。)
アメリカが金利を上げるということは、日本は金利を上げない(上げれない)と言っているのだから、どんどん、日米の金利差が広がる一方ということになる。すると、ドル高円安が進む、ということになる。
アメリカのインフレは、あまりにも悲惨で、お金がないと、都会で部屋を借りれない。どんどん、ホームレスになっている状態なわけで、アメリカの最優先の課題だというのは分からなくはない。しかし、それに対応して、給料もかなり上がってきたわけで、それは、中国も他のインフレの国も変わらない。
だとするなら、日本はどうなっているのか、だろう。
日本は、まったく、微動たりとも、給料が上がらないw じゃあ、インフレが起きていないかというと、そんなことはない。比較的に、消費者物価の上がりが遅いのは、企業が値上げの影響を恐れているからで、遅かれ早かれ、いずれは上げざるをえない。
もしも企業が値上げをできれば、円安による、海外からの一次産品。石油やエネルギーや食料の「値上り」を価格に転嫁することで、業績を回復することができる。
おそらく、一番の違和感は以下だろう:

東京円債市場で11日、長期金利の指標である新発10年国債の業者間取引(日本相互証券ベース)が、6日、7日に続いて成立しなかった。3営業日連続で売買未成立となるのは初めて。
news.yahoo.co.jp

普通に考えて、これだけ円が安くなって、金利アメリカとの差ができると、

  • 日本の国債を買う理由が見つからない

わけだ。多くの利子が欲しければ、アメリカの国債を買うだろう。わざわざ、金利の低い日本の国債が「売れる」場合とは、どういう場合なんだろうか?
今、日本銀行は、日本企業の株の「大半」をもっているw しかも、日本国債の「半分以上」をもっているw これが「黒田バズーカ」だったわけだろう。ところが、その日本国債が、日本銀行くらいしか買わない

  • だれも買わない

状態になっているわけで、この状態をいつまで放っておけるのか、はなはだ疑問なわけだ。
円安は、まったく、日本企業にとって不利ばかりではない。その一つが

  • ドル建て資産

だ。これを日本の大企業は多く保持している。
つまり、どういうことか?
日本の大企業は、バブル崩壊以降、そもそも、日本国内の経済の「パイ」が今後、小さくなることを予測した。ということは、こういった日本の企業が、日本国内だけで経済活動をしていたら、必然的に「縮小」を運命づけられていた、ということになる。
よって、日本の大企業が「生き残り」の手段として考えたのが

  • 海外進出

だった。これは、それほど難しいことじゃない。まず、日本の大企業は、海外の、これから「成長」しそうな地域の、さまざまな資産を

  • 買う

わけだが、その場合、それを日本円で買わない。そうじゃなく、現地の通貨で買う。そして、その資産や、その資産から生み出された収入を「現地の通貨」で、現地の銀行に保持するわけだ。
こうすることで、何が起きるか?
今回のように、円安になると、それらの資産の、円建ての値段が「相対的に高くなる」わけだ。つまり、日本円で見ると、円安になると、

  • (日本円建てで考えて)資産が増えているように見える=(日本円での)税収が増える

という関係になる。つまり、円安は日本国になって、ウハウハということを意味する。
しかし、そのことが、日本国民の生活に影響がないわけがない。今は、日本の企業が差額を埋めているが、これは長くは続かないし、日本企業の体力を奪う。そして、いずれは、大幅なインフレとなって、消費者を直撃する。
そう考えるなら、普通に考えれば、

  • 日本企業が、消費税を「時限立法」によって、0%にすればいいんじゃないか

という案が、だれでも思い付くだろう...。