伊藤貫による宮台真司批判

引きこもりに襲われ死にかけた宮台先生が、警視庁にペーパーを出したんだそうだ。つまり、この事件についての彼なりの見解を警察に述べた、ということらしい。
なるほど。その内容は知らないが、本人がそう言うなら、正しいのだろう。
ところで、国際政治アナリストの伊藤貫さんが、たまたま、ネット上の動画で、宮台真司を見かけて、その言っていることを批判している動画があり、おもしろく読んだ。
ただ、その議論に入る前に前段があって、ここを正しく理解しておく必要がある。

伊藤貫:現在のアメリカはアングロサクソンの国とは言えない状態ですし、キリスト教的な価値規範というのも、共和党の一部には残っていますけれど、民主党アメリカのマスコミにはキリスト教的な文化、キリスト教的な価値観というものを、一生懸命壊そうとしているんですね。
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ジェイソン・モーガンアメリカはそもそもキリスト教の国ではないと思っています。プロテスタントキリスト教はあまり関係がないと思っており、私はアメリカの問題はイギリスから来ているんじゃないかと思っていて、もっと言えば、ピューリタンが問題だと思っていて、...。
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伊藤貫:アメリカのキリスト教がヨーロッパのキリスト教からずれたものになっているというご指摘は僕も賛成でして、ご存知だと思いますけど、十七世紀のイギリスは自分たちの国で、ようするに、当時のピューリタンというのは、イギリスでは、過激派だと思われていた。
ジェイソン・モーガン:カルト集団ですね。
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つまり、アメリカがもともと、イギリスからの移民が作った国であるわけだが、その時に、彼らは本当の意味で、イギリス国民がもっていたような

  • 価値規範

を、ちゃんと引き継いだのかが怪しい、と言っているわけである。
しかも、対談者のジェイソン・モーガンさんは、そもそも、プロテスタントでありピューリタンというのは、

と言っている。彼らはキリスト教徒じゃない、と。「カルト」だ、と。そういえば、神保さんも宮台さんも確か「プロテスタント」だったよね。この二人はキリスト教徒じゃないんだってさ。
では、もう少し話を進めたい。

伊藤貫:今の大学で教えているのかは知らないのですけど、僕が1970年代に日本の大学で社会学や心理学の授業を聞いていたら、マズローの四段階、五段階。あれを言うわけですよ。その一番トップに自己実現というのがでてくるわけですね。これはなんだ、と。こんな簡単な話でいいのか。
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伊藤貫:宮台君が言うには、アメリカ人の七割は高いセルフエスティームをもっている。ところが、日本人って高いセルフエスティームをもっているのは一割しかいない。でね、宮台君はアメリカ人は高い幸福感をもっている人がいるけど、日本人は世界でまれにみる幸福感が低い。幸福感が低いのはセルフエスティームがもてないから、とか言うわけね。彼の社会学的な判断によると、幸福感とセルフエスティームが正比例しているようで、高いセルフエスティームをもてる人を作ることが人を幸福にするとか、そういうことを社会学者が言っているわけですね。
僕、心理学者と教育学者と社会学者っていうのは、そういう、つまんない統計をもちだして、それで、この統計を見るとこういう人はこういう成功をしているから、こういうビヘイビアをすればいいとか、そういう簡単なことを言うでしょ。これ、恐しいことでね、僕に言わせると、心理学者と教育学者っていうのは、野蛮人が多いのよ。
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これさ。宮台が実際に上記の指摘通りに語っている動画がすぐ見つかるんだよね。ちょっと見てみよう。

宮台:社会指標ってやつは「幸福度」というやつだけど、細かい、社会学者が見てるデータっていっぱいあって、たとえば、家族の絆を示すような社会指標。これは、OECD加盟国の中で最も家族の絆が空洞化しているんですよ。親の死に目になんとしても会いたいけとか、親を尊敬しているかとか、親に反抗できるかとかで計測するんだけど。あともう一つ、自尊心。セルフエスティームのレベルが無茶苦茶低いんですよ。自分は一人前だと思うかとか、人に誇れるものがあるかとか、だいたい、アメリカ・中国が七割、八割イエスなんだけど、日本って一割切るんですよ。これって、高校生のデータだけど、家族の空洞化と自尊心の低さは、むちゃくちゃ関係あると思うんですけど、つまり、愛による包摂がないから、と一言で言えると思うんだけれど、ある意味で不幸な、自分に自信のない、したがって、ポジション取りする以外に安心できないようなヘタレどもが蔓延しているときに、経済指標を変えられるだろうか。
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ほんと、宮台って昔から、こういうゴミ屑のような議論をするよね。すぐに、マウントをとりたがって、勝った負けたとかやりたがる。ほんと、性根が腐ってる。病気なんだろ。二度と直らない。
馬鹿じゃねえのw アメリカは「自己肯定病」と言われ、むしろ、社会問題になっている。あまりに、楽観的すぎて、むしろ、そのことが生きづらくしている。つまり、これらは文化であり、文脈に最初から依存する。枕詞で、自分を控え目に紹介することから始めるのが日本人なんであって、なんで、アンケートに「正直」に答えなきゃいけないのw 馬鹿じゃねえの。こういう、どーでもいい、くだらない統計ばっかりやっているから文系は馬鹿にされるんだろうが。
結局さ。宮台って、こいつ、なにに価値を見出しているの? お前の価値規範ってなんなの? そういう話って、一度も聞いたことがないよな。全部、一般論であり、抽象論であり、なにかの価値にコミットしたことってあるの?
全部、その場の流れで話しているだけ。こいつ自身が、なにかの価値にコミットして、自らの全身全霊を賭けて何かにとりくむとかあるの?

伊藤貫:エリオット学長がハーバードから古典教育を追放したんですよ。エリオット学長の頃まではハーバードの学生はギリシャ語とラテン語をマスターして、ギリシャ古典、ラテン古典を全部読まなきゃいけないと、必須だったんですね。ところがエリオット学長というのは、いわゆるプラグマティストで、当時ハーバードでものすごく有力だったのがウィリアム・ジェイムズで、それと当時の教育学会で有力だったのがジョン・デューイ。デューイもジェイムスもプラグマティストだから役に立つものがいいものだと、それで、役に立たないものは価値がないと。
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このプラグマティストって奴らだよね。ほんと、こいつらって、全ての社会の「価値」と呼ばれるものを破壊して、ダメにすることだけが目的で生きているような連中でしょ。
まず、言っていることが滅茶苦茶。そして、嘘、でたらめ、虚偽を言うことを恥かしいと思ったことがない。だから、論理的に語る、ということを生涯の目標として拒否する。
プラグマティズムの基本は、「絶対に論理的に語らない」という固い決意のことだw そもそも人間は感情的な動物なんだから、そんなものは不可能なんだ、という

の末裔に位置する連中であって、そもそもの全ての、この社会の価値あるとされていきた一切を破壊すること目的にしている連中だ。
しかし、ね。
おもしろいことに、この「プラグマティスト」を無上に「礼賛」しているのが、宮台真司先生なわけだw

宮台:僕は実はリチャード・ローティというプラグマティストの影響を非常に受けていて、リチャード・ローティは自称してプラグマティストで、ジョン・デューイの遺髪を継ぐものである、と宣言していますけど、たとえば、経験と教育というデューイの本を読むと、教育の基本は知識の伝達じゃなくて、経験を通じて、動機を伝達することなんですけど、リチャード・ローティもそれを完全に継承していて、だから彼は多様性というときに、僕らがやりがちな、認めあって共存しましょうみたいな、いわゆる、ゾーニング主義というのを徹底して否定するんですよ。これはむしろ、多様性を認めない感受性を温存するための小手先のやり方であると。本来の多様性とは、僕の言い方でいえば、自分はたまたま日本人であるけど、白人でもありうるし、男だけど、女でもありうるし、いろんな主体が自分の中にいることが本当の多様性。
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おもしろいよね。それと同時に恐しくなるわけね。リチャード・ローティは、イラク戦争のときに、真っ先に、ブッシュによる、イラク戦争を肯定し礼賛した人ですよ。その理由は、

の観点から、「とにかく、やる」ことそれ自体において、肯定以外の選択肢がない、という決定的に倫理観の欠ける主張だった。
これを見ればよく分かるように、ようするにプラグマティズムとは、

  • 御用学者

のレトリックのことなのだw 伊藤貫さんの上記の対談の後半で話されているように、アメリカによる日米貿易摩擦のときのアメリカの主張って、滅茶苦茶ですよ。日本が黒字だから、日本が悪い。ずっとこんな、非倫理的なことを言い続けた国ですよ? そして、アメリカの学者も、アメリカのジャーナリストも、そういったアメリカ政府の「滅茶苦茶な論理」を一切否定しない。
つまり、原理原則がない。なんらかの、価値から発生する原理原則がない。どんなにアメリカ政府が滅茶苦茶なことを言っても、もう、これ以上ないくらいの、無手勝流の、アクロバティックなレトリックを使って、外面は、褒めてるだけの文章を書き続ける。つまり、もう、

という、「滅茶苦茶」しかないわけ。これがアメリカであり、このアメリカが古代ギリシアで、アテネが周辺の都市国家を「帝国」として、無理難題を押し付けて、言うことを聞かなかったら虐殺したように、現代の地球上の全ての国は、このアメリカの「滅茶苦茶」に振り回されて、今にも、全面核戦争が起きそうなくらいに、あらゆる世界の価値規範が、このアメリカという

たちに破壊され、焼け野原にされそうになっているわけだ...。