演じるということ。演技であるのだが、じゃあ、それが、彼女本人で「ない」わけではないんでね。じゃあ、そこでやってることはなんなのか。
嵐ヶ丘。マザー・テレサ。狼少女。八百屋お七。
こうやって、ほんの一部だけとりあげるだけでも、ちょっと尋常じゃない内容だってわかりますよね。
だから、演じるって、非常に抽象的な所作なんですね。高度な抽象力のいる。現象学的なアプローチともいえるような。また、どうしても、認識する側に、そういった高度な態度を要求してくる。でもそれは、実存的には、本人そのものであり、殴られれば、痛みを感じる、当たり前の日常。
太古のギリシア悲劇の時代から、繰り返してきた、人間の営為なんですが、なんとも、どう言ってよいのか......。
ライバル。「あしながおじさん」。そういった伏線をもちながら、唯一、画竜点睛なのは、今だに、完結していないことですかね。それがむしろ、テーマの非完結性、答えのなさをあらわしているのでしょうか。
- 作者: 美内すずえ
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