吉田俊純『水戸学と明治維新』

たいへんによく、水戸学について、まとまっている。これを読んで始めて、『日本の名著 29・藤田東湖』を、通読できるかな、という気にさせた。
藤田幽谷、会沢正志斎、藤田東湖、の水戸学派の、分析に始まり、吉田松蔭、横井小楠、そして、彼の後輩である、元田永孚井上毅によって、教育勅語が作られる、その流れをまとめている。
作者が強調するのは、上記、水戸学派の理論が、未完のものであることと、太平洋戦争中、さかんに、会沢正志斎の「新論」が読まれたが、それは、そこに、世界戦略の問題が書かれていたからであって、むしろ、藤田東湖の特徴こそ、水戸学を代表しているということで、これらのそれぞれの人物の考えの違いを、強調している。

水戸学と明治維新 (歴史文化ライブラリー)

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