西尾維新『ネコソギラジカル』

やっと、戯言シリーズを読み終わった。最後の『ネコソギラジカル』は、ミステリですらなかったですね。
ミステリにおいて、殺人事件は、切っても切れない関係にあるが、それが、連作となると、どうしても、死者の記憶と追悼を伴わざるをえなくなる。しかし、その問題はそれほど消化されているようにはみえないけど、作者にはそこはそれほどの問題じゃないのでしょう。
さまざまなフツーのガッコーやカテーのルートから外れて生きている人たちはたくさんいるだろうし、そういった生態をうかがわせる部分もあるが、そういったものは、ストーリー上の展開から要求され顔を見せるだけで、主題として描かれることはない。
さかんに、太宰治が連呼されていたが、まさに、そんな感じのユルい読後感。なにより大事なのは友達。それが美学的な感傷のもとに、何度もシツコク説教される。モラトリアム。ようするに、最後は、週刊少年ジャンプの世界。そして、ハッピーエンド。

ネコソギラジカル (上) 十三階段 (講談社ノベルス)

ネコソギラジカル (中) 赤き征裁VS.橙なる種 (講談社ノベルス)

ネコソギラジカル(下)青色サヴァンと戯言遣い (講談社ノベルス)