鎌田慧『コイズミという時代』

鎌田慧といえば、いろいろ左翼的な立場から、労働問題を取材したエッセイを書いている人だが、あまり読んだことはない。けっこう前だが、videonews.com にゲストで来ていた。そのとき話していたのが、この本の話だったような気がする。

そもそも資本主義は、労働者を食って、経営者が太る、きわめて前近代的なシステムである。なかでも派遣業は、労働者の賃金をピンハネして不労所得をえる、チョー前近代の遺物である。ところが現在、この派遣業の勢いがものすごい。派遣労働者は、02年度で213万人、前年度より22%ふえている(厚生労働省発表)。
売上げは、2兆2472億円。99年度から8年間順調にのびつづけている。それにともなって、賃金はどんどん下がっている。
はじまりは、コンピュータ社会の発展とともに膨大なプログラマーが必要となり、派遣労働者がプログラムを組むようになってからだった。
それでもコンピュータ産業や専門的な技術が、人材派遣の条件であったうちは、まだマシであった。労働者派遣法が改正され、04年4月からは、全製造業への派遣が解禁された。つまり技術者でもない単純労働者を、ピンハネ目的で生産ラインに合法的に派遣できることになった。
ラインを丸ごと「ハケン」に任せているのもめずらしくない。「貸工」制度の復活である。
労働者派遣とピンハネは、労使関係のもっとも醜い部分であり、労働者の保護の観点で考えれば、ピンハネはけっして認められるものではない。人材派遣法の改正は、また前近代の復活という流れを加速させる。フリーターやアルバイターやパートタイマーの使い方は、ますます経営者の思い通りになるだろう。

たしかに、その後、パートの法律ができたりで、こういった仕事の契約関係の法律がいろいろ変わってはいるようだ。
多くの人が、厳しい労働環境で仕事をさせられるということがどういうことかを忘れているんじゃないのでしょうか。どんどん、政府とそれにつるんだ、大企業が、いろんな非人間的な法律を今後は通してきますよ。

コイズミという時代

コイズミという時代