青木秀和『「お金」崩壊』

いやあ。大変、おもしろかった。いろんな視点が書かれていて、よくまとまっていると思う。読んでみられるといいと思う。
私たちは、銀行にお金を貯金している。しかし、そのお金は、どうなっているのだろうか。銀行は、預かったお金をそのままにしておいては、利子を払えない。つまり、なにかをして、その利子を返さないといけない。他方、国は、国債を銀行に買うように強制してくる。当然、銀行は国によって存在を許されているのだから、嫌でも、受け入れざるをえない。
つまり、私たちが「貯蓄」とかいって銀行にあるんだろうなと勝手に思っていこんでる金は、あらかた、国に使い倒されていて、全然ないって話だ。だいたい、おかしいでしょ、なんで国は、打ち出の小槌みたいに、いくらでも借金ができるんだ。
郵貯(明治5年)、簡保(大正5年)、厚生年金(昭和19年)、これらが導入されたのは、それぞれ、国家の混乱の時期に導入されたものですね。これらが、未来をみすえた、まともな運営がされてると思っている人などいるんでしょうか。絶対、払ったに見合う金額を、(特に少子高齢化を生きる世代が)受けられることはありません。だって、政府にとっては勝手に入ってくるお金ですよ。まともに残ってるわけないじゃないですか。目の前にあるんですから、言われなくても、いろいろ理由つけて勝手にその場で使うでしょ。
最近は、アルゼンチンがやりましたが、日本は今まで、2度、デフォルト、破産をしています。幕末。こちらは、銭から円の、デノミ(貨幣単位の変更)さえしています。第二次大戦後。どちらも、完全な借金のふみたおしです。どうして、「次」は来ないと言えるんでしょうか。今でも、とてつもない金額の借金が公共機関にあるんですから。最近でも、超インフレになれば、利子が少しになる、みたいなことを言うやついますよね、それで、どれだけ国民が苦労するか分かって言ってるのか。
日本の今の日本銀行を中心としたシステムを最初にやったのは、イギリスのようだ。世界中、最初は金本位制だったが、アメリカが、変動相場制に移行する。しかし、基軸通貨国が、このようなことになるというのは、どういう意味だったのか。

一方、この当時、原油代金の決済ができる国際通貨は米ドルだけだった。ドルを基軸通貨の地位にとどまらせたのは、この事実のほうが大きかった。

同年10月、第4次中東戦争が勃発、原油価格は一気に4倍近くまで跳ね上がる。「第一次オイル・ショック」である。
完全変動相場制への移行によってドルの威信が揺らいだとき、タイミング良くオイル・ショックが起き、原油取引を通して世界はドルの威力をまざまざと認識させられることになったのだ。偶然の一致というには、少しできすぎているように思われるがどうだろう。

イラクの独裁者サダム・フセインは、2000年9月、「石油の支払いに米ドルを受け付けず、ユーロのみが有効だと宣言した」。ところが、その3年後、米国から大量破壊兵器保有していると因縁をつけられ、戦争を仕掛けられたあげく、収監され、絞首刑に処せられたのだった。

日本のお金は、ほとんど、アメリカの国債に使わされている。つまり、日本のお金というが、ほとんど、アメリカの借金の肩代りに使わさせられている。その、アメリカは、今、バブルの崩壊(サブプライムローン)で苦しんでいる。さて、いつまで、アメリカに日本は、金魚のフンのように、くっついていくつもりなんでしょうね。

「お金」崩壊 (集英社新書 437A)

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