関裕二『古事記 逆説の暗号』

この人の、古代史モノの本が、いっぱい売っているが、読むと、うらしまたろうがどうしたとか、かごめかごめがどうとか、かぐやひめがどうとか、完全にトンデモなんですよね。まあ、ジャーナリストの文筆屋なんだから、それくらいでないと、というのもあるんだろうけど(それにしても、おんなじことばっかり、何冊も本にしてるのはどうなのかね)。科学というのは、事実として、証明できることだけを主張する世界であるため、古代史のような、ほとんどなにも分からないことが前提の世界だと、どうしても積極的なことを言おうとすると、こんな感じになるというのはあるんだろう。だから、完全に、自分に都合のいい議論ばかり集めてきて言ってることはそうなんだろうから、そういった視点で、彼への批判を体系的にやるような、ホームページでもないのかな。まず、この作家のこういった本が実際に本屋に並んでいることを、もっと正面から批判するようなものってないもんなのかな(だって、明らかに、学会の学説と違うどころか、なに言ってるのレベルの話でしょ)。
この本の、半分以降はそんな感じで、いつものこの人の持論、というものだが、前半は、古事記偽書説について、トレースしている。つまり、今ある古事記は、平安時代に作られたものであり、日本書記の前に書かれていた、などではない、ということだ。こちらの方は、なかなかおもしろかった。少なくとも、いろいろ言っている人がいるということだ。

古事記逆説の暗号―日本書紀を覆す反骨のカラクリ

古事記逆説の暗号―日本書紀を覆す反骨のカラクリ