ブルバキ『数学原論 集合論3』

少しでも、数学を、マニアックにやった人にとっては、この本は、かなり印象的なものであった。
数学というのは、私の印象としては、とにかく、名人芸的な世界なんだと、自己定義したがる人たちが、勝手にやっているギルド的な集団というイメージがある。はっきり言って、啓蒙的なことにまったく興味がない。もちろん、そういったイッパンムケの紹介記事はたくさんあるが、まったくそれだけ。
はっきり言って、今のコンピュータ社会は、情報社会である。数学なんて、全部、データベース化すればいいんだ。こんなこと、だれだって思いつくじゃないですか。しかし、だれも、そういうことには興味がない。すっげー、狭い、だれも興味のないスミッコをいつまでもつつきまわして、それで、一生終わってしまう。だったら、そういうのも含めて、まず、データベース化してくれません?
つまり、数学は、まず、それらの情報へのアクセシビリティをなんとかしてもらわないと、いっくらイッパンムケを書いたって、そんなの上から目線の、禅問答。わかったようなウンチクにしかならないでしょ。言ってること、やってることが、片手間なんですよね。そんな状況ほっといて、エラソーにしてんじゃねぇ。
さて、ブルバキ数学原論ですが、言ってみれば、その当時の数学を体系的に教科書を作ったということなんですが、その特徴は、中途半端であれ、当時やっと確立してきた数学基礎論の上で、記述した、ということなんですね。そして、全巻通しての、明らかな特徴として、「構造」を全面に出していること。そして、この「集合論3」は、そのアイデアのまとめの部分といいましょうか、内容としては、それほど、おもしろくないんですけど、俯瞰的に見ておくと、やろうとしていることが分かるといいますか。
まあ、いずれにしろ、ブルバキ数学原論について、それほどくわしいわけでもないし、逆に、こういった傾向のものは、過去の産物の傾向はあるんでしょう。また、数学原論の演習問題まで含めて全部見てる人なんて、ちょっといないでしょうし。