大澤真幸『逆接の民主主義』

あいかわらずの、大澤節で、読みづらいが、ひとまず、二つの提言をしている。
一つは、北朝鮮への対応についてである。今、北朝鮮から、中国に向けて、多くの人が亡命している。結局、韓国国境は、38度線のため、両軍が警備しているが、中国側は比較的、渡れる、というのだ。しかし、中国政府の今の政策は、中国側に亡命して来た北朝鮮の人は、すべて、北朝鮮に返す、というものである(さて、返された、北朝鮮の人はどうなっていますでしょうかね)。この本の提言としては、それら、中国に亡命してきた人すべてを、日本が受け入れろ、というものだ。この重要性は、そもそも、東欧の社会主義国の崩壊のすべての始まりが、西側の国が、こうやって亡命してきた人をかたっぱしから、受け入れたから、だったからだ。
私は、今の、拉致被害者の運動に対して、少なからぬ、疑問をもっている。まず、あれほど、安倍政権と、べったりになったことに対して、なぜ、あそこまで擦り寄ったのか。つぎに、拉致被害者以外にも多くの日本人が北朝鮮で暮しているわけですよね。なぜ、その人たちのことを語らないのか。また、上のことについても、もしかしたら、中国ルートを使って、中国側に、拉致被害者が亡命する可能性を考えていないのか(特別扱いをされていて、一般の人と隔離された場所にいると考えて、そういうケースを考えていないのか)。どうしてここまで、発信力を失っているのか。結局、拉致被害者のグループの脇を固めている人たちが、安倍のような、ウルトラ保守うつ主義者みたいな連中しかいなかったので、なにかトンチンカンな方向に運動が流れているんじゃないか(意味もなく天皇がどうのとか言いそうな感じまでする)。
さて、もう一つの提言が、自衛隊についてである。結局、いろんなことを言う人はいるが、どう考えても、憲法を素直に読めば、自衛隊が、憲法9条違反であることは、明らか。じゃあって、憲法9条を変えよう、というのが、安倍のような、ウルトラ保守うつ主義者。しかし、憲法9条の変更をしないと選択するなら、今の、自衛隊をどうするか。提言としては、(難しい表現を使っているが)他の国に対して、「贈与」を行う、なんらかの組織(組織Xと言っていたかな)にすること、らしい。
上記が前半で、後半は、あいかわらず細かくて、あんまり覚えていない。興味にある人は、読んでみられたら。