藤田覚『幕末の天皇』

急に、篤姫の格好が、ババくさい格好になって、あそこまでやるのかね。逆にコスプレみたいだな。
そんなことはいいんですけど、篤姫をみていて、おそらく、あれっと思うんじゃないですかね。戊午の密勅です。急に、天皇がでてくるのです。
なぜなんだろう、なんですね。なんで、急に、天皇がこんなふうに、政治に口出しするようになったのか。
そういう問題意識をもったのは、この本を紹介している、

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の記事からなのですが、光格天皇孝明天皇と続いて、このあたりから、かなり特異な動きを始めていることは、確かなようなのです。ずっと長い間、政治の表舞台から離れていたはずなのに、一体なにがおきていたのか。

関白の九条尚忠は、家司の島田左近に与えた手紙のなかで、密勅は天皇の強い意志で出されたものなので「大心配」だ、密勅は、三条実万が言い出し、天皇の意見と徳川斉昭らの入れ知恵で作られたものなのだと書いている。天皇主導の密勅のようだ。さらに九条は、密勅は関白が参内しない場で、関白をさしおいて決定されたもので、「宮中の内乱」だとも書いている。

番組でも、井伊直弼が、これは朝廷によるクーデターだ、って言ってますけど、ちょっと、孝明天皇のかなりの行動なんですね。だから、なんでこんなふうになっていったのか、といった部分の多少の一面がわかるのが、この本かな、ということなんですけど。
いずれにしろ、孝明天皇のこの、自己主張、強固な意志というのは、なんなのかはわからないけど、このまま、維新後も、この態度では、維新政府は、やりにくくてしょうがないでしょう。
そんなことから、毒殺説となるのだが、結論なんて、今となっては、墓でも掘り返さなきゃでないが、いずれにしろ、こんなふうに、孝明天皇がこだわらなければ、もっと違った日本になっていたことは、間違いないんでしょう。

幕末の天皇 (講談社選書メチエ)

幕末の天皇 (講談社選書メチエ)