呉善花『韓国倫理崩壊1998-2008』

さて、オリンピックが始まりましたね。私は、競技をあんまり見ようとまで思いませんが、開会式と閉幕式はちょっと見ようか、と思っているくらいの興味です。
入場式で、実に、参加国が増えていますよね。多くの国が一同に介し、それをこんなふうな生放送(に近いもの)で紹介されるというのは、あまりないのでね(別にスポーツではなくて、いろいろな場面で、そういうことがあっていいと思いますが)。
最終走者が、昔の体操選手ですが、中国国内のスポーツメーカー大手の社長ですね。中国は、三権分立がまともにありません。さらに、産業界の中国共産党への影響はどんどん大きくなっているでしょう。ギョウザ事件も、どう考えても、この産業界への共産党指導部の依存が深刻になっているのは間違いないでしょう。
今回の、videonews.com は、ドーピングの特集をしていますね。
ドーピングというのは、いろいろなことを考えさせますね。さいわいなことなのか、日本では知識を多くのコーチなどがもっていないこともあって、ほとんど浸透していないんじゃないか、といった楽観的に番組では言われてますが。逆にいえば、トップの選手は先進国の高度なトレーニングを受けられていることは確かなので、その辺りの脅迫的な意識にまではなっていないということなのでしょう。
しかし、もし、ドーピング検査で発見されないで同じような効果のあるものがあれば、しかも、それの後遺症が実に少ないとしたら。実際は、もう、この辺りの話まで、かなり来ているんだという話でしたね。遺伝子操作なども言われ始めてますね。
私は、日本人が、「がんばれ」と応援するのは、まあ、いい方だと思います。プレッシャーと言われますけど、精神的な自分との戦いであることを示唆してますよね。本番で固くなって、実力を発揮できないなんて、人間的でいいじゃないですか。それを乗り越えてなんでしょ。
精神的修養、そして技術の習得、指導者、となるのであって、武士道的には、この分野を極める形での人格者への道、そのものですから。ほとんど、勝ち負けに意味などない。生き様だけ。
韓国は、そのまま「勝て」ですからね。なんかバレーの試合だったかな、アメリカチームが、相手がミスしたり、自分たちの攻撃の形が成功して、やたらキャッキャッしてるんですね。そういう場面を見て、ちょっとついていけないかな、と。それに比べて、日本はひかえめでしょ。それくらいでいいんじゃないですか、たかがスポーツ。しょせん、審判のゆるい判定で勝敗が左右されているケースも多いでしょ。
私は、入場式で、インドの番で、インドは、IT技術には熱心なんだけど、スポーツにそれほど興味がない、ということを言っているのをみて、少しおもしろいと思いました。中国やロシアがあれだけの大人数なのに、人口比から考えても、あれだけ小規模なのは、おもしろい。
さてやっと本題ですが、著者は、韓国の人でありながら、日本の保守派の論壇人となってる人。
著者は、これでもかというくらい、韓国の倫理的頽廃を指摘する。政治のひどさ。なかなか、こういう大統領制というのは危険ですね。
あまりに嘘が多いこと。みつかって咎められることがなければ、他人をだまそうが、なにをやってもいいと思っている人のあまりの多さ。特に、海外での、韓国人のあまりの評判の悪さ。日本への庶民から教育からにしみ渡った、侮蔑意識、侮蔑行動が公然と容認される雰囲気。特に、マスコミが、政治と基本的に癒着して、距離がないんですよね。簡単に、反日一色になる。
私も、この本に書いてある意図はかなり一方的な面はあるとは思いますが、しかし、むしろこういった面があることは、韓国の人たち自身が分かっていて、さんざん言ってきたことでもあるんですね。
日本はやはり島国ということもあって、外国のプレッシャーの弱いところでやってきたが、韓国は大国にはさまれた小国として、ずっと、外国からの圧力に翻弄されてきた。古くは、大化の改新の頃、中国の北朝南朝が、朝鮮の国々の政治に介入していたし、最近は、戦中の日本、戦後のアメリカですね。
この本の最初のメインの話でもあるけど、韓国でちょっと理解を越えているのが、やはり、漢字を捨てたことなんじゃないでしょうかね。しかし、なぜ、こんなことになってしまったのでしょうかね。でも、実際、韓国の方は勉強熱心ですし、中国語、日本語を勉強する過程で、それなりに理解してるのが現状なんでしょうが。
ただこの本を読んでいて、ちょっと考えさせられたのが、以下です。

顔つきや体型が悪いのは自己管理能力の欠如とみなす風潮は、とくに企業に蔓延している。目つきが悪かったり、表情が暗かったり、他人に悪印象を与える顔つきをしている者は、美容をはじめとする自己管理ができていないとみなされる。太りすぎの体型も、やせすぎの体型も、総じてバランスを欠いた体型をしている者は、食生活や運動などの面での自己管理がよくできていないとみなされる。「自己管理能力の欠如」とみなされれば、言うまでもなく就職には大きな不利となるのである。
そうした社会風潮を背景に、韓国では現在、女性では3〜4人に1人が、男性では5〜6人に1人が、なんらかの美容整形手術を受けた経験をもっているとみられている。

ビジネスとして、身だしなみを言うのは理解できなくもないが、そこから、整形でしょ。日本でも一時期プチ整形なんて言われてましたが、どうも、一線っていうのが、なくなっているという感覚じゃないですかね。これはなんなんでしょうかね。
論語において、死ぬ直前に、回りの人に、自分の体を確認させる場面がありますね。すみずみまで見てくれ。親から生まれた体に一つも傷をつけなかっただろう、と。
こんな感じで、自分のこの親からもらった体、見た目を、いろいろいじるというのは、一般的にアジアでは、抵抗があるんだと思ってたんですけどね。
著者は、あえて、韓国のいい面はこの本では書かなかったと言っている。韓国の地方には、民俗的な社会的な助け合いの文化があるという。むしろ、こういったことからの究明が大事なはずなんで、いろいろネティブキャンペーンを並べても、まったく建設的じゃない。

韓国:倫理崩壊1998‐2008―社会を蝕む集団利己主義の実情

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