「うる星やつら２ ビューティフル・ドリーマー」

１９８４年の押井守監督の映画。最近、レンタルで見た。風の谷のナウシカと同じ年だそうだ。
うる星やつらといえば、高橋留美子の漫画の代表作ですね。もともと、こういった、原作つきの映画とかアニメというのは、結局、なにをやっているのかというところはありますね。原作に忠実でないとしたら、あとの、マイナーチェンジになんの意味があるのか。そうなると、こういった、楽屋落ちのようなことくらいしかなくなる。
しかし、こうなってしまうと、なんで原作ありの作品でなければならないのか。もっといえば、少なからず、原作の世界を汚すことでしかありえないわけだから、原作に対して不遜でもある。
さらに考えてくると、脚本家、監督が、なにかを言いたくてやっているなら、オリジナルで、一個一個世界を構築していって、という方が、夾雑物もなく、すっきりするが、そうでない、別の世界を借りてきたとなると、普通は、こういうのは、「批評」となる。
荘子の胡蝶の夢の話をする場面がありますけど、早い話が、この話を越えるような認識が語られているわけでもない。楽屋落ちならそれで、それの矜持があるものだ。ようするに、抽象的であることに作者が悦に入っている気持ち悪さ。
いずれにしろ、まだ、インターネットもない、パソコンが少しあらわれた頃、神話の世界の英雄のように、まだオリジナルが、オリジナルでありえた時代。今から思えば、その後、何年ももたない、そのほんとに狭い時期にありえた、ひとつの奇形の作品ということですかね。

うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー [DVD]