佐々木「さん」の主張への反応

うーん。以下のトゲッターのまとめは、佐々木「さん」が何を言いたいのかを、ちゃんと理解した上で、コメントしないと、まともな議論が成立しなくならないだろうか。

コンビニの冷蔵庫に入っただけで人生を棒に振る社会と、何をやっても皆で隠蔽してしまう無責任社会は、実は表裏一体という鋭い指摘。両極端の振れ幅ではない中庸のあたりに本当の道がある。/「厳しすぎる社会」は「だれも責任をとらない社会」 http://t.co/45oOPfwuYz
sasakitoshinao 2013-09-01 08:06:08
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ですから、問題は、上記の引用先に何が書いてあるのか、なのである。

バイトが冷蔵庫はいったりして店つぶして賠償金数千万なんてひどすぎる。だって会社が店を閉店したのは、世間様の空気に屈した(先読みした)からなのに。冷蔵庫の清掃や商品の廃棄、客への補償に対する賠償請求ならまだわかるよ。でも世間力の強さをバイトのせいにするなんてとんでもないよ。
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つまり、処分が厳しすぎるんじゃないのか、と言っているのである。行為のよしあしの前に、この行為の結果が「アルバイトに賠償金数千万」となるような社会には、問題があるんじゃないのか、と言っているわけであろう。
そういう意味では、佐々木「さん」の指摘はもっともで、こういった高額の賠償金が、どんどん請求されることが当然の社会になったら、そもそも、アルバイトをやる人がいなくなるんじゃないか、アルバイト制度自体が、日本で成立しなくなるんじゃないのか、と。
企業のコンプライアンスでもそうですけど、そういった「ルール」に反した行為の、「存在」の話と、そのそれぞれが、

  • どの程度悪質か

は、全然別の話なんですね。たまたま、うっかりして、「ルール」を守っていなかった行為が一つ見つかったという場合は、まず、最初は「注意」でしょう。よく考えてください。自分がアルバイトをやっていたとして、ちょっとした、ケアレスミスで、いちいち、給料を減額されていたら、そのアルバイトを続けようというモチベーションが続くでしょうか。
もちろん、その企業が絶対に許さないような、非常に深刻なセキュリティ事故という場合も考えられます。その場合は、その社員は、最終的には、退職にまで、行くケースもあるかもしれません。あまり知らないですけど、それなりの犯罪者として、追求されることもあるかもしれません。
この場合、どうも企業の側が、そういったケースとして扱おうとしているんじゃないのか、という動きと受け取られてきているわけですね。
ですから、佐々木「さん」の主張は、間違っているかどうかの前に、あくまでも「アルバイト」の人の側に立つならば、その「擁護」の弁明や主張は、「弁護」として分からなくはない、ということなんですね。
つまり、

  • 問題

は、なぜ、企業はこの場合、そういった極限状況として扱おうとしているのか、という、そちら側の企業の「そうしたい」理屈の掘り下げることに佐々木さんは、どうも興味がないみたいに見えるところなわけですね。
どうも、佐々木「さん」は、この問題を、これからの総監視社会において、人々の「寛容」が大事で、クレーマーさえ消えさえすれば、一切が解決する、というレベルのことしか言ってないように聞こえる、ということなわけです。
ではここで、上記のケースを、「商売道」として、商業倫理の問題として考えた場合、どういう観点から、その非倫理性が問われているのか、を考えてみましょう。
食品業界に関わっている人であれば、

  • 何が一番に究極的に重要なことでしょうか?

それは、間違いなく、

  • お客様が、この商人が「自分に悪意をもって行動していないか」を疑っている

ということになるわけです。よく考えてください。お客様は、この店に始めて来ました。もちろん、この店のことも知りません。店員に知り合いもいません。始めて会った人ばかりです。こういった人が、なにか食事を作ってくれるとして、

  • どうやったらその店の食事に「毒」が入っていない

と思えるでしょうか。始めて会ったわけです。店員がどんな人間なのかも知らないわけです。
お客が考えていることは、「始めて会った人間の言うことをどうやって信用したらいいのか」の一点に尽きるわけです。街の定食屋に行けば、いつでも、定食料理を食べられます。しかし、その中に、毒は入っていないのでしょうか。いや。なにかの間違いで、毒が入ってしまうことは、人間のやることですから、避けられないのかもしれません。しかし、大事なことは、

  • この定員の態度が悪いんだけど、こいつ、自分が気に入らない、ガンをつけた客に、客がすぐには気付かないけど、後から重い後遺症を残すような「毒」を盛ってないだろうか

という疑いを晴らす、なんの「担保」もない、ということなんですね。だって、この店員は、「始めた会った人」なのですから。
こういったところから、日本に古くからある「商人道」というものがあるわけでしょう。お客は、その店の店員が、どういう人間なのか。本当のことを言うのか。約束を守って、期日までに、品を届けてくれるのか。約束を守る人なのか。そういった、人間として

  • 信頼できるのか

を、商売人は、お客に「評価」されているわけですね。そこで、簡単に自分の都合で、原則をまげているようでは、お客に信用されない。つまり、それだけ、商売をやるというのは、難しい、ということなのであろう。
だから、こういった視点から、佐々木「さん」の言っていることを読むと、相当に「むごい」んじゃないですかね。
トゲッターのコメントも、佐々木「さん」が飲食店をやったら、その店のものを食べたくない、というような感じの反応が多いんじゃないだろうか。佐々木「さん」が、自分の店の店員が「若い」ということを、

  • 言い訳

にして、客に商品の質が悪いことを「我慢しろ」と説教しているように聞こえるわけでしょう。
おそらく、この佐々木「さん」って人は、そういった商人倫理のトレーニングを現場で受けたことがないのでしょうね。世の中で食糧を扱って商売をしている人って、たくさんいるわけでしょう。そういう人たち、みんな、マジでその職業にプライドをもって、大事に食糧を扱っているわけでしょう。この佐々木「さん」って人の文章は、そういった人たちを馬鹿にしているように読めますね。職業倫理を嘲笑するような愚弄ぶりでしょう。おそらく、本人はそこまでのことを言っているとは思ってないって感じなわけで、そのKYぶりが、やれやれって感じなんでしょうが orz。