TPP第三次世界大戦

それにしても、TPPであるが、これは成立するのだろうか? 私には普通に考えて成立しそうな印象がない。それは、アメリカの国内世論がかなり強行に反対している印象があるからだ。
ヒラリー・クリントンが早々に反対を表明していることを始めとして、ようするに、アメリカのさまざまな利害当事者が

  • 全員

得だと思えるような内容でなければ、アメリカの意志統一は難しいのではないか。ようするに、TPPは成立しないのではないか、と思われるわけである。
もしも、アメリカが、このTPPを国内世論として諸手を挙げて賛成に回る可能性があるとすれば、全部がアメリカにとって有利な条件と時であろう。しかし、その可能性はありえない。どこかしら、アメリカは譲歩をしなければ、成立しない。だとするなら、アメリカは、TPPをわざわざ成立させなくていい、と考えるのではないか。
アメリカが考えるのは、個別の項目で、この交渉の過程から

  • 得になるように振る舞う

ことであろう。たとえば、日本はTPPが成立する前から、著作権法の改正などを行うことを、すでに、日本政府は決めている。恐しいことに、それは、別にこの後、TPPが成立するかしないかに関わらず、もう先に、日本の国内法をTPPルールに合わせる、と言っているわけである。おそらくこれは、安保法制と同じくたいの抗議運動のもりあがりになるであろう。
日本政府は、今回の安保法制で、国民なんて「ちょろい」ということを分かった。口八丁手八丁で、いくらでも、国民をだまくらかせるということが分かった。おそらく、同じメソッドで、この著作権法の変更を目指してくるであろう。
今回のTPPの特徴は何かと言うと、とにかく、巨大資本をもったグローバル企業が、そのロビー能力を駆使して、お互いの政府を

  • 支配

することに、その特徴がある。交渉内容が外部に漏れないようにさせていることの意味は、こんな非人道的な条件を、どこの企業が政府に強制しようとしているのかを、国民に知らせないようにしようという意図からである。
巨大資本のグローバル企業は、自らの利権の獲得を

をエサにして、各政府を「脅す」。

  • 得をする人 ... 巨大資本のグローバル企業(ロビー活動)、与党(バーターによる政治献金
  • 損をする人 ... 各国の国民(巨大資本のグローバル企業ばかりが、自分たちの利益を最大化するための「自由」を得るため、結果として、どこの国の国民も全員、自分たちの「権利」を制限されることになる)

ここで大事なポイントは、そもそも、巨大資本のグローバル企業が、バーターで政治資金を献金するのは、別に、アメリカの企業だったらアメリカだけ、ということはない、ということなのだ。アメリカの政府にも日本の政府にも投資する。つまり、この戦いはアメリカ対日本ではない。各国政府対巨大資本のグローバル企業の、バーター合戦なわけである。
巨大資本のグローバル企業は、今、莫大なお金をもっている。彼らは、今、この瞬間、その大半のお金を、各国政府に献金することは、まったく問題にしていない。彼らは、その代わりに

  • 未来永劫の「成功」

を「ルール」を支配することによって得ようとしている。つまり、巨大資本のグローバル企業の「成功」は、

  • 各国国民の<奴隷化>

に直結しているわけである。おそらく、今後の交渉は「アメリカがTPPの成立に、どんどんやる気をなくしていく」過程において、進んでいくであろう。なぜなら、アメリカは結果として合意される内容が、アメリカ国民の「全勝」でないことに、アメリカ国内の世論の不満が噴出していき、結果として、選挙結果にその不満が反映されていくからだ。
アメリカは、そもそも、莫大な軍事力によって「世界を支配している」という気持ちがある。どこも、アメリカと戦争をして勝てない。だったら、なぜ他国に譲歩しなければならないのかが理解できない、という反応が続くであろう。
よって、アメリカは「絶対」にTPPに参加しない。つまり、TPPは成立しない。
しかし、である。
アメリカにとって、実際にTPPが成立するかどうかなど、どうでもいい。このTPPの交渉を通じて、アメリカ以外の国々を

  • 巨大資本のグローバル企業

にとって、ハゲタカ・ファンド並みに、草刈り場にできさえすればいいのだ。交渉をいつまでもじらして、他国の法律を前倒しで変えさせて、少しでも、TPP交渉過程で彼らに飲ませた条件をコミットさせていく。
これは

  • お金のある企業

  • 一般国民

の、第三次世界大戦。世界「最終」決戦となるであろう。彼ら「巨大資本のグローバル企業」は、一般ピープルが一生かかっても払えないような莫大なお金を餌にして、各国政府を「自分たちの奴隷にしようとしてくる」わけである。もし、この最終決戦に、巨大資本のグローバル企業側が勝ったとき、その

は、国民の権利の甚大なる損失に結果する可能性がある。その時、負けるのはもはや、それぞれの国家ではない。すべての国家が負ける。すべての国のすべての国民が負ける。莫大なお金の力によって、各国政府を支配され、占領区にされる。私たちは、自由、平等、友愛の近代の精神を失うのだ...。