サッカー日本代表の監督は交代すべきか?

さて。日本はオーストラリアに勝って、ロシアW杯への切符を手にしたわけだが、この試合を前後して、さまざまな議論が噴出していた。それは、監督のハリルホジッチを交代させるべきか否かについてである。
このことは、非常に興味深い印象を私に与えた。そこで、その応答の幾つかについて、検討してみたい。

W杯アジア最終予選に向けて準備を進めるハリルホジッチ監督に、ピッチ外で想定外の事態が起きた。16年1月の日本協会会長選挙で、田嶋幸三副会長が原博実専務理事(現Jリーグ副理事長)との一騎打ちを制して新会長に就任。日本協会トップの交代を受けて組織改編が進み、監督を評価する機関である技術委員会の顔触れも大幅に変わった。
ハリルホジッチ監督の招へいに尽力した霜田氏が、16年3月に技術委員長から平の技術委員に降格。新技術委員長として西野朗氏が招へいされた。ベンチ入りして采配をサポートするなど指揮官と一蓮托生(いちれんたくしょう)だった霜田氏と違い、西野氏はフラットな目線で監督を分析、評価。霜田氏は新設されたナショナルチームダイレクター(ND)に就いたが、日本協会内での権限、発言力は大幅に低下し、ハリルホジッチ監督は"後ろ盾"を失った。
ハリル監督"後ろ盾"霜田氏失い解任と背中合わせの1年

そもそもなぜ、W杯出場を決めた後にまで、ハリルホジッチ解任の話がひっきりなしに続くのかといえば、上記の事情があることは間違いないであろう。彼を招き入れた、霜田氏の解任が示しているように、協会内部での親ハリル派が「派閥争い」に負けた、ということが決定的なのであろう。しかし、それだけではない。日本のジャーナリストは基本的に

  • 御用マスコミ

であることを示している。権力者に阿(おもね)り、そうすることで、自らの発言権を高めようとする態度は、今の政権中枢に巣喰っている、記者クラブの大手マスコミ貴族と変わらない。
しかし、そうであるからこそ、彼らの言うことには一定の説得力があるのではないか、という考え方もできるわけであるw

もし、ポゼッションでは世界に通用しないと本気で考えるならば、年代別代表の段階から、もっとハリルホジッチ監督が求めるような要素を最優先に選手選考やチーム作りをすべきだし、A代表に準じたサッカーを志向すべきなのではないのか。
はたして志向するサッカーを改めるべきなのは、年代別代表なのか、A代表なのか。やはりハリルホジッチ監督が日本代表を率いることには、ミスマッチの印象は拭えない。
ひょっとすると、ポゼッションにこだわるよりも、ハリルホジッチ監督のやり方のほうが目先の結果(ロシアW杯での結果)は期待できるのかもしれない。ブラジルW杯よりも、南アフリカW杯のほうが成績がよかったように。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170902-00010003-sportiva-socc&p=1

この指摘は興味深い。言うまでもなく、日本はずっとポゼッションサッカーだし、今のJリーグをみてもそうだ。というか、下の年代の日本代表がそもそもそうなのだ。U17、U20と見れば、明らかなポゼッションサッカーだし、つまり、そういった能力に特化した選手が選ばれている。
この矛盾をどう考えるのだろうか?
そこで、あらためて、対豪戦をふりかえってみたい。

こうなるのですが、日本のボランチ二人が相手のボランチを捕まえに前にでてしまうと、アンカーの両脇のスペースを相手チームのシャドーに利用されてしまうんですね。
2017/8/31ロシアW杯最終予選、日本対オーストラリアのレビュー - pal-9999のサッカーレポート

「今回、中心選手である長谷部はオーストラリアに狙われる格好だった。ジェームズ・トロイージ、トム・ロギッチ、ロビー・クルーズの3人に囲まれる形で、しばしば数的優位を作られ、ボールを失い、幾度かカウンターを食らっている。しかし、山口、井手口が常に素早い帰陣を見せて事なきを得た。
長谷部は劣勢の中でも、高いインテリジェンスを見せている。例えば味方のセットプレーでは守備のカバーを考えたポジショニングで、多くのカウンターを封殺した。彼の存在は、やはり戦術的に欠かせない」
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170909-00010003-sportiva-socc

今回の対戦の特徴は、アンカーの長谷部の両脇のスペースが全てであった。そういった視点で見たとき、必ずしも、オーストラリアは勝ち目がなかったわけではない。それなりに、チャンスもあった。そういう意味では、勝負は常にシーソーゲームなのであって、勝った負けたは偶然の産物である所はいなめない。
しかし、多くの指摘があるように、オーストラリアはある「欠点」を内部に抱えていた。

完全に相手の左WBのミスです。日本代表で同じ事やったら当然、糞味噌に叩かれますよねえ。長友のクロスはゴールに向かってくる軌道のクロスで、オージーのDFのスミスは浅野とボールを同時に視界内に収める事は難しくないハズでした。である以上、マーク外すとかありえないシーンなんですが、何故か浅野のマークを外してしまい、日本に先制点をプレゼントしてくれました。
2017/8/31ロシアW杯最終予選、日本対オーストラリアのレビュー - pal-9999のサッカーレポート

オージーについては・・・まあ左WBのスミス君は次の試合は外されるでしょう、間違いなく。本当にどうしようもないプレーしてたので。彼だけは本当に場違いでした。一人だけとんでもなく不真面目なプレーをしてました。
2017/8/31ロシアW杯最終予選、日本対オーストラリアのレビュー - pal-9999のサッカーレポート[

ブラッド・スミスの起用は、違う意味でも波紋を呼んでいる。彼はもともとリバプールにいた選手で、今はプレミアのボーンマスに所属している。だが試合にほとんど出場できていないし、代表の経験もきわめて浅い。アンジ・ポステコグルー監督も、別の選手を起用すべきだったかもしれないと語っていた。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170910-00828845-number-socc&p=3

勝負などというものは、しょせん、このようなちょっとした「瑕疵」に依存するものなのであろう。
はっきりと分かることは、今回の日本の戦術は守備的布陣であって、前線に多くの人数をかけられない。だから、乾や浅野といった、個人で打開できるようなスピードやテクニックのある選手が抜擢された。しかし、世界中を見渡してみても、そういった能力をもった選手が何人いるのかと聞かれれば、疑わしいし、そういった数えるほどの選手がケガをすれば、本大会の計算は崩れる。
そういった視点で見直せば、こういった戦術である限り、大量得点は難しい、ギリギリの点差で勝ち上がることを宿命づけられている。その後のサウジアラビア戦では、逆に相手の後半から入ってきた、走力のあるフォワード一人に振り回されて負けているわけだが、その状況は対豪戦の裏返しのようにも見えるわけである...。