新型コロナの某「陰謀論」について

新型コロナウイルスが中国で最初に猛威をふるっていたとき、あるインドの論文が話題になった。ただし、これについては、速攻で取り下げされたわけだが。

インドの論文下書き(プレプリント)は、意図的にRaTG13というコウモリに感染しているSARS様ウイルスの存在に触れていないと指摘されています。
実はこのRaTG13が、今回の新型コロナウイルスであるSARS-CoV-2に相当近いのです。
ゲノム配列の96.3%が同じであり、SARS-CoV-2の(すぐ前かどうかはともかく)前段階のウイルスと目されています。
新型コロナはエイズ(HIVウイルス)ではありません | 早期緩和ケア大津秀一クリニック

なるほど。学術的に、この論文が否定されることはいいのだが、他方で、以下のようなことがさかんに報道をされていた。

治療に使われた抗インフルエンザ薬や抗HIVエイズ)薬は、それぞれインフルエンザウイルスやエイズウイルスの特定のたんぱく質を標的にしている。似たたんぱく質新型コロナウイルスにある可能性もあるが、今のところ不明だ。
インフルとHIV薬混ぜ「新型肺炎が改善」 タイ政府:朝日新聞デジタル

ふむふむ。エイズの薬が、新型コロナに効いたってこと? まあ、こちらの方はあんまり続報がないようなので、なんとも判断のしようがないわけだが。
しかし、例えば、上記の「新型コロナはエイズではない」のお医者さんは次のようなことを書いている。

そもそもHIVウイルスの特徴は、免疫細胞のCD4細胞に感染して、免疫不全を起こすというものです。
現状、コロナウイルスがCD4細胞に感染することの明確な証拠はありません。
新型コロナはエイズ(HIVウイルス)ではありません | 早期緩和ケア大津秀一クリニック

しかし、ここのところ、さかんに報道されているものに、以下のニュースがある。

今月7日、論文医学専門誌『細胞分子免疫学(Celluar&Molecular Immunology)』に掲載された同論文の研究チームは、「実験室で培養したT細胞とコロナ19を結合した実験で、コロナ19がT細胞を破壊した」と明らかにした。T細胞は、人体に浸透した病原菌とウイルスを除去する免疫細胞の一種だ。
「新型コロナウイルス感染症、エイズのように人体の主な免疫細胞を破壊」

匿名を要求した北京のある医師は、「コロナ19が直接人体の免疫システムを攻撃する可能性があるという懸念が医療スタッフの間でますます高まっている」とし、「多くの人がコロナ19をHIVと比較している」と指摘しした。
ただ、コロナ19とHIVの一つの大きな違いは、HIVは他の細胞を感染させるため、より多くの自己複製をしてT細胞に浸透するが、コロナ19はそうではないという点だ。
「新型コロナウイルス感染症、エイズのように人体の主な免疫細胞を破壊」

まあ、ここの議論だけでは、ヘルパーT細胞(CD4)の話なのか、キラーT細胞(CD8)の話なのかもよく分かんないけど、少なくとも、T細胞との関連は指摘されてるようである。でも、どうせ、上記の医者も、だからといって改めて、「新型コロナ=エイズ」説を再検討なんてしないのであろうw
さて。私が言いたかったのは、

  • 新型コロナの実体解明が、その「対処法」に繋がる

と考えるなら、それが「エイズに似ている」でもなんでもいいけど、それなりに合理的な「推測」から

  • 警告

をすることには、一定の合理性があるんじゃないのか、ってことなわけだ。例えば、中国で流行した初期には、ある中国の科学者が「実名」で糾弾されていた。

それによると、告発されたのは中国科学院武漢ウイルス研究所の石正麗研究員です。
事の発端は1月下旬に中国中央電視台(CCTV)が、2018年に、武漢ウイルス研究所が主導する科学技術チームがコウモリに起源を持つ新型コロナウイルスの一種を発見した、と報道されていたのをある人物が見つけ、新型コロナウイルスとの関連性があるのではないかと臆測した事から始まりました。
続いて、別の人物が国際医学誌の『Nature Medicine』で2015年11月9日に発表された石正麗研究員が関与した「中国馬蹄コウモリで見つかったSARSに似たコロナウイルスの一種が疾病を引き起こす可能性に関する」研究論文を見つけました。
石正麗、誰でも騙されると思うなよ: 日比野庵 本館

こうした批判に石正麗研究員は、2月2日、チャットアプリである微信で「2019年の新型コロナウイルス大自然が人類の愚かな生活習慣に与えた罰だ。私、石正麗は自分の命をかけて保証する。実験施設とは関係がない。不良メディアのデマを信じて拡散する人、インドの科学者の信頼できないいわゆる学術的な分析を信じる人にご忠告申し上げる。お前たちの臭い口を閉じろ」と反論しました。
石正麗、誰でも騙されると思うなよ: 日比野庵 本館

武小華博士以外の他の研究員も、石正麗研究員が過去がやった実験を暴露しているらしく、孫向文氏は、この件について次のように纏めています。

石正麗研究員は過去、中国各地の洞窟を探検し、野生コウモリを捕獲、コウモリの体からP4レベルの危険なコロナウイルスを抽出しました。そのコロナウイルスは、元々人間に発症させるウイルスではありません。そこで「橋渡し」役が必要です。
石正麗研究員は犬などのSPF動物の体にコウモリのコロナウイルスを注射し、変異したコロナウイルスをさらに別のSPF動物に注射、4回繰り返すと、最後に猿(霊長類)に感染させる新種のコロナウイルスを開発しました。そのまま霊長類である人間にも発症が可能となります。

石正麗、誰でも騙されると思うなよ: 日比野庵 本館

「お前たちの臭い口を閉じろ」というのは、随分と「乱暴」な態度ではないですかね。一種の

  • 恫喝

なわけであろう。科学者がこういったことを言うことに「追い込まれている」というのは、少し「危うい」印象をもたざるをえないんじゃないか。もちろん、彼女が何をしていたのかは知らないし、もしもなにかが行われていたとして、そこに彼女自身はノータッチなのかもしれない。
しかし、そもそもそういった「因果関係」を抜きにしても、多くの

  • 危険性

がここにはあり、それに対して、上記の女性は果して、今までどこまでその「問題の可能性」について、世界に発信してきたのだろうか?

中国では過去にも“ヒューマンエラー”が起きたことがある。2004年、北京にあるBSL3の要件を満たす実験室から、SARSウイルスが流出する事件が発生し、責任者が処罰されている。中国メディアの報道などによると、研究員がBSL3実験室からSARSウイルスを持ち出し、一般の実験室で研究をしたことで感染が広まった。
新型コロナウイルス 「研究所から流出」説の真偽を追う|NEWSポストセブン

まあ、中国では「過去」にも、ウイルスで「流出」を起こして、処罰されているんだったら、なんで

  • 今度は違う

って、「確信」をもって言えるんだろうね?

中国事情に詳しいジャーナリストの富坂聰さんは「そもそも野生動物の市場取引は中国でも違法」と話す。
中国当局SARSの経験を教訓に厳しく取り締まってきましたが、時間と共にそれが緩くなり、武漢では堂々とヤミ市場が開かれていました。違法だからこそ希少価値が出て、野生動物の値段が上がってしまう。中国に限ったことではありませんが、お金さえもらえればなんでもする人はたくさんいます。いまも違法な野生動物のヤミ市場は開かれているでしょう。武漢ではないところでウイルスが出てもおかしくない状況でした」
新型コロナウイルス 「研究所から流出」説の真偽を追う|NEWSポストセブン

上記にあるように、今の中国では「野生動物の市場取引」は「違法」だ。しかし、そもそもこういった「慣習」のある地域で、国家が上から、「強制」すれば、それは

  • 闇ルート

に流れ、より「価値」のあるものとして、陰で取引される。他方で、そういった

  • わざわざ危険な動物から、危険なウイルスを採取して「実験」をしている<世界中の多くの科学者>

がいるわけなんだから、そりゃあ、「いつか」は

  • ユーマンエラー

という「(故意の)犯罪行為」が陰で行われることは、つい最近も、日本で官公庁のハードディスクが、ネットで売られていた、なんていう事件からも「自明」のことなんじゃないかな? ていうか、逆になんでそれが「防げる」と思えるんだろうね...。