神保町哀歌

アニメ「邪神ちゃんドロップキック」の第2期の作成がクラウドファンディングの達成によって制作されたことは有名だが、このたび、めでたくテレビ放送されている。
ただ、4月の最初には、この第2期は、アマゾンプライムで一挙に全話公開されていた。
そして、その最終話の2期11話のBパートは、例の「神保町哀歌」のフルヴァージョン?が聞ける。
神保町哀歌は、1期11話で、花園ゆりねが39度の熱をだして寝込んだときに、その枕元で邪神ちゃんが歌った曲だったわけだが、その1期11話では、そこで歌われた部分は第1章だけで、全部で6章まである、と邪神ちゃんが語っていた。
この件は大変に話題になったようで、というのは、邪神ちゃんの声優である、鈴木愛奈さんの歌声があまりにうまかったこともある(ウィキなどを見ると、彼女は子どもの頃から、民謡を歌っていたということで、さもあらん、というわけだったのだが)。
(まあ、あまり知らなかったが、クラウドファンディングで、この「神保町哀歌」のCD化が目指されていたということであるが。)
というか、私はほとんどこの歌のことを忘れていた。
たんに、第2期がテレビ放映しているというのを知って、じゃあってことで、アマゾンプライムで見ようとしたら、なぜか全話公開されていて、じゃあ、って感じでそれを見ていたのだが、この最終11話のBパートで、延々と「神保町哀歌」を歌っている、という展開に、少しカルチャーショックを受けたのだ。
こうして、「神保町哀歌」の全体を聴いてみると、とても感動的な歌詞であることも分かってくる。四畳半の部屋で二人で肩を寄せ合って暮す、恋人のストーリーで、どこか東京の孤独な人々の中にある、熱い人情が伝わってくる作品で、(まあ、完成度がどこまであるかは別としても)なんというか、細かいことはどうでもいいから

で歌ってもらえないかな、なんて、ちらっと思ったりする。
以前にもここで書いた記憶があるが、このアニメは、最近のアニメの中では最も重要な作品の一つだと思っている。確かに、表面的には、暴力的描写が多く、PC的には、作品を一切見ないで、ポスターだけを見て、ヒステリーを起こす日本社会では、メジャーな位置付けにはならないのかもしれない。しかし、こういった

  • 温かい人情

を描いている作品は驚くほど少なくないか? 人間の弱さも含めて「そのまま」に描いている作品としては、どうして低評価でありえようか。無菌状態の無味無臭のポリコレ作品なんて、誰が見るか。そんなところに「人間」はいない。
つまりは、私たちの、本当の意味での「リテラシー」が問われている、ということなんじゃないか...。