もう1つの、スーパーフラットへの疑問

以前からこのブログで疑問をていしてきた話として、フラット革命がある。世の中が全部「同じ」になって、どこの国でも同じような人が同じような言葉を話して、同じようなものを着て、同じようなものを食べて、

  • 同じになる

というやつだ。
これは、おそらくは「インターネット」によって、地球上のどこにいても、「同じ情報」を見ている、というところから発想されているのだろう。あと、そもそも日本のコンビニが全国店舗のどこでも、ほぼ同じ商品を並べている、というのもある。
もともとこういうことを言い始めた人たちの意図としては、それによって、

  • 世界のどこでも「貧富の差」が同じになる

とか、そういった観点で「日本人だからといって、特別な福祉をやる必要はない」といった野心をもって言っていたんじゃないか。世界中の人が「同じ」なら、まず、ナショナリズムがなくなる。つまり、地球の「裏側」で飢えて死にそうな人より、自分の近所の(相対的に)貧乏な人を優先する理由がなくなる。
ようするに、こういった連中って、日本国内の

  • 福祉

に反対なのだw だって、地球の裏側に飢えて死にそうな人がいるんだから、そっちを優先しないのは「おかしい」と考えているから。
この考えのポイントは「世界中のどこでも<同じ>」というところにある。世界中のどこだろうが、同じになるんだから、差がなくなるんだから、と。
しかし、である。
例えば、昨日のIWJでの田代さんも言及していたが、なぜインドがそれほど(中国と比べて)経済発展していないのか、数学オリンピックがほとんど、中国の子どもの独占になっているのか。
インドには、そもそも、大型タンカーが止まれる港がない。これは本質的な問題で、じゃあ、作ればいいじゃないと思うかもしれないが、なぜ海が浅瀬なのかは、川から海に流れる土砂が関係している。そう簡単に

  • 水深の大きい港

は作れないのだw
そういった観点で世界中を眺めると、圧倒的にそういった水深の大きい大型タンカーが止まれる港は東アジアに集中している。特に、中国が多い。
対して、日本はせいぜい、横浜と神戸だが、なぜ、佐世保に米軍基地があるのかは、これが理由だ。エンタープライズのような大型軍艦をとめられる港で、しかも、容易に物資を集められるところとして、絶対に米軍はここを手放さない。
なぜ、日本では「東京」だけが発展したのかは、ここに理由がある。東京とは、関東であり、横浜なのだ。この港を使って、東京は発展してきた。
しかし、実際はその横浜も大量の大型タンカーには対応していない。よって、将来的な日本の衰退は、ある程度予想される。
いずれにしろ、こういった大型タンカーが止まれる港は東アジアに集中している。今の中国の急激な発展は、この東アジアの海上流通を使って、日本や韓国や台湾と中国の間を、さまざまな中間生成物が行きかって、最終生産品を組み立てている。
この流通の「非対称性」がある限り、世界経済の中心地点となりえる候補は限られている。アメリカによる中国への敵対視によって、中国が衰退するなどありえないわけだ。そもそもそのアメリカが、中国で生産しないなんて考えられない、と考えている。
(そもそも、アメリカの数学オリンピックのメンバーはほぼ中国出身の子どもだw。)
もちろん、アイフォンもアイパッドも中国で作っているし、それ以外に考えられない。アメリカ自体が中国なしで、なにも作れないのだ...。