SLIM復活の件について

JAXAの探査機「SLIM」のミッションは、月の指定の位置に

  • ピンポイント

で着陸することだった、と言われている。なぜこれが重要だったのかというと、月には、大気がないからだ。大気がないから、パラシュートのように着陸できない。大気はないが重力はあるので、まるで、月の表面に叩きつけられるような着地になってしまう。
これを避けるために、「SLIM」が打ち上げられたわけだが、結果としては、噴射ノズルの一つが壊れたが、概ね、指定の場所に着陸できた。
これに対して、世界中の宇宙関係者がJAXAに羨望の眼差しを向けている。とにかく、指定の場所に着陸できるということは、月の調べたいところを調べられるというわけで、決定的に重要だからだ。
ところが、である。
報道において、別の側面が話題になっている。それは、太陽光パネルが太陽の方を向いていなかったために、充電ができなかったことだ。これによって、一時的に「SLIM」は、停止状態だった。充電が始まるまで、おとなしくしていた。
なるほど。こう聞くと、まるで、この充電問題は「すべての問題を解決した」ことを意味しているかのように、決定的なことのように聞こえるうかもしれない。しかし、である。

SLIMの寿命は短い。月面にピンポイントで降りたらそれでもう成功。その後少しでも電力が持って動作すれば大成功、という設計になっている。月面は14日間の昼と14日間の夜が続く世界だ。昼夜の温度差はすさまじい。昼は100度を超え、夜間はマイナス170度にも下がる。ここまで温度差があると、電子部品は壊れるし、電子機器の基板やハンダ付け部も温度差の伸縮で割れたりする。SLIMは、月面の比較的温度環境の良い「朝」に着陸し、太陽が高くなって温度が上がるまでの間の数日間だけ動作すればよし、と割り切っている。
もっとも「ただ行って着陸試験をするだけではもったいない」ので、重量の許す限り理学的な観測を行う機器も搭載している。
business.nikkei.com

そう。そもそも、長期間の月での「調査」が可能なように、「SLIM」は

  • 設計されていない

のだw まあ、当り前であろう。月の表面では、ものすごい量の「放射線」が飛びかっている。そんな状況で、それに耐えられるように設計するには、どれくらいの「コスト」がかかるのかは、そんな重武装のマシンを動かせるのかは自明ではないのかもしれない...。